オーディオの足跡

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E-305Vの画像
 解説 

E-305を基に磨きをかけて完成度を高めたプリメインアンプ。

アキュフェーズが長年培ってきた開発技術により、サーキットやコンストラクションを見直すことでセパレートアンプ並の品質を追求しています。

パワーアンプ部は出力段の素子にNチャンネル・パワーMOS FETおよびPチャンネル・パワーMOS FETがそれぞれ3パラレル接続された3パラレル接続となってます。
パワーMOS FETの並列使用により、低いインピーダンスに対して十分なパワーを取り出す事が可能となっています。

パワーMOS FETを駆動するドライバー段にはカスコード接続を採用しています。
位相回転を極力小さく抑え、カスコード段の入力部に印加される電圧を小さくすることにより、素子の性能を引き出す事で、広帯域・広リニアリティとなり、パワーMOS FETへの駆動が理想的に行えています。
また入力部には、アキュフェーズ独自のコンプリメンタリー差動プッシュプル回路を用い、さらにその入力のFETをカスコード接続にしています。

アナログ・ディスク用、ハイレベル用、パワー用各ユニットアンプを全て直結方式で接続しています。
各ユニットアンプに強力なDCサーボをかけて安定化しており、DCドリフトの発生を抑えています。

新開発の音量調整器を採用しています。
入力レベルの調整器はとくに歪率の少ない鏡面仕上げの抵抗体を採用しており、鏡面かによって耐摩耗性に優れ、しかもブラシと抵抗体の間には、グリースなど音質を損なうものは塗られていません。
また、一般のボリューム構造は固定されたステーター抵抗体からカシメ部分を通して外部にリード線を出し、ブラシが摺動子になっていますが、E-305Vのアッテネーターは抵抗体が回転し、ブラシの部分が固定されて端子として直接外部に出るような構造となっています。これにより金属接合部分を5ヵ所から3ヵ所に減らし音質向上を図っています。
この音量調整器にギア機構・電動モーターを取り付け、リモートコントロールに対応しています。

入力セレクターなどの小信号の切り替えにはロジック・リレーコントロールを採用sいています。
窒素ガス入り密閉型リレーを使用することで、経年変化などを防止するとともに、局部的に配置が可能なため、最短距離での配線を可能としています。
このリレーには、通信工業用の金貼り・クロスバーツイン構造が用いられています。

入力ソースと音量調整が可能なリモコンが付属しています。
入力セレクターは電子的にリレーを切り替える方式のため、このロジック回路をコマンダーでコントロールすることで音質の劣化がありません。また音量調整もモーター付音量調整器を採用しており、このモーターの外被に珪素鋼板によって磁気シールドを施してあり、雑音による影響を抑えています。
リモートコントロールの復調にはマイクロ・コンピューターを採用しています。

MM型と、MC型それぞれのカートリッジの特性を考慮したイコライザーアンプを搭載しています。
MM入力時は、MMカートリッジの出力電圧、出力インピーダンスが高いことを考慮し、全周波数帯域にわたり後入力インピーダンスを保てるFET素子で構成しています。
MC入力時は微少信号を低インピーダンスで受けるため、低雑音素子による差動入力回路を構成し、NFBループの低インピーダンスを図ることにより雑音の少ない再生を可能にしています。

プリアンプ部とパワーアンプ部を分離し、独立アンプとして使用するための切り替えスイッチと入出力端子を搭載してます。

本格的なグラフィック・イコライザーに使用されている加算型のアクティブ・フィルター方式トーン・コントロールを採用しています。
本来の信号はストレートに通過し、必要に応じて別で特性を作り、信号に加減算させる方式で、音質を重視した構造となっています。

プリアンプ部とパワーアンプ部それぞれに専用電源と定電圧回路を用いることで、電源部を介しての干渉を防止しています。
また、静電結合や電磁誘導などによる悪影響を抑えるため、内部の構造や配置を工夫するなどの対策を施しています。

8系統の入力と、テープレコーダー2系統を入力可能です。このうちバランス入力がCDとLineの2系統に用意されています。

パワーアンプ部の出力監視を大型パワーメーターで確認できます。
メーターは対数圧縮式を採用しており、広いダイナミックレンジを一度に見る事ができます。

スピーカーはA/B2系統切り替え可能です。また、A+Bポジションがあり、2系統が並列になり低音用と高音用ネットワークを分離したバイワイヤリングスピーカーを接続できます。

機種の定格
型式 インテグレーテッドステレオプリメインアンプ
連続平均出力(両ch動作、
20Hz~20kHz、歪率0.02%)
4Ω負荷:180W/ch
8Ω負荷:130W/ch
全高調波歪率(両ch動作) 0.02%(4~16Ω負荷、0.25W~連続出力、20Hz~20kHz)
IM歪率 0.01%
周波数特性
Main Amp Input: 20Hz~20000Hz +0 -0.2dB(定格出力時)
0.5Hz~150000Hz +0 -3.0dB(1W出力時)
High Level Input: 20Hz~20000Hz +0 -0.2dB(定格出力時)
Low Level Input: 20Hz~20000Hz +0.2 -0.5dB(定格出力時)
ダンピングファクター 100(8Ω負荷、50Hz)
定格入力/入力インピーダンス
入力感度 インピーダンス
定格出力時 EIA(1W出力時)
AD Input(MC): 0.123mV 0.01mV 100Ω
AD Input(MM): 4.3mV 0.34mV 47kΩ
High Level Input: 125mV 10.9mV 20kΩ
Balanced Input: 125mV 10.9mV 40kΩ
Main Amp Input: 1.28V 111mV 20kΩ
定格出力/出力インピーダンス Pre Output:1.28V/200Ω
Tape Rec Output:125mV/200Ω(ADより)
Headphones:0.4V、適合インピーダンス 4~100Ω
ゲイン Main Input → Output:28dB
High Level Input → Pre Output:20dB
AD Input(MM) → Tape Rec Output:30dB
AD Input(MC) → Tape Rec Output:60dB
S/N、入力換算雑音
入力ショート・A-補正 EIA S/N
定格入力時 S/N 入力換算雑音
Main Amp Input: 124dB -121dBV 102dB
High Level Input: 110dB -128dBV 83dB
Balanced Input: 90dB -108dBV 82dB
AD Input(MM): 88dB -137dBV 80dB
AD Input(MC): 72dB -150dBV 80dB
トーンコントロール 低音:ターンオーバー周波数 300Hz、±10dB(50Hz)
高音:ターンオーバー周波数 3kHz、±10dB(20kHz)
サブソニックフィルター 17Hz、-12dB/oct
アッテネーター -20dB
パワーメーター 対数圧縮型ピークレベル表示
dB目盛及び8Ω負荷時の出力直読
負荷インピーダンス 4~16Ω
使用半導体 トランジスタ:59個
FET:22個
IC:24個
ダイオード:69個
電源 100V/117V/220V/240V、50Hz/60Hz
消費電力 無入力時:65W
電気用品取締法:310W
8Ω負荷定格出力時:490W
外形寸法 幅475x高さ170x奥行418mm
重量 22.7kg
付属:リモートコマンダー RC-8
リモコン方式 赤外線パルス方式
電源 DC 3V
乾電池 SUM-3(IEC呼称 R6)2個
最大外形寸法 幅64x高さ149x奥行18mm
重量 140g(乾電池含む)