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MX-10000の画像
 解説 

ヤマハが創業100周年を記念して開発したパワーアンプ。

A級動作回路の弱点である、低インピーダンスドライブ時におけるAB級動作への移行を解消するため、HC(双曲変換)A級動作回路を採用しています。
この双曲変換は、トランジスタのコレクタ電流とベース・エミッタ間電圧の特性を使い、2個のデュアルトランジスタによって構成されています。これによりアイドリング電流の2倍を超えても、A級動作を維持しつづけ、入出力のリニアリティを保っています。
ただし、HC回路はゲインを持たないため、後段に、パワーMOS FET・パワーカレントミラー出力回路を設けています。

出力素子には、MX-10000用に開発した高速・大電流動作のパワーMOS FETを採用しています。これを4パラ・プッシュプルで構成しています。
また、A級アンプで問題となる大規模な発熱を解消するため、片chにSEPPアンプを2基使用するデュアルアンプ・クラスA構成を採用しており、電流増幅をまかなう出力段に加え、必要な電力を供給するパワーバッファアンプを搭載しています。
パワーバッファには、これもオーディオ用出力素子として高特性を誇るPc 200WのHi-fTパワートランジスタを採用し、6パラ・プッシュプルで構成しています。
デュアルアンプ・クラスAでは、アースはグランド電位を決めるだけのノンカレントアースとなるため、アースに電流が流れる事によるアンプの不安定要素も排除しています。

電圧増幅をまかなうボルテージアンプには、初段にデュアルFET差動入力、2段にカレントミラー、終段にエミッタホロア・プッシュプルの全段A級動作回路を採用しています。
デュアルFET差動入力・カレントミラーにより、ロスの少ない低歪率の信号増幅を実現。また、エミッタホロア・プッシュプルにより、低インピーダンスの信号出力を可能にしています。さらに、ボルテージアンプには、フローティング電源回路を組み込み、入力信号の振幅に応じた電圧を、初段と2段に送り込む方法を採っており、過渡的な入力があった場合にも飽和することなく余裕をもって対応。高安定の電圧増幅を得ています。

電源部には、大振幅信号によって揺さぶられる信号系の相互干渉をなくすため、HC回路搭載・パワーMOS FET出力段と、Hi-fTパワートランジスタを採用したパワーバッファへの各電力供給に、電流ループがそれぞれ独立したICP方式を採用しています。
電源部はまずトランスから独立し、出力段用電源、及びパワーバッファ用+B電源、-B電源を、トランス巻線から電源回路に至るまで独立させ、出力段、パワーバッファそれぞれのカレントループを形成しています。これにより、トランスの動作状態を安定化。
出力電流は、+B電源、-B電源より供給され、出力段電源は出力電流と独立しているため、大出力時にも電源変動を引き起こさず、A級動作を電源面からサポートしています。

スピーカー切換スイッチの介在による音質劣化を嫌い、スピーカー出力はステレオ1系統のみとしています。
また、1系統のみとすることにより、NFBループをスピーカー出力端子まで高安定のまま拡張しており。パワーMOS FET出力段からの端子と、Hi-fTパワートランジスタ・パワーバッファからの端子の両端子から信号を直接フィードバックし、歪補正を行うダイレクトエラーコレクションアンプを搭載して、出力段で発生するわずかな歪分だけでなく、出力コイルならびにスピーカリレーの微小ノンリニアも追放しています。

高強度のコンストラクションと電気的・機械的なグラウンドポテンシャルの獲得を目指し、左右シンメトリー・コンストラクションとしたうえ、シャーシ/フレームには高剛性の非磁性アルミ押し出し材を全面的に採用しています。
フロントパネルは12mm厚、メインシャーシとフレームは5mm厚、リアパネルには3mm厚と、段階的に厚みを変えた部材を用い、それぞれを強固にビス止めし、曲げ下降などの金属疲労を伴わない押し出し材ならではの特性、さらには各構造材の強度分布の連続性にも留意したアコースティック・チューンを施すことにより、美観も兼ね備えた、高バランスの有機構造体シャーシ/フレームとしています。

パワーステージに使用した20個の出力素子の放熱用には、3ピース構造の大型ヒートシンクで対処しています。
ティーパー状の放熱フィンは、ベースの厚みを違え、フィン一枚一枚の長さを階調構造としたレゾナンス分散型となっています。これにより、ヒートシンカー固有の振動モードを分散し、鳴きによる変調ノイズの発生を無くしています。
さらに、実装面では、放熱フィンの当たる部分にコルクスペーサーをかませ、高剛性シャーシにリジッドにマウントしており、ヒートシンカーを構造体の一部とすることで、不要共振の発生を防止しています。

