オーディオの足跡

ハイレゾ音源配信 e-onkyo music

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 解説 

ヤマハが創業100周年を記念して開発したコントロールアンプ。
デジタル化の波と、芽生え始めた音場再生化の波と、さらに、対岸視にはできない高品位ビジュアル化の波を真摯に受けとめ、ヤマハが持てる現有最高レベルのエレクトロニクスを結集して作りあげられました。

音響補正を行う装置として、DEQ(デジタル・パラメトリック・イコライザ)を搭載しています。
このDEQが従来の多素子GEQと性質が異なるのは、素子のバラツキによる特性のあばれが無い事や、イコライザの3大要素である中心周波数、レベル、Q(山谷の鋭さ)を、精密に設定できること、そして、ロジックコントロールにより、リモートコントロールによっても的確さと音質を損なわない事です。
このDEQは、LOWバンド、MIDバンド、HIGHバンドの3バンド・パラメトリック構成で、さらに、LOWカットフィルタ、HIGHカットフィルタを組み込んでいます。
LOWバンドは20Hz〜500Hz、HIGHバンドは2kHz〜20kHzをカバーし、MIDバンドはLOW・HIGH両バンドをまたがるように、LOW・HIGH各バンドで設定された中心周波数間である、最大22Hz〜18kHzをカバーしています。
合わせて、20Hz〜20kHz間、1/6オクターブステップ、61ポイントの中心周波数の中から選択出来るようになっています。
レベル調整は3バンドともに0.1dBステップで-12dB〜+6dBの調整が可能で、Qは標準的な0.7から、より急峻な1.4、3.0、6.0の4段階。イコライジングカーブをブロードにも、ナローにも自在に変化させることができます。
この3バンドだけで、中心周波数、レベル、Qを組み合わせて得られるイコライジングカーブは約8兆通りあり、さらにスロープ特性(3段階)、カットオフ周波数14Hz〜900Hz間、37ポイントのLOWカットフィルタ、カットオフ周波数1kHz〜19kHz間、19ポイントのHIGHカットフィルタを加えると、約5京通りあり、とことんまで追い込むことも可能です。
また、中心周波数、Qを固定することで通常のバス/ミッド/トレブル・トーンコントロールと同様の使用も可能です。
内部演算は32ビット、ダイナミックレンジは約200dBに達するもので、人間の耳の最大ダイナミックレンジを超越しています。

音場補正を行う装置として、DSP(デジタル・サウンドフィールド・プロセッサ)を搭載しています。
オムニサウンドを実現したキー・デバイス、ヤマハオリジナルのCMOSタイプVLSI、デジタルサウンドプロセッサDSP LSIを3個搭載しており、音楽信号データのメモリー用にはDSP LSI1個につき、256kビットのDRAM6個を直結し、計18個のDRAMを割り付けることにより、総メモリ容量は576kバイトとなっています。
また、コンサートホールや教会などで実測した反射音データに基づく、音場空間特性のエコーパターンメモリー用には256kビットROMを搭載しており、これには初期反射音データ、初期反射音データ+残響音データ、残響音データの3タイプが集積されており、初期反射音データの場合では、1chあたり最大22本、4ch合計88本の反射音データを格納しています。
これらはホール1からシアター3までの全16ぷろぐらむとして用意され、各プログラム選択に応じて読み出されます。
パラメータコントロールは、1プラグラムにつき6パラメータの全96パラメータ。1msステップのディレイ制御、1%ステップの残響レベル調整など、音場アレンジも自由自在となっています。

DEQ、DSPのデジタルコントロールならではの特徴を活かし、アレンジされたこれらの特性を記憶しておくことができる、16通りのサウンドメモリー機能を装備しています。
DEQ単独、DSP単独のメモリーはもちろん、DEQとDSPを組み合わせてのサウンドメモリーも可能で、使うたびに再調整することなく、好みの特性を簡単に呼び出せます。

CD、DAT1、DAT2、VDP1、VDP2の5系統に、デジタルオーディオ・インターフェイスフォーマットに基づく、75Ω同軸ピンジャックを搭載しており、DAT1、DAT2にはデジタルレックアウトも設け、デジタルダビングも可能にしています。

