KENWOOD KT-880F
¥45,000(1985年発売)
解説
独自の4つの技術を搭載した4DシステムシンセサイザーFM/AMチューナー。
ダイレクト・リニアレセプション・サーキットを搭載しています。
従来のシンセサイザーチューナーでは、水晶精度で局部発振周波数と基準信号を位相比較し、一定した周波数を得ていますが、水晶時計の温度変化による狂いが原因で、90MHzでは高SNを得ていても、76MHzではSNがダウンする現象を引き起こしていました。
これを独自のダイレクト・リニアレセプション・サーキットにより抑え、クリアな受信を可能にしています。
IF歪補正回路としてディストーション・コレクティング・サーキットを搭載しています。
大きな隣接局妨害を排除するため急峻なフィルターを採用しており、それによって発生する高調波歪成分を独自の歪補正回路で抽出してキャンセルしています。
新開発の広帯域直線検波回路であるダイレクト・リニアループ・ディテクターを搭載しています。
10.7MHzのIF信号をダイレクトにリニア化して、閉ループ検波器で検波し、さらに閉ループ内に歪補正回路を設けることで、VCOの非直線歪やIFフィルターで発生する歪をゼロにしています。
またDLLDは閉ループ検波器なため、ループ内で発生するノイズは抑えられ、高いSN比の検波器となっています。
ステレオ復調には新開発のDPD(ダイレクト・ピュア・デコーダー)MPXを採用しています。
従来の方形波でスイッチングするのとは違い、38kHz以外の成分を全く持たない純粋な正弦波で検波出力と掛算する方式をとっているため、クリーンレセプションフィルターなどのローパスフィルターを必要とせず、混信妨害を排除しています。
RF増幅部とMPX部にデュアルゲートMOS FETを採用し、相互変調特性を大幅に改善しています。
ランダム16局プリセット機能と、オートチューニングによるワンタッチ選局機能を搭載しています。
タイマーと連動して3つの放送局を留守録することが出来ます。
100%変調時に-6dBというレックキャリブレーションを設置し、最適な録音レベルを簡単にセッティングできます。
機種の定格
型式 | 4DシステムFM/AMチューナー | ||||
<FMチューナー部> | |||||
受信周波数範囲 | 76MHz~90MHz | ||||
アンテナインピーダンス | 75Ω不平衡 | ||||
感度(75Ω) | 0.95μV/10.8dBf | ||||
SN比50dB感度 | mono:1.8μV/16.2dBf stereo:24μV/38.8dBf |
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高調波歪率(100%変調) |
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SN比(100%変調、85dBf入力) | mono:98dB stereo:88dB |
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キャプチャーレシオ | 1.5dB | ||||
実効選択度(IHF) | 60dB | ||||
ステレオセパレーション | 1kHz:68dB 50Hz~10kHz:43dB 15kHz:38dB |
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周波数特性 | 20Hz~15kHz +0.2 -0.8dB | ||||
イメージ妨害比(84MHz) | 90dB | ||||
IF妨害比(84MHz) | 100dB | ||||
スプリアス妨害比(84MHz) | 100dB | ||||
AM抑圧比(65.2dBf) | 65dB | ||||
サブキャリア抑圧比 | 70dB | ||||
出力レベル/インピーダンス | FM(1kHz、100%変調):0.6V/3.3kΩ | ||||
<AMチューナー部> | |||||
受信周波数範囲 | 531kHz~1602kHz | ||||
感度 | 10μV・300μV/m | ||||
高調波歪率(1000kHz) | 0.3% | ||||
イメージ妨害比(1000kHz) | 40dB | ||||
IF妨害比(1000kHz) | 50dB | ||||
選択度(IHF) | 25dB | ||||
出力レベル/インピーダンス | 0.18V/3.3kΩ | ||||
SN比(30%変調、1mV入力) | 50dB | ||||
<総合> | |||||
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||
定格消費電力(電気用品取締法) | 10W | ||||
外形寸法 | 幅440x高さ67x奥行319mm | ||||
重量 | 3.3kg |