オーディオの足跡

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CA-S1の画像
 解説 

C-2aやB-3で得た技術をベースに最高峰のアンプを目指して開発されたプリメインアンプ。

基本的な回路構成は、ローノイズDual FETを初段に採用したDCイコライザー→イコライザとほぼ同じ構成のDCフラットアンプ→アンプの出力インピーダンスを-1Ω~+1Ωまで連続可変できるRoコントロールを搭載したHigh Speed High-fTトランジスタ採用のDCメインアンプという構成になっており、これにローノイズMCヘッドアンプとターンオーバー周波数連続可変型のトーンコントロールを搭載しています。
開発にあたっては新たにスペクトラムアナライザとコンピューターを組合わせたHP-IBオーディオアナライズシステムを導入し、従来の測定器の解析限界を超えるレベルで各ユニットアンプの諸特性を検討しています。

新しい機能としてアンプの出力インピーダンスを+1Ω~-1Ωにわたって連続可変できるRo(出力インピーダンス)コントロール回路を採用しています。
この回路は、アンプの出力電流を検出し、Roコントロールアンプを通しパワーアンプのNFB回路へ加算することでコントロールしており、これによってスピーカーに対する音色コントロールやスピーカーコードの抵抗分などによる特性劣化を少なく抑えます。

イコライザ回路は、ローノイズDual FETによる差動入力カレントミラーカスコードブートストラップ、ダーリントン接続プリドライブ、ピュアコンSEPP-OCLによるDCアンプ構成となっています。
初段のローノイズDual FETは、High-gmの2つのFETの電気的、熱的特性を揃えて同一のパッケージに収めたもので、DCアンプ構成の初段の素子として優れた特性を得ています。
また、カレントミラー回路を配し充分なゲインと低歪率を得るとともに、カスコードブートストラップ回路によりカートリッジを接続した場合の、高域での信号源インピーダンスの上昇により歪率の劣化を少ない値に抑えています。
2段目はダーリントン接続定電圧負荷のエミッタ接地増幅回路で、初段に対する負荷を軽くしています。また、出力段はペア特性の良く揃ったfTの高いトランジスタによるピュアコンSEPP-OCL回路で、出力インピーダンスを充分に低く設計し大きな出力電圧を低歪率で得ています。
さらに、高精度のコンデンサと抵抗を採用することでRIAA偏差も優れた特性となっています。

フラットアンプの回路はほぼイコライザアンプと同様で、ローノイズFETによる差動増幅回路にカレントミラーとカスコードブートストラップ回路をアッセンブリした初段、エミッタ接地増幅、ピュアコンSEPP-OCLのDCアンプ構成で、220Ωという低い出力インピーダンスを得ています。
また、このフラットアンプは、イコライザ段と同じく初段にカスコードブートストラップ回路を採用しているため、フラットアンプの入力につながる他の機器の信号源インピーダンスの変化によって歪率が変化することを抑えています。

メインアンプの初段は、特にローノイズに設計されたHigh-gmのDual FETによるソースフォロアと、カスコード接続されたデュアルトランジスタによる平衡送り出し差動増幅回路で、2段目のプリドライブ段もカレントミラープッシュプル差動増幅回路となっています。このステージでは、イコライザ・フラットアンプと同様にカスコードブートストラップ回路を採用しているために、信号源インピーダンスの変化による歪率の増加が少なく抑えられています。
プリドライブ段で採用されてたカレントミラー回路は、電圧増幅段として充分なゲインを得ると共に、二つのトランジスタが一種のプッシュプル回路の働きをして、偶数次の高調波歪を打ち消す働きをします。
また、DCアンプで特に問題となる中点電圧の温度変化及び時間によるDCドリフトが、デュアルFETの採用とカスコードブートストラップ回路により非常に少なく抑えられており、安定度が高く、ハイスルーレートで低歪な電圧増幅段を実現しています。
そして、電力増幅段は、High-Speed High-fTトランジスタで構成された3段ダーリントン接続ピュアコンプリメンタリーパラレルプッシュプルOCL回路となっており、ペア特性の良く揃ったHigh-fTトランジスタを3段構成とすることで、充分な電力ゲインを広帯域にわたって得ると共に、各段の蓄積電荷の速やかな放電と無負荷時の安定度を向上させています。
この出力トランジスタの性能を引き出すために、ドライブ段のE-E間にダイオードと抵抗をシリーズに接続し、この抵抗の値を充分に低い値にしています。これによりベース領域の電荷放電インピーダンスが低くなり、立ち上がり、立ち下がりの早いメイン部となっています。

MCヘッドアンプには、厳選したローノイズトランジスタ4個による回路構成を採用しています。

トーンコントロール回路には、ターンオーバー周波数可変型を採用しており、回路構成は入力差動・出力SEPP-OCLのオーディオICによるトーンアンプと、ターンオーバー周波数を連続可変するためのトランジスタ4個による擬似バリアブルインダクタ、そしてトランジスタ4個による擬似バリアブルキャパシタにより構成されています。このためターンオーバー周波数を連続可変することができ、プログラムソースを広い周波数範囲にわたって微妙にコントロールすることが出来ます。
電気的に作り出されたインダクタとキャパシタなので、電磁誘導に強く、トーンアンプICと相まって高いSN比と低歪率特性を得ています。また、このトーンコントロール回路は0dBゲインに設定されており、Tone CircuitスイッチをBypassポジションにすることで、信号経路から外す事ができます。

