解説　

ディスクに刻まれた情報をありのままにピックアップするというテーマを追求して開発されたレコードプレイヤー。

ターンテーブル部は、サーボ回路だけではコントロールできない過渡的な負荷変動に着目し、口径330mm・重量2.6kg・完成質量440kg・cm²(ゴムシート含む)というヘビー級ターンテーブルを採用しています。このターンテーブルをトルクリップルの極めて少ない20極30スロットモーターでドライブすることで、ピックアップがダイナミックレンジの大きな音溝をトレースする時に生じるトランジェントロードも抑制しています。周期的な負荷変動と考えられるワウフラッターと違い、非周期的なトランジェントロードを制御することにより、音溝の振幅をより忠実にとらえることが出来ています。

モーターのトルクリップルを抑えるため、硬質チップボードを用いたキャビネットの背面に、MC材と1.6mm厚の鋼板を設けることでキャビネットの重量を増やしています。
MC材は石綿を加えて高圧成型したコンクリートで、吸水性や含水性が非常に少なく、剛性が高いという特徴を持っています。これにより、ただハウリングを追放するだけでなく、外乱を抑え周波数レンジの広い低域の締まった音質を得ています。

インシュレーターにはデュアルサスペンション方式のアブソーバーを採用しています。
このアブソーバーは縦方向に対して剛性が少なく横方向に対して剛性の高い独自の構造となっており、縦横いずれの方向からの振動も低減しています。特に慣性質量の大きなターンテーブルを起動トルクの大きなモーターで駆動する際に生じる横ぶれを抑えています。

ダストカバーには振動減衰率の大きいアクリル材をしようし、さらに上面の肉厚を厚くすると同時に各コーナーの内側にリブを設け、剛性をあげて分割振動を抑えています。

トーンアームのアームパイプ部には、直径10φ肉厚1mmのアルミパイプに硬質アルマイト処理を施し、さらに振動減衰率の大きな真鍮で支持することで分割振動を抑えています。
また、シェルフィンガーはヘッドシェルと一体成型されたアルミダイキャスト製となっており、さらにフィンガー下部にリブを設けて剛性を高め、分割振動を抑えています。

ターンテーブルのゴムシートには6mm厚のゴムシートを採用しており、密着性を追及することで分割振動を抑えています。

カートリッジにはDM(デュアルマグネット)型カートリッジであるDM-11を採用しています。
このカートリッジでは、振動系の質量を極力小さくすることで、分割振動の共振周波数を可聴帯域外に追放しています。これにより高域の分解能を向上し、パルシブな入力に対する過渡特性も良好になっています。

機種の定格

型式	ダイレクトドライブプレイヤーシステム
<フォノモーター部(PM-300)>
駆動方式	ダイレクトドライブ
モーター	20極30スロットDCサーボモーター
ターンテーブル	33cmアルミダイキャスト製、2.6kg
ターンテーブル慣性質量	400kg・cm2 440kg・cm2(ゴムシート含む)
回転数	33・1/3、45rpm
回転数微調整範囲	±3%(33・1/3、45rpm独立)
トランジェント負荷特性	0.00036%以下(400Hz、33・1/3rpm、20g・cm負荷時) 0.00018%以下(1kHz、33・1/3rpm、20g・cm負荷時)
ワウ・フラッター	0.027%(WRMS)以下
SN比	62dB以上(JIS) 70dB以上(DIN-B)
最大トルク	1.1kg・cm
起動特性	1 1/2回転以内(33・1/3rpm)
<トーンアーム部(TA-7)>
型式	スタティックバランスS字型パイプアーム
アーム実効長	237mm
オーバーハング	15mm
トラッキングエラー	+2.0゜～-1.0゜
針圧可変範囲	0～3.0g
適用カートリッジ重量	2.5g～12g(シェル12.5g使用時)
<カートリッジ部(DM-11)>
型式	デュアルマグネット(DM)型
周波数特性	20Hz～20kHz ±3dB
チャンネルセパレーション	25dB以上(1kHz)
出力電圧	3.5mV(1kHz、5cm/sec)
出力バランス	2.5dB(1kHz、5cm/sec)
最適負荷インピーダンス	50kΩ
針先	0.5milダイヤモンド
適正針圧	1.7g～2.3g
コンプライアンス	7x10-6cm/dyne
交換針	N-11
<総合>
付属機構	ピッチコントロール オイルダンプ式アームエレベーション機構 デュアルサスペンション方式アブソーバー(高さ調整付き)
電源	AC100V、50Hz/60Hz
消費電力	6W
外形寸法	幅490x高さ160x奥行423mm
重量	16.0kg