VICTOR CCR-668
¥53,800(1973年頃)
解説
カセット時代に応えるものとして、自動雑音低減装置ANRSをはじめIDメカニズムやテープセレクターなどの機能を搭載したステレオカセットデッキ。
自動雑音低減装置としてANRS(Automatic Noise Reduction System)を搭載しています。
この方式では、テープヒスが耳につきやすい小音量の録音時に小さな音だけ一定の率でレベルを上げて録音し、再生時には録音時にレベルを上げた部分だけを戻して再生する方法によってヒスノイズも低減しています。
また、他の雑音低減方式とも互換性を保つように録音・再生特性のカーブを他の形式に合わせており、ドルビー方式のテープでも効果を発揮しています。
ノーマルテープ、SHテープ、クロームテープのそれぞれの特性を発揮させるため、テープセレクターを搭載しています。
SHテープに対してはイコライザー回路を切り替え、クロームテープに対してはバイアス電流とイコライザー回路を同時に切替えています。
録再ヘッドには、フェライト材をナローギャップに仕上げたスーパークロニオスヘッドを採用しています。
駆動部には理想的な走行性能を確保するため、ID(Independent Drive)メカニズムを搭載しています。
このIDメカニズムは一般の駆動方式とは違い、テープを走行させるキャプスタンの駆動と、テープを巻き取るリール台の駆動をそれぞれ別にした独立駆動機構となっており、モーターからの回転を二つの駆動により振り分ける事で、他の回転部分がテープ走行に影響を与えることがありません。
また、モーターにはこの方式のために開発されたトルクの大きい4極ヒステリシスシンクロナスモーターを採用し、さらに、常に一定の力を与えるバックテンション機構などにより、安定した速度や特性を得ています。
Cbsによる光電式のオートストップ/イジェクト機構を搭載しています。
メモリーカウンターによるテープ頭出し機能を搭載しています。
ランプの点灯で過渡的な大入力信号を知らせるピークレベルインジケーターを搭載しています。
さらに、ランプが点灯しないレベルを選ぶ事で最適レベルの録音が容易にできます。
バイアス電流を安定化する定電圧回路を採用しています。
ヘッドクリーニングなどの保守を考慮し、取り外し可能なヘッドカバー及びホルダーを採用しています。
ヘッドホン出力の2段切替え機能を搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
トラック形式 | 4トラック・2チャンネル・ステレオ |
テープスピード | 4.8cm/s |
モーター | 4極ヒステリシス・シンクロナスモーター |
ヘッド | スーパークロニオス(フェライト)録再ヘッド 消去ヘッド |
早送り、巻戻し時間 | 85秒(C-60使用時) |
録音バイアス周波数 | 95kHz |
消去方式 | AC 95kHz |
周波数特性 | クロームテープ:30Hz~19kHz(30Hz~16kHz ±3dB) ノーマルテープ:30Hz~16kHz(30Hz~13kHz ±3dB) |
S/N | 50dB(ピークレベル) ANRS off時:56dB(JIS) ANRS on時:59dB(JIS) |
歪率 | 1.7% |
チャンネルセパレーション | 40dB |
ワウ・フラッター | 0.08%(WRMS) 0.13%(RMS) |
クロストーク | 60dB以上 |
入力感度/インピーダンス | Mic:0.3mV/600Ω Aux:80mV/470kΩ |
出力レベル/インピーダンス | Line:1V固定/3.3kΩ ヘッドホン:0.5mW(High)、0.12mW(Low) |
録再コネクター | Din 入力:20mV/10kΩ 出力:0.5V/5kΩ |
使用半導体 | トランジスタ:23個 IC:6個 ダイオード:16個 ツェナーダイオード:1個 |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 15W |
外形寸法 | 幅405x高さ140x奥行280mm |
重量 | 5.8kg |
付属 | 試聴用テープ(ANRS録音) ヘッドクリーニングバー DINコード |