VICTOR JT-V77
¥49,800(1978年頃)
解説
新開発のPTL(Phase Tracking Loop)方式を採用したFM/AMチューナー。
FM検波回路に新開発のPTL方式を採用しています。
一般的なチューナーではQuadrature検波と呼ばれる方式が多く使われています。この方式は、IF段からの信号を2つに分けて、一方は検波回路へ直接送り、もう一方は90度のフェイズシフター(位相変化回路)を通してから送り込み、双方の位相を比較してその差に応じた検波出力を得ています。
PTL検波では、この位相比較回路にトラッキング(位相追尾)フィルターを加えることで検波回路全体をフィードバックループの中におさめ、一種のNFB検出回路にしています。これにより、ループフィルターからの復調出力はトラッキングフィルターをドライブし、入力IF信号の位相変化に追従してフィルターの中心周波数を変化させています。
このPTL検波は、直線性(微分利得特性)が広帯域にわたって優れており低歪率で過変調に強く、同調依存性も極めてブロードで温度や経時変化によるズレを吸収して長期にわたる高い安定性の保持が可能です。また、検波回路自体のスレシホールド特性が改善されることから弱電界でのSN比を高めることができ、妨害信号の排除やAM抑圧能力などの点でも高い特性を実現しています。
IF段には、単峰特性の1レゾネーター型と双峰特性の4レゾネーター型セラミックフィルターを組合せ、高い選択度とフラットな群遅延特性を両立させています。
MPX回路にはNFB・PLL・MPX・ICを採用しており、ステレオパイロット信号の引き抜き回路と、NFBによって低歪率化を図ったデコーダー、スイッチング信号を作り出すPLL回路を単一パッケージにまとめています。
同調点のドリフトを防ぐFMオートチューニングホールド回路を搭載しています。
この回路は、正確な同調をとった数秒後にホールド状態となり、離調させればただちに解除される自動化回路となっています。
留守録音時に同調をとってホールドインジケーターの点灯を確認してからタイマーをセットすれば、一度電源が切れた後もホールド状態に復元されます。
出力アンプにはイコライザー用ICを採用しています。
50%変調信号相当のレコーディングレベルキャリブレーターを内蔵しています。
フロントパネルに出力レベルボリュームを装備しています。
同軸ケーブル用F型コネクターを搭載しています。
別売でラックハンドルがありました。
機種の定格
型式 | FM/AMチューナー |
FM感度(75Ω) | 0.9μV/10.3dBf(IHF) |
SN比 | mono:78dB stereo:72dB |
高調波歪率(1kHz) | mono:0.08% stereo:0.10% |
実効選択度 | 75dB |
キャプチャーレシオ | 1.0dB |
イメージ妨害比 | 90dB |
IF妨害比 | 100dB |
スプリアス妨害比 | 100dB |
AM抑圧比 | 65dB |
ステレオセパレーション | 50dB(1kHz) 40dB(50Hz~12kHz) |
周波数特性 | 30Hz~15kHz +0.3 -0.8dB |
外形寸法 | 幅450x高さ158x奥行457mm |
重量 | 6.3kg |
別売 | ラックハンドル BH-W150(¥4,000) |