YAMAHA A-1000
¥128,000(1984年頃)
解説
Dual Amp Class A回路やZDR回路を採用したプリメインアンプ。
A-1000の基本的な回路構成はA-2000と同一で、ツインRIAA素子構成を採用したDCサーボNF-CR型リアルタイムイコライザー、リッチネス回路、Dual
Amp Class A with ZDRによるA級パワーアンプとなっています。
リッチネス回路をOFFにし、ダイレクトスイッチをONにした場合は、トーンコントロール回路などをパスしてプリ-メイン直結となります。また、CDを重視して設計されており、CD入力はファンクションスイッチを介して150mV感度のパワーアンプにダイレクト入力される構成となっています。
B-2xやA-2000に採用されたDual Amp ClassA回路を採用しています。
この回路はA級アンプとAB級アンプで構成されており、負荷はA級アンプとAB級アンプの各々の出力と接続され、かつNFBは負荷両端からA級アンプにかけています。これによりA級アンプは負荷電流を完全にコントロールするためアンプ全体としては完全A級動作となり、AB級アンプは電力損失だけを受け持っています。
これにより、アンプ出力全域のハイパワーA級ドライブが実現しています。
Dual Amp Class A回路にはヤマハ独自のZDR回路(Zero Distortion Rule)を搭載しており、素子の非直線性に起因する僅かな歪を消去し、優れたリニアリティを実現しています。
A-1000に搭載されたDual Amp Class A方式では、アースは電位を決めるだけで、電流がアースに流れないノンカレントアースを採用しています。これにより、アース問題を根本的に解決しています。
さらにA-2000と同様に回路的に共通インピーダンスがゼロとなるようにしており、パワー段や電流周りに加えプリアンプやトランス系など各回路のアースを徹底してセパレートし、ワンポイントアースとしています。
電源部のコンデンサーは音質を重視して多分割マルチ端子構造を採用しており、さらに容量的には総計146,000μFも搭載しています。
プリアンプ部は、パワーアンプ部と別電源とした上で、1,000μFを2本ずつ用いたヤマハ独自のピュアカレントダム方式を採用しています。
イコライザ回路はNF-CR型のDual RIAA素子構成となっており、従来のNF型がもっていた欠点をCR型で補うことでより正確なRIAAカーブを得ています。また、この方式では高域のNF量が少なくてすむため、位相補正が軽くて済み、イコライザアンプの動作が極めて安定となります。
このイコライザの回路構成は、High gmローノイズFETによるダイレクト・カップリングのDCサーボ方式となっています。
音質補正が可能なリッチネス回路を搭載しています。
この回路は、一種の低域イコライザ回路となっており、スピーカーの低域周波数特性を1オクターブ下方へフラットに伸ばすことが可能です。
この回路は、NS-2000専用、NS-1000/NS-1000X専用、汎用の3つのポジションが切換えでき、さらにON-OFFが可能です。
グラフィックイコライザやサラウンドアンプ等が接続できるアクセサリー端子を搭載しています。
外装には、グランド・ピアノと同一のポリエステル塗装4回塗りが施された、800μ膜厚の鏡面仕上げリアルウッドウォルナットのサイドボードを採用しています。
多分割箔マルチ端子構造の大容量電解コンデンサーや、無酸素銅線を用いた極性付き10mmφ極太電源コード、無酸素銅線を多用した内部配線、モンスターケーブルの使用が可能な大型スピーカー端子、金メッキPhono・CD端子、押し出し材を用いた低共振ヒートシンクなどのクオリティパーツを採用しています。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
定格出力(20Hz~20kHz) | 140W+140W(4Ω、歪0.005%) 120W+120W(6Ω、歪0.003%) 100W+100W(8Ω、歪0.003%) |
パワーバンド幅 | 10Hz~100kHz(50W、8Ω、歪0.02%) |
ダンピングファクタ | 200以上(1kHz、8Ω) |
入力感度/インピーダンス | Phono MC:160μV/220Ω Phono MM:2.5mV/47kΩ Aux:150mV/47kΩ |
出力電圧/インピーダンス | Rec out:150mV/330Ω |
全高調波歪率 | 0.005%(Phono MC - Rec out) 0.003%(Phono MM - Rec out) 0.003%(Aux/etc - SP out/8Ω) |
RIAA偏差 | MC/MM:10Hz~100kHz ±0.5dB MM:20Hz~20kHz ±0.2dB MC:20Hz~20kHz ±0.3dB |
S/N比(IHF-A) | Phono MC:72dB(250μV入力換算) Phono MM:86dB(2.5mV) Aux、etc:108dB Main in:124dB |
トーンコントロール | Bass:±10dB(20Hz)、350Hz Treble:±10dB(20kHz)、3.5kHz |
サブソニックフィルター | Low:15Hz、-12dB/oct |
リッチネス | ポジション1(NS-2000用):+7.5dB(30Hz) ポジション2(NS-1000用):+7.5dB(40Hz) ポジション3(汎用):+7.5dB(50Hz) |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 305W |
外形寸法 | 幅473x高さ159x奥行434mm |
重量 | 16.5kg |