解説　

忠実な波形伝送をテーマに、ST-9600をベースに開発されたFM/AMチューナー。

テクニクス独自の19kHzパイロット信号キャンセル回路を搭載しています。
これによりリークキャリア(キャリアの漏れ)を低く抑えつつ、周波数特性を18kHzまで伸ばす事に成功しています。

FM IF回路には、信号系のフィルタに波形伝送特性の優れた2素子構成の群遅延平坦形セラミックフィルタを4個使い、選択度特性を向上させるとともに、リミッタ特性のよい、差動増幅6段のIF増幅系を構成することにより、振幅特性を向上しています。

制御系IF回路では、AGCのかかった5段構成の増幅度と狭帯域セラミックフィルタを2個使用し、入力によって直線に変化する電解強度計用として、優れた特性を得ています。
さらに独立したL・C復同調回路による帯域制御回路とのアンド回路によりミューティング回路を形成しており、入力レベル制御は2段行います。

フロントエンド部には、新開発の周波数直線形FM5連AM3連バリコンを採用しています。
電気的精度だけでなく、温度変化や経年変化にも強いバリコンを使用し、さらに4極MOS FETを使ったRF増幅段をはさみ、復複の同調回路を設けることで、優れた混信排除能力を得ています。

局発回路にはVHFローノイズトランジスタを使用しており、アルミコア入り発振コイルとステアタイトと相まって、高性能局発回路を構成しています。
局発回路で発振された信号は、エミッタフォロワによるバッファー回路を通して、デュアルゲート4極MOS FETによるバランスドミキサーに供給されます。さらに、IF段から狭帯域AGCをRF増幅段にかけています。
これらにより優れた受信性能を得ています。

フロントエンドはもとより、IF回路を含めた広い回路で、周波数ズレ、同調ズレを検出し、性格な同調点に引き込む、サーボチューニングシステムを搭載してます。
これにより、送信周波数がズレても、それに追随して性格に同調を行います。

オートハイブレンドスイッチを搭載しており、mpx hi-blendがautoの位置では、入力電波の強弱により自動的にハイブレンド回路がon-offされます。
弱電波の放送を受信するとハイブレンド回路が動作し、雑音が耳障りになる高音域の左右チャンネルを混合し高音域の雑音を軽減しています。
manualの位置では電波状態によらず常にハイブレンド回路が動作します。

AF回路は±2電源・ICによる完全コンプリメンタリSEPP回路を搭載しています。

放送局の送り出しの時に用いられるプリエンファシス(雑音軽減のため高域を持ち上げる事)を利用したFMローノイズ録音システムを搭載しています。これにより録音の際にテープヒスノイズの少ない録音、再生が可能となっています。

録音レベル設定などに使えるピンクノイズ発生器を内蔵しています。
セレクタつまみをPinknoiseにし、録音レベルを-6dB付近に合わせれば、設定が完了です。

別売りでウッドケースがありました。

機種の定格

型式	FM/AMチューナー
<FMチューナー部>
受信周波数	76MHz～90MHz
感度	0.9μV(75Ω)
高調波歪率(100%変調時)	mono:0.15% stereo:0.25%
SN比(400Hz、100%変調)	80dB
周波数特性	20Hz～18kHz +0.2 -0.8dB
選択度(IHF)	85dB
キャプチャーレシオ	1.0dB
イメージ妨害比	105dB
IF妨害比	105dB
スプリアス妨害比	100dB
AM抑圧比	55dB
ステレオセパレーション	45dB(1kHz) 35dB(10kHz)
リークキャリア(19kHz)	-65dB
アンテナ端子	不平衡:75Ω
<AMチューナー部>
受信周波数	525kHz～1605kHz
感度(S/N比20dB)	30μV
選択度	25dB
イメージ妨害比(1000kHz)	80dB
ＩＦ妨害比(1000kHz)	85dB
<総合>
出力電圧	Output:0.077V～1.55V Rec Out:0.6V
電源	AC100V、50Hz/60Hz
消費電力	22W
外形寸法	幅450x高さ173x奥行385mm
重量	8.6kg
付属	フィーダアンテナx1 接続コードx1
別売	ウッドケース SH-780(￥4,000)