KENWOOD K270
¥160,000(1997年頃)
解説
アンプ、CDプレイヤー、チューナーを一体化したラージ・インテグレーテッド・オーディオ・システム。
アンプ部のファイナルトランジスタにはケンウッド独自の素子であるTRAITRを搭載しています。
これは、温度検出・補償回路を世界で初めてワンチップ化した5本の端子を持つファイナルトランジスタで、温度検出素子がトランジスタと同一チップにおかれることで、ほぼリアルタイムに温度を検出でき、従来の温度検出トランジスタが放熱器に外付けされた構成で起きていた、動作点の変化による小信号時の歪を抑えています。
TRAITRの性能を生かすため、通所のファイナル段回路で発生するスイッチング歪やクロスオーバー歪に対し、ドライバー段へのローカル帰還で歪を低減するスーパーリニアドライブ回路を採用しています。これにより、メインのNFB回路の動作が安定したものとなっています。
また、TRAITRの考え方を応用したリニアTRAITR回路を採用しており、アンプの初段回路にオペアンプを使用し、同一のICチップ内で性能、温度が揃って動作する特徴を活かし、初段回路の動的リニアリティを改善しています。
至近距離や小音量再生を改善するため、Aクラスアンプと電流検出帰還回路を搭載しています。
Aクラスアンプでは原理的にクロスオーバー歪や非対称歪が起きないため、微小信号レベルのリニアリティが高まります。
また、電流検出帰還回路(CNFB)は、NFBがアンプの出力から正反対の成分を入力に戻して歪を低減するのに対し、スピーカーに流れる電流から、スピーカーの歪成分を検出して、入力側にフィードバックすることで、歪を低減する回路で、これにより低域の歪を改善しています。
電源部には楕円構造のリングコア・トロイダルトランスを採用しています。
磁束の漏れが少なく、音がスムーズで周囲の回路に影響を与えません。また、巻線を密着して巻ける楕円構造により、電力の変換効率を向上しています。
CDプレイヤー部には従来の24bit 8fsのD.R.I.V.E.に較べ、64倍の高精度を実現した24bit
Fine D.R.I.V.E.を搭載しています。これにより、従来デジタルノイズとして切り捨てられていた微小レベルの信号も、より原音に近いデータで24bitのD/Aコンバーターに送られるため、実在感や立体感を向上させています。
また、デジタル系とアナログ系の独立2トランスや、シャーシ内部でのピュアCDダイレクトなど、高音質化を図っています。
チューナー部は、4連フロントエンドを搭載することで受信特性を改善してます。
また、40局プリセットやタイマー機能などにより操作性を向上させています。
音圧遮断構造としてシャッターメカを採用しています。
スピーカーをセットする場所に応じてON/OFFできるSPイコライザーを搭載しています。
CD-TEXTに対応しています。
機種の定格
型式 | ラージインテグレーテッドオーディオシステム |
<アンプ部> | |
定格出力 (20Hz~20kHz、0.02%) |
AB級:40W+40W(4Ω) A級:10W+10W(4Ω) |
実用最大出力(EIAJ) | AB級:65W+65W(4Ω) A級:17W+17W(4Ω) |
SN比(IHF-66) | Phono MM:77dB Line(AUX、MD):103dB |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.5mV/47kΩ Line(AUX、MD):200mV/47kΩ |
出力レベル/インピーダンス | MD Rec:200mV/1kΩ SubWoofer Pre Out:2.0V/600Ω |
<CDプレイヤー部> | |
読取り方式 | 非接触光学式読取り(半導体レーザー) |
D/Aコンバーター | 1ビット(24bit Fine D.R.I.V.E.) |
オーバーサンプリング | 32fs(1,411kHz) |
<チューナー部> | |
受信周波数帯域 | FM:76MHz~90MHz AM:531kHz~1,602kHz |
FM実用感度 | mono:1.8μV(75Ω)16.2dBf |
AM実用感度 | 16μV(600μV/m) |
<総合> | |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
定格消費電力 | 110W(電気用品取締法) |
最大外形寸法 | 幅296x高さ136x奥行373mm |
重量 | 7.7kg |
付属 | リモコン |