YAMAHA NS-690
¥60,000(1台、1973年頃)
解説
NS-600シリーズの上位機種として発売された3ウェイブックシェルフスピーカーシステム。
低域には30cmのコーン型ユニットであるJA-3056が採用されています。
振動板には、高域限界周波数を高くとるため複合カーブドコーンを採用しており、中域とのつながりをスムーズにしています。
ボイスコイルには磁気効率の良い比率と線径をもつ銅リボン線をしようした口径66φボビンを使用し、絶縁材や接着剤などにも耐熱性と放熱に優れたものをしようすることで、温度上昇率も1.2℃/Wとなっています。
中域には7.5cmのソフトドーム型ユニットであるJA-0701が採用されています。
振動板には、布に熱硬化性の樹脂と粘弾性のゴム系樹脂を二重コーティングした材料を用い、タンジェンシャル型のエッジ部とを一体に熱成型しています。
適度な内部損失をもち、高域限界周波数付近でのあばれがなく、さらにバックキャビティを設け、foを低くとっているため、再生周波数帯域内では平坦なf特とインピーダンス特性を実現しています。
また、指向特性は60゜までの特性が軸上0゜とほとんど変わらない優れた値を実現しています。
高域には3.0cmのソフトドーム型ユニットであるJA-0509を採用しています。
振動板素材には中域と同じ材料が用いられ、アルミリボン線エッジワイズ巻きの軽量ボイスコイルと重量バランスが最良となる厚さにし、強度を増すため深いドーム形状をとっています。
磁気回路には、空隙磁束密度15,500ガウスのフェライトマグネットが採用されています。
また、アコースティックディフューザーを設け、指向特性の改善と共に振動板のプロテクターとしています。
各ユニットにはアルミダイキャストフレームが採用され、共振による音質劣化を防いでいます。
ネットワークは試聴と特性チェックを繰り返して800Hz、6000Hz(12dB/oct)と設定しており、ウーファーのLCは5mHと33μFとなっています。
コイルは直流抵抗を下げ、パワーロスを防ぐため、フェライト系ボビンを使用し、各コイルが直角をなすように配置することで、誘導による特性変化をおさえています。
コンデンサにも特性の良いMPコンデンサーを採用しています。
エンクロージャーは完全密閉型を採用しており、前面バッフルボードには25mm厚の特殊合板を、背面板には同じく厚さ25mmのパーチクルボードを使用しています。
また、側板や天板には20mm厚の音質も考慮された材質の合板を採用しています。
内部には25mm厚の合板をくりぬいた補強材を施して共振を抑えています。
仕上げは木目を生かしたキャストールオープンポア仕上げとなっており、背面にはプッシュターミナルの入力端子の他に、マルチチャンネル用端子が搭載されています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:30cmコーン型(JA-3056) 中域用:7.5cmドーム型(JA-0701) 高域用:3.0cmドーム型(JA-0509) |
再生周波数帯域 | 35Hz~20000Hz |
クロスオーバー周波数 | 800Hz、6000Hz(12dB/oct) |
最低共振周波数(fo) | 40Hz |
インピーダンス | 8Ω |
出力音圧レベル(新JIS) | 90dB/W/m |
最大許容入力 | 60W |
レベルコントロール | 連続可変型 |
外形寸法 | 幅350x高さ630x奥行312mm |
重量 | 22kg |