VICTOR DD-5
¥59,800(1981年頃)
解説
パルスサーボDDモーターを搭載したカセットデッキ。
メカニズム部にはDDフォノモーター技術をベースにカセットデッキ用に開発したパルスサーボDDモーターを搭載しています。
このモーターの基本形状は、4相8極平面対向ブラシレス・スロットレス・コアレス・FGサーボ・ダイレクト・ドライブとなっています。ビクター中央研究所で開発されたホール素子が極性のスイッチングを行うブラシレス構造によって機械的接点を排除し、モーターの回転精度や長寿命化を実現しています。そして、ブラシレス、コアレス、スロットレス構造によってコッキングなどの回転ムラやノイズの除去を図っています。
パルスサーボDDモーターでは周波数発電機によって回転数を検出する方式を採用しており、204極102パルスの全周積分型とすることで位置的なズレによる検出誤差がありません。さらに、最初から位置的なズレが起きないようFGマグネットはキャプスタンと同軸で、基板のセンターを保持しながら着磁する方法を採用しています。また、温度上昇によるトルクむらも防ぐためオートバランス回路を搭載しています。
フライホイールには変調ノイズに有効な複合材質を採用しており、鳴き(振動)によるフラッター成分や高域のにごりを排除しています。
オールDC構成アンプを採用しています。
DC構成アンプは信号系コンデンサー数を減らす事ができるため、コンデンサーによって発生する歪やノイズ、位相の変化を減少させ、過渡特性も改善されています。特にヘッドアンプはダブル差動アンプを用いたダイレクトカップリングとし、マイクアンプや録音アンプ、ANRS回路も±2電源によるDC構成アンプとするなど、音声信号の通るアンプは全てDC構成化しています。
録再ヘッドにはNewSA(センアロイ)ヘッドを採用しています。
NewSAヘッドでは、ラミネート・コアの積層枚数を従来のSAヘッドの倍の12枚変更しており、渦電流損失とヒステリシス損失はさらに少なく、高域周波数特性および高域ノイズが改善されています。また、積層枚数の倍増とともに、巻線の径を太くしてDC抵抗の低減を図っており、これによってDC抵抗が原因の低域ノイズを抑え込んでいます。
消去ヘッドにはSA(センアロイ)消去ヘッドを採用しています。
フルロジックコントロールを採用しています。
ノイズリダクションシステムとしてANRSとSuperANRSを搭載しています。
ピークホールド付きの2色FLレベルメーターを搭載しています。
このレベルメーターは左右それぞれ18セグメント、1セグメント20ドットの蛍光表示板で、0VU以上の赤の発色に工夫をこらしてあります。
タイマースタンバイ機構を搭載しており、別売タイマーを接続することで留守録音や目覚まし再生が可能です。
また、誤消去防止用のタイマーセーフティロックも備えています。
レックミュート機構を搭載しています。
オートリワインド機構を搭載しています。
ヘッドホンに連動した再生ボリュームを搭載しています。
リモコン端子を搭載しており、別売リモコンを接続することで離れた場所から操作が可能です。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
ヘッド | 録再:NewSA 消去:2ギャップSA |
モーター | パルスサーボDDモーター DCモーター |
周波数特性 | メタル:20Hz~18kHz、30Hz~16kHz ±3dB(-20VU録音) 30Hz~12.5kHz ±3dB(0VU録音) |
SN比 | ANRS off:60dB(WTD、1kHz、3%THD、メタルテープ) ANRS on:1kHzで5dB、5kHz以上で10dB改善 |
ワウ・フラッター | 0.021%(WRMS) |
外形寸法 | 幅420x高さ110x奥行290mm |
重量 | 5.9kg |
別売 | ワイヤードリモコン R-50(¥7,000) ワイヤレスリモコン RM-606 |