VICTOR T-X5
¥46,800(1979年頃)
解説
妨害排除能力を高めたFM/AMチューナー。
T-X5には米国IEEEから優秀賞を送られた日本ビクター独自のPTL(Phase Tracking
Loop)検波回路を採用しています。
従来のFM IF回路では、雑音や隣接信号の排除能力を高めると帯域が狭くなって音質に悪影響を与え、帯域を広げて音質を良くすると妨害排除能力が低くなるという問題点がありました。
PTL検波では、帯域の狭いフィルタが入力信号のあとを追いかけながら広帯域に移動する方式を採用しており、希望信号のすぐ近くにある妨害信号を的確に排除することができ、しかも検波帯域は十分に広いので音質が損なわれるのも防いでいます。
これにより弱電界でのSN比を大幅に改善して実用感度を高めるとともに、強電界でも隣接局の妨害排除能力を高めています。
クワイティング・スロープ・コントロールを搭載しています。
この回路をAUTOにしておくと、アンテナ入力があるレベルよりも低くなると自動的にノイズを低減します。これにより弱電界でも快適なステレオ受信を可能にしています。
フロントエンドのアンテナ入力回路に新開発のローノイズJ-FETを並列使用しており、ノイズを低減するとともにゲインを高め、受信感度を向上させています。
FMオートチューニングホールドを搭載しており、同調をとると数秒後に自動的に同調状態をホールドします。しかも電波の中心を逃がさないため、入力追尾方式のPTL検波とあいまって常に正確な受信を可能にしています。
新方式の19kHzパイロットキャンセル回路を内蔵したLR独立100%NFB-PLL-MPX回路を搭載しています。
これによりステレオパイロット信号によるビートノイズを徹底的に低減するとともに、位相特性の良いローパスフィルターを装備することによって優れたオーディオ性能を確保しています。
オールLED表示を採用しています。
マットアルミダイアルスケールを採用しています。
機種の定格
| 型式 | FM/AMチューナー | ||
| <FMチューナー部> | |||
| 受信周波数 | 76MHz~90MHz | ||
| 50dBクワイティング感度(75Ω) |
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| 実用感度(75Ω) | 0.9μV/10.3dBf | ||
| SN比 | mono:81dB stereo:78dB |
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| 全高調波歪率 |
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| IM(混変調)歪率(IHF) | mono:0.05% stereo:0.08% |
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| キャプチャーレシオ(IHF) | 1.0dB | ||
| 実効選択度(IHF) | 65dB | ||
| イメージ妨害比(IHF) | 90dB | ||
| IF妨害比(IHF) | 100dB | ||
| スプリアス妨害比(IHF) | 100dB | ||
| RF-IM(相互変調)妨害比(IHF) | 70dB | ||
| AM抑圧比(IHF) | 65dB | ||
| ステレオセパレーション | 45dB(100Hz) 50dB(1kHz) 40dB(10kHz) |
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| 周波数特性 | 30Hz~15kHz +0.3 -0.8dB | ||
| サブキャリア抑圧比 | 70dB | ||
| ミューティングスレシホールドレベル | 3.2μV/21.3dBf | ||
| Quieting Auto動作レベル | 60μV(46.8dBf)以下 | ||
| アンテナ入力インピーダンス | 75Ω不平衡 | ||
| 出力信号レベル | Variable out:0~1.0V/2.5kΩ Fixed out:560mV/2.5kΩ |
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| Rec cal出力レベル | 50%変調相当 | ||
| <AMチューナー部> | |||
| 受信周波数 | 530kHz~1605kHz | ||
| 実用感度 | 300μV/m(バーアンテナ) 50μV(外部アンテナ) |
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| 全高調波歪率 | 0.5% | ||
| SN比 | 50dB | ||
| 選択度 | 45dB | ||
| イメージ妨害比 | 45dB | ||
| IF妨害比 | 45dB | ||
| スプリアス妨害比 | 45dB | ||
| 出力信号レベル | Variable out:0~600mV/2.5kΩ Fixed out:350mv/2.5kΩ |
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| <その他> | |||
| 電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz | ||
| 定格消費電力 | 10W(電気用品取締法) | ||
| 外形寸法 | 幅450x高さ89x奥行364mm | ||
| 重量 | 5.0kg | ||