解説　

回路構成のDC化により、直流域までの忠実な波形伝送を実現したクォーツシンセサイザチューナー。

DCピークサンプリングホールドMPX回路を搭載しており、DC化の効果と相まって、20Hzにおいても1kHzと同じ60dBのステレオセパレーションを獲得しています。
MPX回路でステレオ復調用に使った19kHzパイロット信号を、電子回路でシャープにキャンセルし、さらにパイロット信号の変動によるリークを防ぐオートレベルアジャスタを得て、フラットで広帯域な周波数特性を実現しています。
また、復調用の38kHz信号が高域のオーディオ信号に揺られることにより、ジッター歪が発生するのを防ぐため、急峻なLCバンドパスフィルタを使用して除去しています。

リファレンス周波数を可聴域外の25kHzに設定し、音楽信号への悪影響を防ぎ、SN比の改善を図っています。

シンセサイザ部に独自のスワローインカウンタ方式を採用してます。
1/16、1/17の分周器をプリスケーラコントローラで制御する特殊な分周方式によって、スプリアス妨害が放送帯域内に発生するのを抑え、波形伝送をより忠実なものにしています。

±400kHz離調時55dBの実効選択度を持つノーマルポジションと、±200kHz離調時で25dBの実効選択度を持つスーパーナローIFを、妨害信号の有無・強弱や入力信号レベルに応じてマイクロコンピューターが自動切換えします。
また、ノーマル/スーパーナローのポジション切換えは、マニュアル操作も可能です。

FMフロントエンドは、ハイQバリキャップと新開発の4極構造MOS-FETによるsingle-double電子同調回路を構成しています。
また、検波段には広帯域で安定度に優れたクワドラチュア検波を採用しています。

FM/AM各8局のプリセットメモリーが可能です。
8個のプリセットボタンには、各々インジケーターを装備し、LEDの点灯で、選局ボタンの確認も一目で行えます。

チューニングボタンは、ワンプッシュごとにFMは100kHz、AMは9kHzステップで周波数が変化し、デジタル表示の周波数を見ながら同調周波数の設定が行えます。また、チューニングボタンを押し続けると、高速up/down動作に移行し、指を離すと自動的にオートスキャン動作に入り、最近辺の局を探し出してスキャンを停止します。

プリセットがメモリーボタン一つで行えるオートメモリー機能を搭載しています。

シグナル・レベルスイッチを押せば、2dBステップで約54dBまでFM信号強度を表示します。

3.3μFの大容量ゴールドキャパシタによる乾電池不要のメモリーバックアップを装備しており、約1週間の停電補償をします。

スイッチレスFMウィングアンテナ端子を搭載しており、テクニクスのFMウイングアンテナ(SH-F100)をダイレクトに接続し、自動同調させることが可能です。

コントロール入力端子にSH-4060を接続することで、チャンネル切換えや時間も自由に設定できます。
(SH-4060接続時は、SH-4060のch1～ch8がS5AのFM1ch～8ch、SH-4060のch9～ch16がS5AのAM1ch～8chのプリセットボタンに当ります)。

機種の定格

型式	クォーツシンセサイザFM/AMチューナー
<FMチューナー部>
受信周波数	76.1MHz～89.9MHz
実用感度(75Ω)	10.3dBf/0.9μV(IHF'58)
SN50dB感度(75Ω)	mono:18.1dBf/2.2μV(IHF'58) stereo:38.1dBf/22μV(IHF'58)
歪率	mono:0.04% stereo:0.06%
SN比	mono:80dB
周波数特性	5Hz～18kHz +0.2 -0.5dB
実効選択度	normal:55dB(±400kHz) super narrow:25dB(±200kHz)
キャプチャーレシオ	1.0dB
イメージ妨害比	90dB(83MHz)
IF妨害比	100dB(83MHz)
スプリアス妨害比	105dB(83MHz)
AM抑圧比	55dB
ステレオセパレーション	50dB(20Hz) 60dB(1kHz) 45dB(10kHz)
リークキャリア(19kHz)	-70dB
<AMチューナー部>
受信周波数	522kHz～1611kHz
実用感度(S/N=20dB)	290μV/m、20μV
選択度	55dB
イメージ妨害比	40dB
IF妨害比	60dB
<総合>
停電補償	約1週間、充電方式
電源	AC100V、50Hz/60Hz
消費電力	9W
外形寸法	幅430x高さ53x奥行300mm
重量	3.3kg