オーディオの足跡

MB-175Signatureの画像
 解説 

Signatureシリーズのモノラルパワーアンプ。

Tetrode ModeとTriode Modeの2つの出力モードをリアパネルのトグルスイッチで切替えられます。
Tetrode Modeは一般に5極管接続と呼ばれ、第2グリッドをB+電源に接続することによって大きな出力を得ることができます。第2グリッドをプレートに直結させるTriode Modeは3極管接続と呼ばれる方式で、大きな出力こそ得られないものの歪を低減することができます。

初段は双三極管12AT7を用いた完全差動バランス回路を構成しています。また、ドライブ段は内部抵抗が小さく低μの双三極管6350を差動増幅にて用いており、プレート側とカソード側のインピーダンスの相違が出ないようPK分割回路ではなく差動位相反転回路としています。
VTLのパワーアンプではこの段階でのハイカレント設計が施されており、電圧制御素子である真空管における大電流の役割を重視することでローノイズで生命感にあふれた音楽再生を実現しています。
ヒーター回路はデリケートな信号を扱う初段を直流点火とし、より信号の安定したドライブ段や出力段を交流点火とする構成となっています。また、電圧増幅段の整流回路はソリッドステートによる高信頼性・高効率の方式とし、巻線からの格段独立設計によって出力段からの影響を受けにくくしています。さらに初段についてはπ型フィルターを経由させることでいっそうの回路安定化を図っています。

出力段には807出力管を採用しています。
807は小出力型送信管として長い歴史を持つビーム管で、メガヘルツ帯域に及ぶ広い周波数特性を持っています。
出力管にはカソードバイアス(自己バイアス)をかけた上で固定バイアスも採用しており、この2段構成のバイアス回路によって全体の電流量を調整しています。これにより真空管のクオリティを均一にする必要がある自己バイアス方式だけでなく、固定バイアスも採り入れることで出力管それぞれに最適なバイアス値を与え、特性のバラ付きを補正しています。
また、真空管の耐用年数を考慮してアイドル電流を小さく抑えています。

回路全体には6~14dBの負帰還をかけており、特性や歪率、S/N比、ダンピングファクターの改善を図っています。
これにより最終インピーダンスを0.75Ω程度、ダンピングファクターも10~20程度としています。

出力トランスにはカスタムメイドによる出力トランス"シグネチャー"を採用しています。
極めてタイトな多層レイヤリングと巻線カップリングによって挿入ロスを低減し、浮遊容量を小さく抑えてワイドな周波数特性を実現しています。
このトランスの最大の特長はリンギングの無い広帯域な周波数特性で、20Hzから25kHzにわたってフルパワーを供給できる性能を持っています。これは独自の巻線構造によるリンギングの低減と良好な矩形波特性によるもので、優れた音質を獲得しています。
一般にゆとりをもって低域電流を扱える出力トランス設計では高域の反応が遅くなりがちでしたが、巻線のありかたに注意を集中し、セクションの数を増やすことで1次側と2次側のカップリング、さらに巻線個々のカップリングも大幅に改善することに成功しています。また1次側インピーダンスを出力管のプレートインピーダンスに厳密にマッチングさせるとともに、2次側巻線をフルに活用することでスピーカー負荷の標準設定を5Ωとし、差mざまなスピーカー負荷とその変動を的確にハンドリング出来る設計としています。

XLRバランスコネクターとRCAアンバランスコネクターを搭載しています。

電源部には、レギュレーションに優れ二重含浸処理を施した上でシャーシからラバーでアイソレーションを図った電源トランスを採用しています。
ソリッドステートによる整流回路を採用しています。
シャーシにはスチール折曲げ加工による堅牢で簡素なコンストラクションを徹底しています。
また、フロントパネルにも幅広いスロットを複数設け、自由な空気の流れを妨げない構造としています。

機種の定格
型式 モノラルパワーアンプ
定格出力 Tetrode mode:175W
Triode mode:75W
入力インピーダンス 137kΩ
入力感度(最大出力時) 1V
負荷インピーダンス 3~8Ω
S/N比 Tetrode mode:106dB
Triode mode:108dB
使用真空管 807x6
12AT7x1
6350x1
消費電力 160W(アイドル時)
380W(フルパワー時)
外形寸法 幅480x高さ260x奥行230mm
重量 25kg