YAMAHA T-2
¥130,000(1978年頃)
解説
RFモード切換え回路を採用したFMステレオチューナー。
フロントエンドには周波数直線ワイドエアギャップ精密7連バリコンを採用しており、RFアンプはDualゲートMOS FETを使用した2段増幅となっています。1st RFアンプと2nd RFアンプの段間をダブルチューンにし、2nd RFアンプとミキサの段間をトリプルチューンにして各種妨害排除特性の向上を図っています。
さらに、フロントエンドの動作を切換えられるRFモード切換回路を採用しています。これは受信する局の電波環境に合わせて高周波増幅段の動作を切換える事が出来るもので、感度を重視したHi-Sensitivityと、妨害排除特性を重視したHi-Selectivityの2ポジションが選べます。
IF段はLocal⇔DX自動切換機能を搭載しており、受信電波に対する妨害の有無を電子的に検出し自動的にIF回路のモードを選択します。
Localポジションでは、T-2用に新たに開発したブロックセラミックフィルタを2組採用しています。このブロックセラミックフィルタは、いままでのセラミックフィルタのバラツキを補正するためそれぞれのフィルタ素子の入出力回路に、CRを組合わせてインピーダンスマッチングをとり、通過帯域の微分利得偏差を±0.2dB以内と少なく抑えています。
さらに、IF回路にセッティングした後も微分利得直視法で再度チェックされ調整されています。IFアンプにはインピーダンス変動を抑えるためバッファアンプを配し、リミッタ効果の優れた7段差動増幅器を採用しています。
これにより十分な選択度を確保しつつ、優れたオーディオ特性を実現しています。
DXポジションでは、Localポジションのブロックフィルタに、さらにセラミックブロックフィルタを2ユニット追加することによって高い選択度を得て妨害をシャープにカットしています。
MPX回路では、ハイスルーレイトのDCアンプを基本に、ヤマハ独自のトランジスタによる平均値復調方式のスイッチング回路に、オーディオアンプ同様にNFB(負帰還)をかけたDC NFBスイッチング回路を採用することで、オーディオ特性を改善しています。
オーディオ信号としては不要な19kHzのパイロット信号を除去するため、レベル追従型パイロットピュアキャンセル回路を搭載しています。この回路では、PLLで発生した19kHzの方形波を利用して、入力パイロット信号を追従したレベルと、入力信号と逆相の19kHzのサイン波を再生し、パイロット信号をスイッチング回路の入力でキャンセルしています。この回路により、各放送局のパイロット信号のレベルが異なっても、それぞれのパイロットのレベルに応じて自動的にレベル追従してキャンセルするため、パイロット漏れはほとんど発生しません。
また、MPX回路からの出力には19kHzの信号は含まれていないため、ローパスフィルタのカットオフ周波数を19kHz以上にもっていくことが可能になり、18kHzまではほぼフラットな特性を得ています。
PLL回路には、入力に同調型の妨害除去フィルタを追加し、ステレオ音楽信号によるサブキャリアの乱れが極めて少ないAnti-interference PLL Systemを採用しています。
また、サブキャリアはDuty比1の方形波でスイッチングをしています。
選局中に局と同調するとその局の周波数をデジタル表示するステーションインジケーターを搭載しています。
(ミューティングoff時は常に同調周波数を表示します)
妨害検出型シグナルメーターを搭載しており、妨害検出フィルタとAGCアンプによって3μV~1mVの広い入力レベルをメーターで指示することができます。
また、ヤマハ独自の妨害検出方式により強入力まで飽和することなくマルチパス、フェージングノイズ源からの妨害を指示値の低下やフラつきとして支持します。
OTS(Optimum Tuning System)機構を搭載しており、選局中はAFCがoffになり、同調後はOTSにより正しい同調点に自動的に局発の周波数をロックします。
また、局と同調するとデジタルステーションインジケーターが点灯し、選局された放送局の周波数を正確に表示します。
2ステージ対称ゲートミューティング回路や弱電界のステレオ受信時のノイズを低減するFMブレンド回路、Rec Cal回路を搭載しています。
出力端子は固定と可変の2系統を搭載しています。
機種の定格
型式 | FMステレオチューナー | ||||
FM実用感度(IHF、300Ω) | mono:1.5μV/8.8dBf | ||||
イメージ妨害比 | 120dB | ||||
IF妨害比 | 120dB | ||||
キャプチャーレシオ | Local:1.0dB DX:1.5dB |
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実効選択度(IHF) | Local:55dB DX:100dB |
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SN比 | mono:88dB stereo:85dB |
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全高調波歪率 |
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ステレオセパレーション | Local:55dB DX:35dB |
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周波数特性 | 30Hz~15kHz +0.3 -0.5dB | ||||
サブキャリア抑圧比 | 72dB | ||||
付属回路 | RF Modeスイッチ Auto DX回路 OTS Modeスイッチ オートブレンド Recキャリブレーター デジタルステーション表示 マルチパス端子 |
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電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||
定格消費電力 | 18W | ||||
外形寸法 | 幅435x高さ70x奥行349mm | ||||
重量 | 7kg |