山本音響工芸 S-004
¥39,800(1台、1990年代頃)
解説
桜無垢材を全面に採用した小型スピーカーシステム。
ユニットにはA・M・Mサウンドラボ社製の10cmコーン型フルレンジユニットCFX1287を搭載しています。
エンクロージャーには硬く響きの美しいミズメ桜を無垢の板材のまま採用しています。ミズメ桜材は国産の広葉樹で比重が0.72位とかなり重く、強度も一般的な針葉樹や広葉樹に比べて1.5倍~2倍ほどあります。S-004では全面に25mm厚のミズメ桜材を採用しており、各部共にホゾやミゾを取り強固に組み上げています。
また、外観はミズメ桜の生地の美しさを生かしてウレタン塗装によるクリア仕上げが施されています。
エンクロージャーの形状は全面に大きく丸い面取りを行ったオールラウンド形状としています。これにより音の定位を改善しています。さらに、スピーカーユニットの前面をホーン形状に加工することによって軽いホーンロードをかけ、音の明瞭度を上げています。
また、ユニットの固定方法には、フロントバッフル面からスピーカーユニットのマグネット部分を真鍮の角材とステンレスボルトで挟み込んで締め付ける方法を採用しています。これによりユニットの取り付け強度が増しています。
エンクロージャー内部には吸音材は使用しておらず、内部を大きなアールを取った定在波の発生しにくい形状とすることで良好な特性を得ています。
ユニット前面には、ジャージーネットによる高域減衰や金属製ネットによる金属鳴きを避けるため、桜材を用いたパンチングネットを採用しています。このパンチングネットには桜材の赤味の部分を選別して使用しており、生地の色合いの違いを利用して変化を出しています。
スピーカー端子には真鍮丸棒から削り出した金メッキターミナルST-30を採用しています。
縦位置、横位置のいずれにも埋め込みナットが取り付けてあり、各種スピーカースタンドが使用できます。
S-004をテーブル上やスピーカーの上に設置する場合、PB-9やPB-10などのセッティングベースによる3点支持を推奨していました。
PB-9やPB-10はアフリカ黒檀を用いたポイントベースで、分離の良い音を得る事ができます。
機種の定格
方式 | 1ウェイ・1スピーカー・バスレフ方式・セッティングフリー型 |
使用ユニット | 全帯域用:10cmコーン型(CFX1287) |
周波数特性 | 90Hz~16kHz |
インピーダンス | 4Ω |
許容入力 | 25W |
出力音圧レベル | 90dB/W/m |
外形寸法 | 幅190x高さ235x奥行202mm |
重量 | 3.3kg |