KENWOOD KX-880G
¥69,800(1985年頃)
解説
デジタルソースの録音のため、SuperTLLEなどのケンウッドの技術を投入したカセットデッキ。
ケンウッド独自の定電流駆動回路であるSuperTLLEを採用しています。
この方式ではヘッド駆動用と利得制御用の2つのループを持ち、±2電源で録音ヘッドとDC直結した構成となっています。これにより高域における電流伝達ロスが無く高品位な高音の録音を可能にしています。また、出力抵抗を追放する事で録音アンプのダイナミックレンジは12dB~13dB(400Hz)改善しています。
さらに、ヘッド駆動電流がヘッドのインピーダンス変化に依存しないため、位相劣化が起きず、負荷変動に起因する電流歪を抑圧しています。また、録音ヘッドとDC直結となっているため超低域までフラットな録音が可能となっています。
メカニズム部には高剛性サイレント・メカを採用しています。
メカ本体をシンプル化し、カセットを固定するガイドに金属シャフトを採用するなどの他、ヘッドベースにより剛性の高い金属を使用しています。このサイレントメカニズムによってモーターなどで発生するメカニズム自体の内乱や、筐体を伝わる外乱を抑えています。
バイアスキャリブレーションとレックキャリブレーションを搭載しており、使用するテープ毎に調整する事で最適な条件で使う事ができます。
録音回路、再生回路、ドルビーB/C回路の全てにオペアンプ形式の±電源回路を採用しており、アースのゼロ電位を明確化してクリアな音を実現しています。
さらに電源部は±5系統の定電圧電源を用いて各回路間の干渉を排除しています。
駆動モーターには低トルクリップルモーターを開発・採用しています。
このモーターはコンピューター解析を行って開発する事でトルク変動を従来の1/2以下に抑えています。
新開発のモーター駆動回路を採用しており、アースを明確化する事でモーターが回転する際に発生するノイズ成分を除去しています。
ヘッドにはニューアモルファスアロイヘッドを採用しています。
絶縁性に優れたアモルファスアロイを45μの極薄板にして13枚ラミネートしてヘッドコアを構成しており、渦電流が少なく、高域レンジの伸びた周波数特性を実現しています。さらに巻線に無酸素銅を使用しており、伝送特性を改善してよりピュアな音を実現しています。
ノイズリダクションシステムとしてドルビーB/C NRを搭載しています。
ドルビー回路には新ICを採用しており、専用ICと新回路によって動特性を改善しています。
New DPSSを搭載しており、前後1曲頭出しや希望曲の頭出し、1曲リピート、ワンサイド・フルリピート、ダッシュ・アンド・プレイ、リレック・スタンバイ、リワンドプレイ、0ストップ、インデックススキャン、ブランクサーチ、オートレックミュートなどの操作が可能です。
また、4桁リニアカウンターはDPSS表示計や残量表示計として自動的に切り換わる多機能表示式となっています。
レベルメーターには-36dBから+12dBまで表示する16ポイントFLピークホールドレベルメーターを採用しています。
L/R独立プリセットボリュームと録音マスターボリュームを搭載しています。
電源部のコンデンサーの容量を倍増する事で強化しています。
オートテープセレクターを搭載しています。
MPXフィルターを搭載しています。
ヘッドホンレベルボリュームを搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
トラック形式 | ステレオ |
録音方式 | 交流バイアス(105kHz) |
ヘッド | 録音・再生:アモルファスアロイヘッド 消去:ダブルギャップフェライトヘッド |
モーター | キャプスタン駆動:FGサーボDDモーター リール駆動:DCモーター メカ駆動:DCモーター |
ワウ・フラッター | ±0.054%(EIAJ) 0.027%(WRMS) |
早巻時間 | 約70秒(C-60テープ) |
周波数特性 | ノーマルテープ:20Hz~18kHz ±3dB クロームテープ:20Hz~19kHz ±3dB メタルテープ:20Hz~22kHz ±3dB |
歪率 | メタルテープ:0.8%(1kHz、3次高調波歪率) |
SN比 | EIAJ メタルテープ:57dB Dolby C on:74dB Dolby B on:67dB Dolby NR off:59dB |
入力端子 | ライン:77.5mV/50kΩ |
出力端子 | ライン:490mv/2kΩ ヘッドホン:0.85mW/8Ω |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 23W(電気用品取締法) |
外形寸法 | 幅440x高さ111x奥行322mm |
重量 | 5.9kg |