Technics ST-3150
¥39,800(1974年頃)
解説
ST-3500やST-3200と同一の設計思想に基いて開発されたFM/AMチューナー。
フロントエンド部ではアンテナ整合回路に広帯域で変換損失の少ないバルンを採用し、RF増幅段には雑音指数や内部帰還容量、相互コンダクタンスなどに優れたデュアルゲート4極MOS型FETを採用しています。さらに局部発振回路には安定度の高いアルミコア入り発振コイルを採用しており、これにより高い感度と安定度・低雑音化を図っています。
また、各ブロックを完全分離することで、温度や湿度などの問題に対応しています。
IF段では、群遅延時間の平坦な帯域が広く、高次歪の発生を少なく抑えた選択素子系に群遅延平坦2素子型セラミックフィルターを3個採用しています。さらに、増幅系ではFM/AM独立2系統の高集積度モノリシックICを採用し、制御系としてLCフィルタを2個用いた差動リミッタ3段の計6段構成としています。
復調回路には基本性能の優れたレシオディテクターと広帯域にリニアリティを持つディスクリトランスを採用しており、対過変調波、対離調特性を向上させています。
MPX回路には、長期に渡り安定したスイッチング信号を供給するPLL方式を採用しています。
また、スイッチング方式にはメインとサブ2つの回路を持つダブルディファレンシャル方式を採用し、さらに回路を高集積度ICで構成することで優れたセパレーション特性と信頼性を得ています。
MPX部後段のローパスフィルターには、相遅延時間5.5μSのチェビチェフ型フィルタを採用しています。
高周波、低周波各回路への供給電源には安定化電源を採用しており、1次電源が±20%変化しても安定した電圧を供給できます。
AF部は安定化電源による低雑音トランジスタを用いたPNP-NPN2段直結回路で構成されています。
AMチューナー部にも周波数直線型バリコンを採用しています。
弱入力信号FMステレオ受信で入る雑音を減少するため、MPXハイブレンドスイッチを搭載しています。
FM局間ノイズをカットするFMミューティングスイッチを搭載しています。
マルチパス検出用オシロスコープ観測端子やFM 4ch MPX out端子を搭載しています。
機種の定格
型式 | FM/AMチューナー |
<FMチューナー部> | |
受信周波数 | 76MHz~90MHz |
感度(IHF) | 1.8μV |
歪率 | mono:0.2% stereo:0.4% |
選択度 | 70dB |
キャプチャーレシオ | 1.0dB |
イメージ妨害比(82MHz) | 55dB |
IF妨害比(82MHz) | 80dB |
スプリアス妨害比(82MHz) | 85dB |
AM抑圧比 | 50dB |
SN比(400Hz、100%変調) | 75dB |
周波数特性 | 20Hz~15kHz +0.2 -1.0dB |
ステレオセパレーション | 45dB(1kHz) 35dB(10kHz) |
リーク・キャリア(19kHz・38kHz) | 60dB |
出力電圧 | 0.7V |
アンテナ端子 | 平衡:300Ω 不平衡:75Ω |
<AMチューナー部> | |
受信周波数 | 520kHz~1610kHz |
感度 | 25μV |
選択度 | 25dB |
イメージ妨害比(1000kHz) | 45dB |
IF妨害比(1000kHz) | 40dB |
<総合> | |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 7W |
外形寸法 | 幅386x高さ115x奥行313mm |
重量 | 4.9kg |