実使用時のSN比を改善するため高精度4連ボリュームを採用しており、片チャンネル当り2連のボリュームをフラットアンプの入力側と出力側に挿入し、ボリュームを絞る実使用時の実特性を大幅に改善しています。

CA-S1のコンストラクションは、メインシートにアースラインのインピーダンスを充分に低くするための銅板のアースラインを真中に配して、ほぼ左右対称のレイアウトパターンを描いています。
また、±B電源は縦方向と横方向の両方にバランスがとれるようにレイアウトし、負帰還をできるだけ配置上の出力側から取り出して出力インピーダンスを下げ、さらにスピーカー切換スイッチは延長シャフトによってリアパネル部に持っていってスピーカー端子と一体化し、メインシートとは最短の結線としています。
入力側はピンジャックとアンプ部をシールド線を用いずにダイレクトに接続し、音質・特性上で重要な部分には銅板のアースを用いてインピーダンスを下げています。
使用されている部品にも厳選したものを使用しており、特に音質上重要なパーツは聴感でセレクトしたものを採用しています。また、イコライザの出力に挿入されるコンデンサには、ヤマハカスタムのオーディオ用カップリングコンデンサを採用し、ケミコンには低インピーダンスのケミコンを使用し、さらにケミコンの限界を補うためにマイラーコンデンサをパラレルに接続し、高域でのインピーダンス上昇を抑えています。

Phonoセレクターを搭載しており、カートリッジの負荷インピーダンスを4段階から選択できます。
また、MCポジションも搭載しています。

Rec Out Selectorを搭載しており、再生中のソースに関係なく、rec outの信号を選べます。

サブソニックフィルターやオーディオミューティング、ラウドネス、ステレオ/モノを切換えるモノスイッチなどを搭載してます。

プリアウト、メインイン端子を搭載してます。

機種の定格
型式 プリメインアンプ
実効出力(20Hz~20kHz、歪0.01%) 90W+90W(8Ω)
パワーバンド幅(8Ω、45W、歪0.01%) 10Hz~50kHz
出力インピーダンスコントロール 可変インピーダンス範囲:-1Ω~+1Ω(20Hz~20kHz)
0Ωポジションでのダンピングファクター:100以上(1kHz、8Ω)
入力感度/インピーダンス Phono1 MM:2.5mV/100Ω、33kΩ、47kΩ、68kΩ
Phono1 MC:200μV/100Ω
Phono2 MM:2.5mV/47kΩ
AUX、Tuner、Tape1、2:150mV/47kΩ
Main in:1V/47kΩ
最大許容入力(歪0.01%) Phono1 MM:250mV(1kHz)
Phono1 MC:10mV(1kHz)
Tuner:15V(20Hz~20kHz)
定格出力/インピーダンス/最大出力 Rec out:150mV/600Ω
Pre out: 1V/220Ω/10V(1kHz)
1V/220Ω/5V(20Hz~20kHz)
周波数特性 Phono→Rec out:20Hz~20kHz ±0.2dB(RIAA偏差)
Tuner→SP out:4Hz~100kHz +0 -1dB(8Ω)
全高調波歪率(20Hz~20kHz) Phono1、2 MM→Rec out(5V):0.003%以下(0.001%以下)
Phono1 MC→Rec out(3V):0.01%以下
AUX、Tuner、Tape1、2→Pre out(3V):0.003%以下(0.001%以下)
AUX、Tuner、Tape1、2→SP out(45W):0.005%以下(0.004%以下)
Phono1 MM→SP out(Volume-30dB、45W):0.005%以下(0.004%以下)
Main in→SP out(8Ω、45W):0.005%以下(0.003%以下)
※括弧内はHP-IBによる第10次までの高調波の合計
混変調歪率(60Hz:7kHz=4:1) Tuner→SP out:0.003%以下(45W、8Ω)
SN比(IHF Aネットワーク) Phono1 MM:87dB
Phono1 MC:73dB
AUX、Tuner、Tape1、2(Tone on):102dB
AUX、Tuner、Tape1、2(Tone bypass):110dB
Main:120dB
残留ノイズ 25μV以下(IHF Aネットワーク、Volume MIN)
NDCR Phono1 MM→SP out:4mW~90mW(1kHz、歪0.01%、Volume -20dB)
トーンコントロール特性 Bass:100Hz~500Hz連続可変
Treble:1kHz~5kHz連続可変
サブソニックフィルター 15Hz、12dB/oct
ラウドネス(Volume -40dB) 100Hz:+10dB、10kHz:+6dB
チャンネルセパレーション(1kHz) AUX、Tuner、Tape1、2→SP out:65dB(5.1kΩショート)
Phono1、2 MM→SP out:65dB(入力5.1kΩショート、Volume -30dB)
Phono1 MC→SP out:65dB(Volume -30dB)
オーディオミューティング -20dB
ACアウトレット switched:2系統
unswitched:1系統
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
定格消費電力 250W
外形寸法 幅435x高さ162x奥行372mm
重量 14.5kg