YAMAHA CX-2000
¥270,000(1988年頃)
解説
マルチメディア時代のリファレンスして開発されたステレオコントロールアンプ。
デジタル部では、光/電変換を行うLEDのON・OFFスピードの違い等により受信波形に生じる時間軸方向のゆらぎ(ジッター)に対応するため、ワイドキャプチャレンジ・ジッターレスPLL回路を搭載し、有害なジッターの混入を極少に抑えています。
これは、データ復調回路に新たに完全2次積分型フィルタ回路を組み込み、PLLが正規データを引き込むとループフィルタの高域ゲインを減衰させ、高周波のジッター成分を減少させるというもので、これにより、ゆらぎの極少なデータロック信号をD/A変換部に送っています。
また、データ復調回路において、VCOにこの完全2次積分型フィルタ回路を接続すると共にVCOからPDへの多重帰還ループを構成することで、入力信号に対するPLLの引き込み能力が向上しています。これにより、キャプチャレンジを無限大にまで拡大したことで高安定なデジタルデータ受信を実現しています。
さらに、データ復調回路へ侵入する外来雑音による誤動作を防止するため、入力信号に差動積分回路によるDCサーボをかけDC成分をゼロとすることで歪の少ない再生を実現しています。
D/A変換には、8fsx18bitデジタルフィルタと18bit動作ツインD/Aコンバーターで構成されるハイビットシステムを搭載しています。
このハイビットシステムは、デジタル信号の分解能を時間軸に対して8倍、振幅幅に対して4倍の、計32倍の分解能まで高め、D/A変換の直後から滑らかなアナログ信号出力を可能にしています。
これにより、音質的に影響の大きいアナログローパスフィルタを後段に設ける事無く、D/A変換信号をそのまま送り出すピュアDACダイレクト再生を可能にしています。
また、CX-2000のハイビットシステムでは、D/AコンバーターLSI自身に内蔵のI/V変換オペアンプを用いず、別途に独自のI/V変換オペアンプをしようし電流出力のままD/Aコンバータから信号を取り出しゲインを従来比10dB向上し、後段のFSH(フローティングサンプルホールド)でゲインを10dBダウンさせることによってD/A変換ノイズを低減しています。
アナログ信号を高純度なままにパワーアンプに送り出せるよう、ハイレベルアンプを20dBフラットアンプと0dBバッファアンプの2段構成とし、リモコンからも調整可能な4連ボリュームを採用して入出力の前後2ヶ所で音量を絞り込む事で実使用S/Nを向上させてます。
また、ソースダイレクト時にはトーンコントロール、モード切換、バランスもバイパスし、シンプルでストレートな信号経路を実現しています。
レコード再生にも万全を期し、MCヘッドアンプ内蔵フォノEQを搭載しています。
6ポジションのインピーダンス切換機能を搭載しており、様々なタイプのカートリッジを最適条件で使えます。
内部配線の引き回しによる特性劣化を防ぐため、半導体セレクタスイッチを採用し、入出力端子の間近で切換えるよう設計しています。
また、マイコンによるロジックコントロールにより、ビデオを見ながらCDを聴くといったA/V独立選択再生を楽しめます。
電源ラインを通じての相互干渉をなくすため、デジタル・ビデオ部/アナログ部/マイコン部を各々トランスから分離した独立3電源トランスを搭載しています。
さらに、デジタル・ビデオ用トランスは3巻線に、アナログ用トランスは2巻線に分離し、フォノイコライザアンプ基板、トーンアンプ基板、デジタル基板、マイコンシステムコントロール基板など各基板毎に定電圧回路を設けたマルチレギュレータ方式を採用し、ローノイズ・低インピーダンスの電力供給により音質を向上しています。
また、ビデオ部電源は単独にオンオフ可能で、さらにデジタル部はアナログソース選択時(デジタルソースのアナログ入力選択時を含む)にデータ復調回路のIC動作を停止し、ソース選択毎のピュアな使いこなしを可能にしています。
信号の相互干渉を排除するため、基板を各セクションごとに分離したセパレートシート構成にするとともに、それぞれ独立のBOXに分割収納する6BOXシャーシを採用しています。
6BOXは、デジタル部、マイコン部、フォノイコライザ部、電源部、トーンアンプ部、フラットアンプ部となっており、キャビネット内部を非磁性・銅メッキフレームで縦横に分割しており、さらにデジタル&マイコン部とラインアンプ部は上下に2分割し、その上でキャビネット全体を組み上げる堅牢な構造を採っています。これにより耐久性を大幅に向上し、機械的振動による変調の伊豆の発生を未然に防止しています。
また、デジタル特有のパルス性ノイズにも配慮し、デジタル部には別途に非磁性・銅メッキのトップカバーを用意してデジタル部全体をカバーし、デジタル野伊豆の伝播をさせないように配慮しています。
光/同軸デジタルアクセサリー入出力端子、12ポジションデジタル&AVレックアウトセレクタ、ソースダイレクト付3バンドトーンコントロール、バランスコントロール、ステレオ/モノ・モード切換、サブソニックフィルタ、ヘッドホン端子、金メッキジャック端子、極性表示付・極太OFC電源コードなどを搭載しています。
入力切換、音量調整などが行えるリモコンユニットを採用しています。
このリモコンはRSシステム対応となっており、RSマークの付いた製品もリモコンで操作できます。
機種の定格
型式 | コントロールアンプ |
入力感度/インピーダンス | Phono MC:100μV/10Ω、100Ω、1kΩ Phono MM:2.5mV/47kΩ・330pF、47kΩ・220pF、1kΩ Line:150mV/47kΩ |
最大出力 | 12V |
SN比 | Phono MC:85dB(250μV入力ショート) Phono MM:90dB(2.5mV入力ショート) Line:106dB(150mV入力ショート) |
全高調波歪率 (20Hz~20kHz) |
Phono MC:0.002% Phono MM:0.001% Line:0.001% |
周波数特性 | 20Hz~20kHz +0 -0.2dB |
RIAA偏差 | ±0.2dB(20Hz~20kHz) |
チャンネルセパレーション | Phono MC:80dB(入力ショート) Phono MM:85dB(入力ショート) Line:90dB(5.1kΩ) |
残留ノイズ | 1.5μV以下 |
トーンコントロール特性 | Bass:20Hz、±10dB(ターンオーバ周波数:350Hz) Mid:1kHz、±10dB Treble:20kHz、±10dB(ターンオーバ周波数:3.5kHz) |
サブソニックフィルター | 15Hz、12dB/oct |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 35W |
外形寸法 | 幅473x高さ130x奥行400mm |
重量 | 12.2kg |
付属 | リモコン RS-CX2000 |