オーディオの足跡

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CA-R11の画像
 解説 

CA-R1をベースにCA-S1の技術を投入して開発されたプリメインアンプ。

基本的な回路構成は、ローノイズデュアルFETを初段に採用したDCイコライザー、DCフラットアンプ、アンプの出力インピーダンスを-1Ω~+1Ωまで連続可変できるRoコントロールを装備したHigh Speed High ftトランジスタを採用したDCメインアンプの3つの回路で構成されており、さらに、ローノイズMCヘッドアンプと0dBゲイントーン回路が必要な場合は挿入されます。
CA-R11の開発にあたっては、新たにスペクトラムアナライザとコンピューターを組み合わせたHP-IBオーディオアナライズシステムを導入しており、従来の測定器の解析限界を超えるレベルで各ユニットアンプの特性を検討しています。

イコライザ回路はDCアンプ構成を採用しており、ローノイズDual FETによる差動入力カレントミラカスコードブートストラップ、ダーリントン接続プリドライブ、ピュアコンプリメンタリーSEPP-OCLとなっています。
初段のDual FETは、gmの高い2つのFETの電気的、熱的特性をそろえて同一パッケージに収めたもので、DC構成アンプの初段の素子として優れた特性を得ています。また、カレントミラ回路を配することで充分なゲインを低歪で得るとともに、カスコードブートストラップ回路によってカートリッジ実装時の高域での信号源インピーダンス上昇による歪率の劣化を少なく抑えています。
2段目は、ダーリントン接続定電流負荷のエミッタ設置増幅回路で、初段に対する負荷を軽くしています。また、出力段はペア特性の良く揃ったftの高いトランジスタによるピュアコンプリメンタリーSEPP出力インピーダンスを充分に低く設計し、大きな出力電圧を低歪率で得ています。
また、高精度のコンデンサと抵抗を採用することでRIAA偏差も優れた特性を実現しています。

フラットアンプ回路はほぼイコライザアンプと同じ構成となっており、ローノイズFETによる差動増幅回路にカレントミラとカスコードブートストラップ回路をアッセンブリした初段、エミッタ接地増幅、ピュアコンプリメンタリーSEPP-OCLというDCアンプ構成となっています。これにより220Ωという低い出力インピーダンス(Pre out)を得ています。
また、このフラットアンプは、イコライザ段と同じく初段にカスコードブートストラップ回路を採用しているため、フラットアンプの入力に接続されるTuner、Aux、Tape系の機器の信号源インピーダンスの変化によって歪率が劣化することを抑えています。

メインアンプの初段は、特にローノイズに設計されたHigh-gmのデュアルFETによるソースフォロアと、カスコード接続されたデュアルトランジスタによる平衡送り出し差動増幅回路で、2段目のプリドライブ段もカレントミラープッシュプル差動増幅回路となっています。このステージでは、イコライザとフラットアンプ同様にカスコードブートストラップ回路を採用しているため、信号源インピーダンスの変化による歪率の増加が少なく抑えられています。また、プリドライブ段で採用されたカレントミラー回路は、二つのトランジスタが一種のプッシュプルの働きをすることで、偶数次の高調波歪を打ち消す働きをしています。これらの構成により、DCアンプで特に問題となる中点電圧の温度変化及び時間によるDCドリフトが非常に少なく抑えられており、安定かつハイスルーレートで低歪率な電圧増幅段を実現しています。
電力増幅段にはHigh Speed High ft(利得帯域)のトランジスタで構成された3段ダーリントン接続のピュアコンプリメンタリーパラレルプッシュプルOCL回路を採用しています。この回路では、ペア特性の良く揃ったHigh-ftのトランジスタを3段構成にすることで、充分な電力ゲインを広帯域にわたって得るとともに、各段とも蓄積電荷の速やかな放電と、無負荷時の安定度を重視した設計となっています。
また、High Speed High ft出力トランジスタの性能を最大限に引き出すため、ドライブ段トランジスタのE-E間にダイオードと抵抗をシリーズ接続しており、抵抗値を充分に低い値にしています。これによりベース領域の電荷放電インピーダンスが充分に低くなり、立ち上がり、立下りの速いメインアンプ部を実現しています。

アンプの出力インピーダンスを±1Ωにわたって連続可変できるRo(出力インピーダンス)コントロールを搭載しています。
Roコントロールは、スピーカーのダンピング特性に関与するQを、スピーカーシステムを直接操作せずに変化させることができます。たとえば、比較的Qの高いスピーカーの場合は、Roコントロールを−側にすることでQが低くなって平坦な特性にすることができ、比較的Qの低い場合はRoコントロールを+側にすることで平坦な特性にすることが可能です。
さらに、Roコントロールを用いた、スピーカーケーブルの直流抵抗分を相殺する負荷インピーダンスで駆動することで、ケーブルの影響を少なくすることができます。

MC型カートリッジに対応するためMCヘッドアンプを搭載しています。
回路は、厳選したローノイズトランジスタ4個で構成されており、100μV入力で73dBのSN比と20Hz~20kHzにわたって0.01%以下という特性を実現しています。さらに、MCカートリッジの出力レベルである100μVオーダーの回路におけるスイッチ接点のゼーベック効果やノイズなどの諸問題を解決し、フロントパネル面のセレクターによって切換使用ができます。

