解説　

エッジレス構造を採用した38cmコーン型ウーファー。

一般的なスピーカーユニットでは、殆ど全てにエンパイヤクロスなどの柔らかいものをダンパーとして使用し、発泡ウレタンや布系のエッジ材を使用しています。これらの支持系は振動板全体を包み込む形で接着されているため、振動板がダンプされ過ぎとなり、その結果音の立上がりを鈍らせ、余韻を不自然なものとしています。
LU38ではその点を改良するため、振動系をボイスコイルボビン部分と振動板中央の2ヶ所でそれぞれ3点ずつの点支持とし、従来のエッジ・ダンパーを使用しないでベークライトという硬い素材で支持する構造としています。
また、LU38に採用されたサスペンションの形状には、従来からある蝶ダンパーを改良した新形状を採用しており、優れたリニアリティと耐振幅特性を得ています。従来方式のエッジとダンパーを使用していた支持系では±5mm以上の振幅ではリニアリティの劣化がかなり顕著に現れますが、LU38では±8mm以上まで十分なリニアイティを維持しています。

磁気回路のマグネットには高品質なアルニコ5マグネット3.5kgをリング型として外磁型で採用しています。また、ポールとプレートには磁性焼鈍を施した透磁率に優れた高純度純鉄を採用しています。外磁型磁気回路は一般的な内磁型に比べ体積の割に磁気回路が強力にできるという特徴を持ってます。
また、LU38では磁気回路の構成部品をマグネットとポール、プレートの3種類のみで構成するという形状を採用しています。4～5個の部品が必要な通常の内磁型磁気回路に比べて磁気損失が少なく、磁気歪も少なくできています。

従来のスピーカーの磁気回路は全て接着剤のみで固定されていましたが、LU38ではボルト締めを併用した上で接着しているため、磁気回路を含めたユニット全体の強度が向上しています。

LU38の磁気回路にはロングポール型磁気回路を採用しており、大きい駆動力と大振幅を両立させることに成功しています。
一般的なユニットで使用されているロングボイスコイル方式の駆動回路では、大振幅が可能となるため低域再生に有利ですが、再生効率が低下しボイスコイルに発生する駆動力のうちの半分から数分の1しか利用できないため情報量が不足してしまいます。
LU38に採用されたロングポール型磁気回路では、長さ17mmという極めて長く広い面積のポール(磁極)部分の中に巻幅9mmのボイスコイルを位置させ、上下に4mmずつの駆動領域を持たせています。そのため±4mmまでの振幅までは完全に100%駆動力を発揮することができます。
また、ウーファーユニットでは磁束密度の高低は低域の再現性の目安とはならず、中域の能率の高低のみに関わってくるため、LU38では磁力の強力なマグネットを採用しているにも関わらず磁束密度は10,500gaussに止めており、磁力はポール部分の駆動面積を大きくすることに使用しています。LU38では10cm径ボイスコイルを採用した事と相まって98dB/W/mと高能率でしかも低域再現性も高いユニットを実現しています。

ボイスコイルにはアルミ平角線を用いたエッジワイズ巻ボイスコイルを採用しています。

LU38の振動系は強度が維持できる限界まで軽量化が図られており、振動板実質量が33g、等価質量48gという軽量・高剛性な振動系を実現しています。
また、ボイスコイル周辺での空気抵抗も少なくするためセンターキャップも排除し、木製イコライザーを採用することで中域の周波数特性を改善しています。

振動板には渋紙を採用しています。
渋紙は日本で古くから染色用の型紙などに使用されているもので和紙に柿の渋を塗布しながら積層した構造をしています。そして、丈夫で水にも強く、耐久性も高いという特徴を持っており、さらに保存性や防虫力を持っているため長期にわたって安心して使用できます。
また、コーンの形状はシンプルなストレート型としています。

フレームには約3.5kgという大型で構造的にも強度の高いアルミ合金製鋳造フレームを採用しています。
また、このフレームには塗装を施さず表面にアルマイトメッキを施すことで表面を硬化させ、経年変化を防いでいます。

別売オプションとして砲金製のマグネット補強リングがありました。

機種の定格

型式	コーン型ウーファーユニット
口径	38cm
再生周波数帯域	fo～3kHz
インピーダンス	8Ω
出力音圧レベル	98dB/W/m
fo	22Hz
Qo	0.17
等価質量	48g
VC径	10.0cm
磁束密度	10,500gauss
バッフル開口径	356±2mm
取付穴ピッチ	372mm8点止め
外形寸法	直径384x奥行197mm
重量	16kg
別売:マグネット補強リング(￥50,000)
重量	約3.5kg