VICTOR M-2020
¥79,500(1977年頃)
解説
2020シリーズのステレオパワーアンプ。
動的干渉歪を防ぐため、A級増幅段用とB級増幅段用の電源を独立したA級・B級独立2電源方式を採用しています。
この方式では、A級増幅段用の電源をトランス自体から独立して設けて定電圧化しています。この方式により、B級増幅段の電圧変動がA級増幅段に直接伝わるのを防ぎ、動的干渉歪を防いでいます。
また、原理的に動的干渉歪が殆ど問題にならないB級増幅段の電源は、定電圧化するかわりに大型トランスと大容量コンデンサー、電源ワイヤーの短縮等でインピーダンスの低減を図っており、特にプラス側とマイナス側のバランスを重視して特性の良く揃ったペア・コンデンサーを採用しています。
さらに、変動率の優れた電源でしばしば問題となるトランスの唸りを防ぐため、トランスのケース内にはコンパウンドを充填しています。
信号経路内に低域の時定数を持たないDCアンプ構成となっており、安定度を高めるために初段回路に新開発デュアルFETを採用しています。デュアルFETは特性の揃ったFET2個を単一パッケージに封入したもので、熱平衡が良く、温度変化に伴うDCドリフトを非常に少なく抑えています。
また、電源に定電流回路を挿入したうえ、次段のトランジスタとダブル差動回路を構成しており、さらに要所に温度安定の良いポリプロピレン・コンデンサーを用いるなどによって、熱やノイズ、電圧変動にも強い安定した回路を実現しています。
入力回路はコンデンサー無しのダイレクト・カップリングとなっていますが、必要に応じてDC分を含む超低域の入力をカットできるようにサブソニック入力端子も搭載しています。
パワーメーターとLEDピークインジケーターを搭載しています。
パワーメーターは対数圧縮型となっており、0から130Wまでを読み取る事ができます。また、ピークインジケーターは2Wから130Wまで5段階となっており、10msのアタックタイムで音楽のピークレベルをとらえて発光します。
高感度3大充填保護回路を搭載しています。
電源投入時の過大電流を防ぐインラッシュ・プロテクターサーキットを搭載しています。
2系統のスピーカーセレクターを搭載しています。
ヘッドホン端子を搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
回路方式 | 信号回路:初段デュアルFET完全DCパラレルプッシュプルOCL 電源回路:A級・B級独立2電源 |
実効出力(両ch駆動) | 75W+75W(8Ω、20Hz~20kHz) |
高調波歪率(8Ω、両ch駆動) | 実効出力時:0.02%以下(20Hz~20kHz)、0.005%以下(1kHz) 37W出力時:0.02%以下(20Hz~20kHz) 1W出力時:0.02%以下(20Hz~20kHz) |
混変調歪率 (50Hz:7kHz=4:1、8Ω、両ch駆動) |
実効出力時:0.02%以下 37W出力時:0.02%以下 1W出力時:0.02%以下 |
出力帯域幅(IHF、両ch駆動) | 5Hz~50kHz(THD 0.05%) |
周波数特性(1W出力時) | Direct入力:DC~100kHz +0 -1dB Subsonic入力:18Hz~300kHz +0 -3dB |
入力感度/インピーダンス | 1V/50kΩ(実効出力時) |
SN比 | 110dB以上(IHF-Aネットワーク、入力ショート) |
ダンピングファクター | 50以上(8Ω、20Hz~20kHz) |
出力端子 | Speaker System 1or2:4Ω~16Ω Speaker System 1+2:8Ω~16Ω Phones:8Ω~1,000Ω |
メーター | 0W~130W |
ピークインジケーター | 5点(2W、15W、40W、80W、130W) |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 182W(電気用品取締法基準) 455W(4Ω、実効出力時) |
外形寸法 | 幅480x高さ161x奥行402mm |
重量 | 14.2kg |