オーディオの足跡

ハイレゾ音源配信 e-onkyo music

B-5の画像
 解説 

リニアトランスファ回路やオールFET回路構成を採用したステレオパワーアンプ。

B-5の基本的な回路構成は、初段はローノイズHigh-gm Dual FETによるカスコードブートストラップ差動増幅回路、プリドライブ段はカスコード接続カレントミラープッシュプル差動増幅回路、ドライブ・出力段はリニアトランスファ回路をもつ3段エミッタフォロアーによるピュアコンプリメンタリートリプルプッシュプルOCLを採用したDCアンプ構成となっています。
このB-5の開発には、コンピュータとスペクトラムアナライザを組合わせたHP-IBオーディオアナライズシステムを導入しており、全てのデータを測定して設計がされています。このHP-IBシステムは、歪でいうならば2次〜10次以上にわたる高調波歪成分を0.00005%オーダーで解析することができ、周波数特性の場合は10MHz以上にわたって0.01dBのオーダーで吟味することが可能な測定システムです。

初段はローノイズでHigh-gmのDual FETによる平衡送り出し差動増幅回路にカスコードブートストラップ回路をアッセンブリーしています。このDual FETはローノイズでgmの高い2つのFETの電気的、熱的特性を揃えて同一のパッケージに納めたもので、DCアンプの初段の素子として充分な特性を得ています。また、アッセンブリーされたカスコードブートストラップ回路は、Dual FETのVDSをFETが能動領域にある最低の値で動作させることができるため、ドレイン・ゲートリーク電流変化による入力端子での歪率の劣化を防止することができています。

プリドライブ段は、カスコード接続カレントミラー回路によるプッシュプル差動増幅回路となっています。このカレントミラー回路はA級プッシュプル動作をするため、偶数次の高調波歪が非常に少なく抑えられるとともに、電圧増幅段として充分な増幅度を得ています。

初段とプリドライブ段のFETには5mA以上の電流を流すことで容量に対する充電能力を大きくとってあり、過渡的な信号に対する応答特性も良好で、過渡時における内部クリップがありません。

出力段のトランジスタには、新開発の銅ステムHigh fTトランジスタを採用しています。このトランジスタは、最大コレクタ損失(Pc)150W、最大コレクタ電流(Ic)15A、耐圧(VCBO)180Vという大電力型でありながら高域限界周波数がNPN型の2SC2707で90MHz(typ)、PNP型の2SA1147で70MHz(typ)と非常に高くなっており、従来のバイポーラトランジスタをB級動作させた場合の欠点であるスイッチング歪を大幅に低減しています。また、アンプの歪率に関与するhfeのリニアリティもNPN、PNP型ともに広い電流範囲にわたって優れています。
また、パワートランジスタのケースに従来の鉄に変わり銅ステムを採用しており、さらにソケットや取付けネジも銅製のものを使用しています。加えて大電流の流れるパワー段のエミッタ抵抗に無誘導巻きの銅端子抵抗を採用するなど、大電流の流れる部分に音質劣化の少ない銅を全面的に採用しています。

電力増幅段にはリニアトランスファ回路を採用した3段エミッタフォロアーピュアコンプリメンタリートリプルプッシュプルのDCアンプ構成となっています。ペア特性の良く揃ったHigh fTのトランジスタを3段構成とすることで充分な電力ゲインを広帯域にわたって得るとともに、各段ともB級動作領域でのキャリア放電速度を早め、高域での周波数特性の低下や歪率の劣化をj防ぎ、さらに無負荷時の安定度も高くとっています。

B-5ではクロスオーバー歪を大幅に低減するためリニアトランスファ回路を採用しています。
リニアトランスファ回路では、トリプルプッシュプルで使用している3個のパワートランジスタに、独自の回路構成によるバイアスをかけることでそれぞれのトランジスタの動作点をずらし、小信号時の合成伝達特性を二乗特性に近づけることでリニアな特性を得てクロスオーバー歪の発生を抑えています。

電源回路に世界で初めてポリプロピレンケースを採用したオーディオ専用のアルミ電解コンデンサを採用しています。
従来のアルミケースの場合、アルミ箔中を流れる電流によって放射される電磁界がアルミケースによって歪められ、結果的に音声信号に悪影響を与えていましたが、ポリプロピレンケースの採用によってこの問題を解決しています。
また、内部構造では電極箔を従来の約半分に低倍率化しており、さらに高速電解液を採用や、リード引き出し本数の50%増し、端子間をなるべく近づけて電極間のループを小さくするなどにより、インピーダンスの低減を実現してます。その他にもアルミ箔の巻取りを固くして振動を抑えたり、端子構造に異種金属接合部を無くすなど、特性に表れないところまで細かく吟味されています。

