VICTOR XL-Z1000
¥750,000(1990年頃)
解説
LaboratoryシリーズのCDトランスポート。
デジタル伝送過程で生じるクロックのジッターエラーを追放するためジェネレーターロック方式を搭載しています。
従来のCDプレイヤーではディスクからビット信号を読取るためのタイミング信号はCDプレイヤー側で生成していましたが、XP-DA1000ではマスタークロック生成用の基準水晶発振器をD/Aコンバーター(XP-DA1000)側に置き、それに基づいて制御しています。これにより完全同期による信号処理が可能としています。
重心点保持機構を採用する事で構造的に無振動・無共振設計を追求しています。
ピックアップがディスクの内周側にある時のレンズの位置をメカベースの重心上に配置し、さらに外周側にある時は筐体を支えるインシュレーターの重心と一致させています。これによりピックアップは構造的に最も振動の影響の少ないラインでトレースを行います。
トップローディング方式を採用しており、ディスクトレイの振動を排除しています。さらにこの方式によってディスククランパーを大型スタビライザーとする事ができ、ディスクの振動も追放しています。
クランパーには乱気流を防ぐ流体設計を採用しています。また、11mm厚のガラストップには気密性の高い精密動作と誤動作防止機構を採用しています。
メカベースにはアルミ材を採用しています。また、スピンドルにはプロ用と同等のφ6の極太スピンドルを採用しており、軸受にはサファイアを用いて経年変化による性能劣化を追放しています。
さらにメカベースとシャーシベース間にはオイル、プリング、ゴムを組み合わせたインシュレーターを配しており、メカニズムの振動を徹底して抑えています。
ピックアップ部のトラッキングにはベルトドライブ方式を採用しています。
一般的なCDプレイヤーではトラッキングにはリニアモーター方式が使われていますが、この方式で必ず発生するコギングがジッターやリップルの大きな原因となり、コギングを抑えるためには過大なサーボが必要でした。
ベルトドライブ方式を採用する事でコギングを解消し、さらにモーターをフローティングする事でピックアップへ直接影響する振動を追放しています。さらに、振動や音圧を受けた時のみゲインを上げるVサーボ回路によって安定したトレース性能と高音質の両立を図っています。
また、ピックアップに使用するレーザーダイオードを厳選する事でS/Nの改善を図っています。
各主要ユニットは銅メッキ処理が施された独立ケースに収められており、磁気シールドによって迷走電流による悪影響を排除しています。
マイコンノイズによる音質劣化や回路間の相互干渉を排除するため、FLディスプレイや不使用回路の停止機能を搭載しています。
端子板はリアパネルと別構造とする事で渦電流を追放しています。
電解コンデンサーやPCOCC信号ラインなど高音質部品を厳選して採用しています。
電源部のトランスをデジタル系とサーボ系に独立して搭載しており、相互干渉の追放を図っています。
このトランスはノイズを抑えるバイファイラ巻きで、振動を抑える珪砂入り樹脂含浸とし、しかも銅メッキベースにマウントし、インシュレーターを介してシャーシーベースに取り付ける徹底した構造となっています。
ワイヤレスリモコンが付属しています。
このリモコンは本体のリレースイッチをコントロールする音質に配慮した設計となっています。また、秒単位で設定できるタイムサーチ機能を搭載しています。
D/AコンバーターXP-DA1000のファンクションも操作できるキーを搭載しています。
機種の定格
型式 | CDトランスポート |
読取り方式 | 非接触光学読取り(半導体レーザー使用) |
レーザー | GaAlAsダブルヘテロダイオード λ=780nm |
回転数 | 約500rpm~200rpm(CLV) |
デジタル出力 | 光(EIAJ):波長660nm 同軸:最大出力信号レベル0.5Vp-p |
同期入力端子 | 光(EIAJ) BNC |
消費電力 | 11W(電気用品取締法) |
外形寸法 | 幅471x高さ126x奥行403mm |
重量 | 19.0kg |
付属 | ワイヤレスリモコン |