トーンコントロール回路にはヤマハ方式のNF型を採用しており、素直なコントロール特性を得るとともに、Defeat時には特性がフラットになります。また、ターンオーバー周波数を2段階切換式にすることでより細かい調整が可能です。

内部コンストラクションは、アースラインのインピーダンスを充分に低くするため銅板のアースラインを真中に配し、ほぼ左右対称のレイアウトパターンとなっています。また、±B電源は縦方向と横方向の両方にバランスがとれるようにレイアウトし、負帰還をできるだけ配置上の出力側から取り出して出力インピーダンスを下げています。また、スピーカー切換スイッチは延長シャフトによってリアパネル部のスピーカー端子と一体化し、メインシートとは最短の結線をしています。
さらに、使用部品には歪の発生の少ないコンデンサや抵抗を用いており、特に音質上重要なパーツには聴感でセレクトしたものを採用しています。

インプットセレクターとは別にPhono回路用にPhonoセレクターを搭載しています。これによりカートリッジの負荷インピーダンス調整やMCポジションへの変更が可能です。
また、100Ωは高出力タイプのMCカートリッジ専用に搭載しています。

Rec outセレクターを搭載しており、アンプが再生しているソースとは別のソースをRec outへ出力できます。
また、Rec out offのポジションでは、Rec out端子に接続されているデッキなどがRec outから切り離され、デッキの電源をOFFにした場合の入力インピーダンス低下による音質への悪影響を防止することができます。

サブソニックフィルターや-20dBオーディオミューティング、ラウドネスを搭載しています。

Pre out/Main in端子を搭載しています。

機種の定格
型式 プリメインアンプ
実効出力(20Hz~20kHz、歪0.01%) 70W+70W(8Ω)
パワーバンド幅(8Ω、35W、歪0.01%) 10Hz~50kHz
出力インピーダンスコントロール 可変インピーダンス範囲:-1Ω~+1Ω(20Hz~20kHz)
0Ωポジションでのダンピングファクター:100以上(1kHz、8Ω)
入力感度/インピーダンス Phono1 MM:2.5mV/100Ω、33kΩ、47kΩ、68kΩ
Phono1 MC:100μV/100Ω
Phono2 MM:2.5mV/47kΩ
Aux、Tuner、Tape1、2:150mV/47kΩ
Main in:1V/47kΩ
最大許容入力(歪0.01%、1kHz) Phono1 MM:250mV(1kHz)
Phono1 MC:10mV(1kHz)
定格出力/インピーダンス/最大出力 Rec out1、2:150mV/600Ω
Pre out:1V/220Ω/10V
周波数特性 Phono→Rec out:20Hz~20kHz ±0.2dB(RIAA偏差)
Tuner→SP out:4Hz~100kHz +0 -1dB(8Ω)
全高調波歪率(20Hz~20kHz) Phono1、2 MM→Rec out(5V):0.003%以下(0.001%以下)
Phono1 MC→Rec out(3V):0.01%以下
Aux、Tuner、Tape1、2→Pre out(3V):0.003%以下(0.001%以下)
Aux、Tuner、Tape1、2→SP out(35W):0.0065%以下(0.005%以下)
Phono1 MM→SP out(Volume-30dB、35W):0.0065%以下(0.005%以下)
Main in→SP out(8Ω、35W):0.005%以下(0.004%以下)
※括弧内はHP-IBによる第10次までの高調波の合計
混変調歪率(60Hz:7kHz=4:1) Tuner→SP out:0.003%以下(35W、8Ω)
SN比(IHF Aネットワーク) Phono1/2 MM:85dB
Phono1 MC:73dB
Aux、Tuner、Tape1、2(Tone on):102dB
Aux、Tuner、Tape1、2(Tone bypass):110dB
Main:120dB
残留ノイズ(IHF-Aネットワーク、Vol.Min) Tone on:180μV以下
Tone bypass:75μV以下
NDCR Phono1 MM→SP out:7mW~70mW(1kHz、歪0.1%、Volume -20dB)
トーンコントロール特性 Bass:±10dB(20kHz)
    ターンオーバー周波数:500Hz、125Hz
Treble:±10dB(20kHz、ターンオーバー周波数2.5kHz時)
     ±7dB(20kHz、ターンオーバー周波数8kHz時)
     ターンオーバー周波数:2.5kHz、8kHz
サブソニックフィルター 15Hz、12dB/oct
ラウドネス(Volume -30dB) +11dB(70Hz)、+7dB(10kHz)
チャンネルセパレーション(1kHz) Aux、Tuner、Tape1、2→SP out:65dB(5.1kΩショート)
Phono1、2 MM→SP out:65dB(入力5.1kΩショート、Volume -30dB)
Phono1 MC→SP out:65dB(Volume -30dB)
オーディオミューティング -20dB
ACアウトレット switched:2系統
unswitched:1系統
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
定格消費電力 200W
外形寸法 幅435x高さ162x奥行372mm
重量 13.5kg