電源回路にはレギュレーションの良い大容量トロイダルトランスとポリプロピレンケースを用いたオーディオ用電解コンデンサを採用しています。さらに、コンデンサの高域限界を補うため、ヤマハカスタムのオーディオ用マイラフィルムコンデンサをパラレルに接続し、高域での電源インピーダンスの上昇を抑えています。
また、B-5では電力増幅段は3段ダーリントン接続となっていますが、1段目のエミッタフォロアーの電源をプリドライブ段の±80V定電圧電源より供給し、2段目のドライブトランジスタへは±B電源より±10V積み上げた電源より供給しています。これにより微少信号から大振幅時の信号まで安定した増幅を行っています。
さらに、電圧増幅段である初段やプリドライブ段には左右独立したローカル定電圧電源を設けており、電源側と信号側のアイソレーションの改善や、電源からの影響によるIM歪や共通インピーダンスなどによるL/R間のクロストークを改善しています。

スピーカーがショートしたような過負荷な状態や、4Ω以下のローインピーダンス負荷からパワートランジスタを保護するため、パワートランジスタ損失(Pc)を検出してドライブを制限するPcリミッタ回路を搭載しています。

入力端子にDCが入力された場合や、アンプに異常が生じて出力端にDC電圧が漏れた場合に、DC電圧を検出してスピーカー回路をリレーで切り離すスピーカー保護回路を採用しています。
このリレーには、タイミングをずらした親子の接点とマグネットによるアーク吹消装置付きのハイパワー遮断タイプを採用しており、長期にわたって安定した動作を確保しています。

電源スイッチ投入時に発生するショックノイズからスピーカーを保護するため、アンプが正常な動作になるまでの約5秒間スピーカーを切り離すミューティング回路を搭載しています。

主要回路内のパーツには、窒化タンタル抵抗やポリプロピレンフィルムコンデンサ、マイカコンデンサ、通常の倍厚の70μ圧銅箔を使用したプリント基板、2mm厚のバスアース、金メッキを施した入出力端子などのクォリティパーツを採用しています。

DC入力専用のピンジャックの他に、良質のマイラーフィルムコンデンサを挿入することでDC成分をカットしたAC入力端子を搭載しています。これによりAC-DC切換えスイッチの接点による音質劣化を防いでおり、カットオフ周波数6.4Hzで有害なDC漏れからアンプを保護しています。

2系統のスピーカー出力端子を搭載しています。
接続された2組のスピーカーは、フロントパネルの照光タイプの切換えスイッチによってA/B/A+B/OFFの4通りの切換えができます。

左右独立の入力レベルコントロールを搭載しています。

機種の定格
型式 ステレオパワーアンプ
定格出力
20Hz〜20kHz: 350W+350W(4Ω、歪0.01%)
240W+240W(8Ω、歪0.005%)
1kHz: 350W+350W(4Ω、歪0.005%)
250W+250W(8Ω、歪0.003%)
パワーバンド幅(8Ω、120W) 10Hz〜100kHz(歪0.01%)
ダンピングファクター 200(8Ω、20kHz)
入力感度/インピーダンス 1V/25kΩ(470pF、8Ω、100W)
周波数特性(8Ω、120W)
mode DC  10Hz:
1kHz:
100kHz:
0dB
0dB
-0.7±0.5dB
mode AC  10Hz:
1kHz:
100kHz:
-1.5±0.5dB
0dB
-0.7±0.5dB
全高調波歪率(120W、8Ω) 0.003%以下(10Hz〜20kHz)
0.007%以下(10Hz〜50kHz)
0.01%以下(100kHz)
混変調歪率(60Hz:7kHz=4:1、8Ω、120W) 0.002%以下
SN比(IHF-Aネットワーク、Vol.max、RL=8Ω) 123dB以上
フィルター -6dB/oct、fc=6.4Hz
チャンネルセパレーション(8Ω) 1kHz:100dB
20kHz:95dB
100kHz:70dB
電源 AC100V、50Hz/60Hz
定格消費電力 560W
外形寸法 幅435×高さ182.7×奥行361.5mm
重量 20.9kg