A/Dコンバータを搭載することで、アナログ信号もデジタル信号に変換され、DEQ・DSPを通してデジタルコントロールすることが可能です。
A/D変換には、サンプリング周波数48kHz、量子化ビット16ビット直線の、DATクオリティのA/Dコンバータを搭載し、さらに、ディザ回路も合わせて搭載することにより、リニアリティの良いA/D変換も実現しています。
ディザ回路は、サンプリングされた入力信号に対して、量子化ステップ幅に相関する、確立変数に基づくディザ信号を重畳。変換後の出力信号から、このディザ信号を減算。様々な値をとりうる入力信号を、上下の量子化ステップに期待値として分布させるものです。
これにより、量子化エラーを大きく低減しています。
このA/Dコンバーターは、ヤマハ独自のADA LSIを使用し、LR独立のツイン構成としています。

D/A変換には、ヤマハオリジナルのハイビットデジタルフィルタを搭載しています。
帯域外ノイズ、帯域内リップルを16ビット分解能以下に抑圧し、4倍オーバーサンプリングにより、郡遅延歪みの発生を無くしています。
また、メイン信号に対しては、より高い精度を求め、ハイビットD/A変換システムを搭載しています。
このシステムは、18ビット動作のD/A変換で、ステップ歪を1/4に低減しています。
これにより、小信号時の変換リニアリティを向上しています。
D/Aコンバーター自身には、高速動作のグリッチレスD/Aコンバータを使用しており、メイン信号、フロント・プレゼンス信号、リア・プレゼンス信号ともに、LR独立・ツイン構成としています。

音量調整には、これまでのボリューム+アンプに替わり、アンプそのものの利得を可変させることで任意のボリュームレベルを得ることが出来るVCAと搭載しています。
VCAの最も重要なアンプには、64個の超ローノイズ・トランジスタにより構成された1チップICを開発し、このVCA ICを、片chにつき、アナログ入力直後のVCA1に対し3個、アナログ出力直前のVCA2に対し1個をそれぞれ使用しています。
また、VCAの制御方式は、ボリューム回転角に対する制御電圧をA/Dコンバータを介してデジタル信号に変換し、それを内蔵のマイコンシステムがデータテーブルと参照して減衰量を読み出し、VCA1、VCA2のふたつのVCA、そして、デジタル入力直後のDEQの計3ヵ所に対して送り出しています。
さらに、VCA1、VCA2には、それぞれ専用のデータテーブルが用意されており、デジタル信号をD/Aコンバータを介してコントロール電圧に変換し、VCA ICを動作させており、VCA1に+20〜-6dB、VCA2に-6〜∞dBの各ゲインを持たせています。
これによって、アナログインからのソースだけでなく、デジタルインのソースも統括的に制御しており、ボリューム自体はアナログ感覚でありながら、デジタル制御を可能としています。
当然のことながら、これまでのボリュームに見られる摺動雑音やガリ音、ギャングエラーは起きません。

プログラムソースの機器の出力レベルは一定ではないため、同一条件のもとに入力した場合、音量差による聴感上の支障が生じます。
これを解消するため、入力ソースごとに異なる信号レベルをアンプ側で微調整できるよう、インプットレベル・ボリュームプリセット機能を搭載しています。
入力感度を0〜-6dBの範囲で、CDからVCR2の計11入力に対して、それぞれの設定が可能です。

内部配線の引き回しによるクロストークの発生や、接点の酸化による伝送特性の劣化を防ぐため、アナログ、デジタル、ビデオの各入出力切換には、ディスクリート・トランジスタを使用した、8ビットマイコン制御のオリジナル電子スイッチを採用しており、VCAとあわせて、入力から出力に至るまでの無接点コントロールを実現しています。

メカニズムを持たないアンプといえども、キャビネット/シャーシの材質、構造によって音質は大きく左右されるとの観点から、キャビネット/シャーシの高剛性化を図っています。
フロントパネル9mm厚、トップとボトムプレート5mm厚、リアパネル3mm厚と、それぞれに非磁性のアルミ押し出し材を採用しています。
また、高周波のデジタル信号のアナログ回路への飛びつきを防止するため、アナログ部とデジタル部を上下に2分割した2BOXシャーシ構造としています。
センタープレートには5mm厚の非磁性アルミ押し出し材を使用し、アナログ部のマザーボード、デジタル部のデジタル基板及びDEQ・DSP基板は、10mm径の真鍮削り出しポストでこのセンタープレートに固定され、振動による悪影響も防いでいます。