電源ライン、出力系統は、6ミリ径の真鍮・金メッキシャフトにより、パワーステージアンプ基板・電源基板間を、ヒートシンカーをストレートに貫通させてジョイントし、配線処理における微妙な誤差や、それにより生じる特性変移の可能性を否定しています。
さらに、パワーステージアンプ基板には、OFC(無酸素銅)金メッキバスバーを埋め込み、低インピーダンスの中を電流が流れるリジッドな方式を採っています。
また、入力から出力に至る、すべての電気的接合部には、ネジ、ワッシャー類に至るまで金メッキ処理を施しています。

電源トランスには、低リーケージフラックスのトロイダル型を採用しており、出力段用、パワーバッファ用のふたつののトロイダルトランスを2段重ねとした総重量15kgに及ぶ大型ダブルトロイダルトランスを搭載しています。
シールドケース内部には充填材を詰め、トランスの鳴きを押さえています。
さらに1次側・2次側の結合率にすぐれたトロイダルパワートランスの長所を生かし、1次側にトロイダル型のチョークを別に挿入し、セミチョークインプット整流として、整流特性を改善し、電源オン時のラッシュカレントによるAC電圧の急激な変動、また定常時には各オーディオコンポーネント機器間の電源相互干渉も防いでいます。
平滑用のケミコンには、電流リップルの発生が少なく、温度安定性にすぐれた、定倍率箔・高音質のオーディオ用アルミ電解コンデンサを採用しています。
パワーMOS FET出力段には100000μF×2、パワーバッファアンプには22000μF×4の総計288000μFの大容量設計とし、コンストラクション上もパワーアンプのセンターに配置し、LR両chのアンプ部へバランス良く電力を供給します。

万が一のショート事故等による、出力素子の破壊、スピーカーの破損を防止するため、プロテクション回路を搭載しています。
プロテクション方式は低インピーダンス負荷や容量性負荷に対して、音質劣化の要因となりやすいPCリミッタを排除。過電流、及びDC成分検出時にのみ出力を遮断するリレースイッチによる保護回路方式としています。

パワースイッチとは別に、プロテクション連動のスピーカースイッチを設けています。
これにより、アウトプット・スタンバイ状態のままスピーカー出力のオンオフを行う事が出来ます。

スピーカーへの出力パワーレベルを表示するdBスケール・対数圧縮型のピークレベルメーターをLR独立で装備しています。
瞬時出力ワッテージを8Ω、及び4Ωの負荷レベルで読みとれます。

使用パーツには音質的な吟味を重ねたハイグレード素子を採用しています。
回路内コンデンサには、ポリプロピレンフィルムコンデンサや、マイカコンデンサ。抵抗には、金属被膜抵抗や、銅リードの無誘導巻抵抗。出力コイルにはホーローディップのOFCコイルを使用しています。

入力端子に、耐蝕性、コンタクト性にすぐれた金メッキ処理の真鍮削り出しピンジャックを採用しています。

スピーカー出力端子には、極太ケーブルにも適合する金メッキ処理の大型スクリュータイプを採用しています。

AC電源コードには、OFC線による10ミリ径のケーブルを使用しており、プラグに極性が表示されています。

CX-10000の電源オンオフに連動して、MX-10000のオンオフも可能にする専用ケーブル接続端子(送受信)が用意されています。
受信用端子に加えて、送信用端子も備える事により、DSPシステムなどでのMX-10000同士のパワー・オンオフリレーも可能となっています。
パワーコントロール信号の送り出しには、光結合素子=フォトカプラを使用して、音質劣化を防いでいます。

機種の定格
型式 パワーアンプ
定格出力(20Hz〜20kHz) 8Ω負荷時:250W+250W(0.001%THD)
6Ω負荷時:300W+300W(0.001%THD)
4Ω負荷時:400W+400W(0.002%THD)
ダイナミックパワー(1kHz) 8Ω負荷時:350W+350W
6Ω負荷時:450W+450W
4Ω負荷時:600W+600W
2Ω負荷時:900W+900W
1Ω負荷時:1200W+1200W
ダンピングファクタ 1000(1kHz、6Ω)
入力感度/インピーダンス 1.5V/25kΩ
周波数特性 2Hz〜300000Hz +0dB -2dB
全高調波歪率 0.0005%(20Hz〜20kHz、150W/ch、6Ω)
S/N比 132dB(IHF-A補正)
残留ノイズ 10μV(IHF-A補正)
チャンネルセパレーション 90dB(20Hz〜20kHz)
電源 AC100V 50/60Hz
消費電力 600W
外形寸法 幅475×高さ220×奥行543mm
重量 43kg