Technics ST-9038T
¥65,000(1977年11月発売)
解説
回路の徹底的な見直しによって優れた波形伝送特性を実現したクォーツシンセサイザ方式のFMステレオチューナー。
パイロット信号キャンセル回路とサブキャリアキャンセル回路を搭載しています。
ST-9038Tではパイロット信号をキャンセルする回路によって19kHzのパイロット信号を-65dB以下に抑制するとともに、平坦かつ広帯域の優れた特性を実現しています。さらに、実用状態で問題にならないほどに抑えられているサブキャリアをキャンセルする回路も搭載しています。
IFフィルタには、群遅延特性と振幅特性が独立して選択できる表面弾性波(SQW)フィルタと、4共振素子型セラミックフィルタを2個使用しており、優れた歪率と選択度を両立させています。
ジッター歪除去回路を搭載しており、ジッター歪によってパイロット信号と変調信号とのビートによる不要成分の発生を抑え、セパレーションや歪率を改善しています。
フロントエンド部にはFM5連バリコン相当の電子同調回路を採用しています。2ヶ所のダブルチューン回路、4極MOS
FETを使用したRFアンプ及びジャンクションFETを使用した局発バッファアンプなど、妨害信号に強い構成となっています。
選局にはクォーツ・シンセサイザ方式によるジャスト・ファイン・チューニングを採用しています。76MHzから89.9MHzまで0.1MHzステップで140のクォーツロックされた同調周波数を選局ボタンを押すだけで自動選局できます。また、受信周波数はダイヤルスケールの代わりに0.1MHz単位で表示されます。
選局ボタンを押すと放送電波を自動的にとらえます。さらに、ボタンを押し続けると選局を続けるオートスキャニング方式を採用しています。
A・B・OFFの3つのポジションを持つミューティングを搭載しています。
Aポジションではステレオ歪率0.2%相当以下の局を、Bポジションではステレオ歪率0.2%相当~1%相当の局をそれぞれ自動選局可能です。また、OFFポジションでは、選局ボタンのワンプッシュで0.1MHzずつ移動し、押し続けるとオートスキャンして全ての局の受信が可能です。
ST-9038Tの選局機構にはラストワン・メモリーを搭載しており、スイッチOFF後に再びONしたときは、前回の選局に自動復帰します。
FMエアチェックなどに便利なピンクノイズ発生器と、オートマチックハイブレンド機構を搭載しています。
リアパネルにレベルコントロールできる出力端子を搭載しています。また、マルチパス検出及び4チャンネルMPX端子を搭載しています。
別売りのマイコンプログラマブルユニットSH-9038Pやクォーツシンセサイザ・FMレセプションコントローラーSH-9038Rとの組合せによって幅広い操作が可能です。
機種の定格
型式 | クォーツシンセサイザFMステレオチューナー |
受信周波数 | 76.0MHz~89.9MHz |
実用感度(75Ω) | 12.8dBf/1.2μV |
SN50dB感度(75Ω) | mono:18.1dBf/2.2μV stereo:38.1dBf/22μV |
歪率(100%変調) | mono:0.1% stereo:0.15% |
SN比(IHF) | mono:75dB |
周波数特性 | 20Hz~18kHz +0.1 -0.5dB |
実効選択度 | 75dB |
キャプチャーレシオ | 1.0dB |
イメージ妨害比 | 105dB(83MHz) |
IF妨害比 | 105dB(83MHz) |
スプリアス妨害比 | 105dB(83MHz) |
AM抑圧比 | 55dB |
ステレオセパレーション | 45dB(1kHz) 35dB(10kHz) |
リークキャリア(19kHz) | -65dB |
出力 | 0~1.5V |
ピンクノイズ | 50%変調成分 |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 8W |
外形寸法 | 幅450x高さ53x奥行291mm |
重量 | 4.8kg |