アナログ回路への振動による悪影響を少なくするため、アナログ回路の各セクションごとに基板を分割したユニットアンプ構成を採用しています。
VCA1(L/R)、VCA2(L/R、FL/FR、RL/RR)、ロパスフィルタ(LR、F/R)、ミューティング・ドライブ回路の合計12個のユニットアンプ基板に分割し、さらに空間を伝播する外来ノイズの侵入を防ぐため、非磁性アルミ押し出し材によるユニットハウジングを用意し、12個のユニットアンプ基板を6個のユニットハウジングに格納しています。

映像入力を4系統、出力を2系統備え、ビデオカセットレコーダ相互のダビング編集なども可能にしています。また、映像信号を送り出すモニター出力、及びレックアウトには、ビデオバッファを搭載しています。

ワイヤレス・リモートコントロールユニットが付属しています。
デジタルコントロールのDEQ・DSP部や、入出力切換、音量調整を行うマイコン制御の電子スイッチ、VCAなど、信号ラインの内部にコントロール信号が関与しないため、高音質・高精度の外部コントロールが可能です。

電源を介しての相互干渉をなくすため、アナログ部、デジタル部、ビデオ部を電源回路も含めて分離した3トランス構成としています。
各トランスには、オリエントコアをふんだんに使用し、十二分の電源容量を備えながら、リーケージフラックスを極小にするため低磁束密度で使用しています。
さらに、シールドケース内部にエポキシ系樹脂を充填することにより、有害な振動を抑え込んでいます。

DEQ、DSP各部の表示には、バックライト付の液晶ディスプレイを採用しています。
DEQ部では3バンドの中心周波数、レベル、Qの数字による表示に加え、周波数スケールにトライアングル表示を付属しており、DSP部では、各プログラム名をはじめ、各パラメータのアルファベット・数字による表示を可能にしています。

アナログの各ユニットアンプ基板、及びマザーボード、デジタル部のデジタルコントロール基板、及びデジタルプロセッシング基板には、耐久性、温湿度特性にすぐれたガラスエポキシ基板を採用しています。
両面スルーホールとして、電気特性を向上させるとともに、パーツ実装信頼度を高めています。

電源部に使用のコンデンサは、CX-10000用に開発した、低倍率・高音質オーディオ用ケミコンを採用しています。
このほか、銅箔マイラーコンデンサなど、各回路部には高音質パーツが採用されています。

アナログ、デジタル、ビデオ入出力端子の全てに、耐蝕性、コンタクト性にすぐれた金メッキ処理の真鍮削り出しピンジャックを使用しています。

AC電源コードにはOFC線による10mm径のケーブルを採用しており、電源プラグに極性が表示されています。

CX-10000の電源オンオフに連動してMX-10000の電源オンオフを可能にする専用ケーブル接続端子を搭載しています。
パワーコントロール信号の送り出しには、光結合素子であるフォトカプラを使用して、音質劣化を防いでいます。

機種の定格
型式 プリアンプ
入力感度/インピーダンス アナログ:150mV/47kΩ
デジタル:0.5Vp-p/75Ω
ビデオ:1Vp-p/75Ω
全高調波歪率 0.003%(20Hz〜20kHz、アナログイン、DEQオフ)
最大出力電圧 3Vrms
S/N比 110dB(IHF-A補正)
周波数特性 15Hz〜100000Hz(アナログイン、DEQオフ)
トーンコントロール特性
LOWバンド: fo:20Hz〜500Hz
レベル可変範囲:-12dB〜+6dB
Q:0.7、1.4、3.0、6.0
MIDバンド: fo:22Hz〜18kHz
レベル可変範囲:-12dB〜+6dB
Q:0.7、1.4、3.0、6.0
HIGHバンド: fo:2kHz〜20kHz
レベル可変範囲:-12dB〜+6dB
Q:0.7、1.4、3.0、6.0
LOWカットフィルタ: fc:14Hz〜900Hz
スロープ特性:6dB/oct、12dB/oct、18dB/oct
HIGHカットフィルタ: fc:1kHz〜19kHz
スロープ特性:6dB/oct、12dB/oct、18dB/oct
電源 AC100V 50/60Hz
消費電力 70W
外形寸法 幅475×高さ177×奥行442mm
重量 25kg