YAMAHA NS-600
¥59,800(1台、1981年頃)
解説
ハイトランジェント・ハイエナージッシュなスピーカーとして、音楽のリアリティを追求したスピーカーシステム。
低域にはNS-690IIIで開発されたスプルースコーンを用いた30cmコーン型ウーファーを搭載しています。
NS-600のコーン部には、グランドピアノ用スプルースの柾目の部分だけを使用し、形状的にはコルゲーション入りのコニカルタイプに仕上げる事で分割振動を抑えて広いピストンモーション帯域を得ています。
また、エッジには発泡ウレタンロールエッジを採用し、振動系を支えるダンパーにも材質や含浸剤に十分な検討を加えられています。
ボイスコイルは銅リボン線をエッジワイズ巻きとしたロングボイスコイルタイプとし、磁気回路には120φ-60φ-20tのフェライトマグネット、センターポールには磁気歪を抑えるため銅キャップを被せています。
中域には新開発のチタンカーバイド(TiC)振動板を用いた10cmセミドーム型スコーカーを搭載しています。
TiCは一般に超硬化耐熱材料として知られており、鉄鋼や超硬合金で作られた耐磨耗部品等の表面にコーティングされ、寿命延長硬化を実現させています。NS-600ではピュアチタンの表面をチタンカーバイドとするサンドイッチ構造(特許)としており、化学気相蒸着法(CVD)によって高精度に成型しています。
高域にはベリリウム振動板による3cmドーム型トゥイーターを搭載しています。
ボイスコイルには耐熱処理を施したアルミリボン線エッジワイズ巻ボイスコイルを採用し、エッジは粘弾性樹脂と熱硬化性樹脂を二重コーティングした特殊繊維のタンジェンシャルエッジとしています。
各ユニットのフレームにはアルミダイキャストを採用しています。
ネットワーク部は電気的な特性によるチェックとヒアリングテストによるカット&トライで定数を決定しています。
また、珪素鋼板コア入りのボビンに直流抵抗の小さい無酸素銅線を巻いており、コイル同士は互いに直角に取り付けられて、干渉を防ぎ合っています。
さらに、コンデンサは聴感特性を考慮しMPコンデンサを採用しており、無酸素銅線を多用することで音質劣化を低減しています。
エンクロージャーはバルセロナウォルナット仕上げとなっています。
素材には、全面同一のパーティクルボードを採用しており、バッフル板は25mm厚、側面は18mm厚、裏面は19mm厚と十分な強度をもたせ、エンクロージャーの鳴きを抑えています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:30cmコーン型(JA-3102) 中域用:10cmセミドーム型(JA-1210) 高域用:3cmドーム型(JA-0533) |
再生周波数帯域 | 40Hz~20kHz |
クロスオーバー周波数 | 700Hz、6kHz(12dB/oct) |
最低共振周波数 | 50Hz |
インピーダンス | 6Ω |
出力音圧レベル | 91dB/W/m |
最大許容入力 | 70W |
定格入力 | 35W |
内容積 | 50L |
レベルコントロール | 中域、高域連続可変 |
外形寸法 | 幅370x高さ665x奥行322mm |
重量 | 24kg |