オーディオの足跡

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SB-AFP1000の画像
 解説 

オーディオフラットパネルシリーズ最高峰のスピーカーシステム。
このSB-AFP1000は、試作機がウィーン国立歌劇場に納入されました。

80種類に及ぶテストモデルの試作と、有限要素法を用いたコンピューターシミュレーションによって開発されたツイン・キャビ方式を採用しています。
従来の音響理論を基に考えると、大面積の振動板と小容量のキャビネットでは、密閉型・開放型のいずれの手法を用いたとしても、理想的な低域再生は不可能でした。ツイン・キャビ方式ではこれを改善するため、1つのキャビネットの中に密閉部と開放部を同時に存在させており、構造的にはユニット自身の振動板の背面を密閉された部分と開放された部分に分割しています。これによって同一面積の振動板全部を密閉型にした場合に比べキャビネットのスティフネスが小さくなっています。そして、システムの最低共振周波数(fo)を低く設定することが可能となり、より低い周波数から大きな音圧を得ることができています。また、開放部においては背面に放射される音をキャビネットに設けられた後方ダクトから放射することで、前後に放射される音の位相差が大きくとれ、逆位相による音圧の低下を防ぐ作用を得ています。
また、AFPの大面積振動板は平面波状に低音を放射するため、室内の反射等による悪影響を受けにくく、距離による減衰も極めて少なく抑えられています。

低域には30cmx80cmの平面型ユニットを8個搭載しており、中低域には13cmx32cm平面型ユニットを4個搭載しています。特に低域は直径152cmのコーン型ウーファーに相当する振動板面積を採用することで、最大音圧レベル124dB時の振幅は1.27mm(50Hz)を達成しており、大音圧再生時における小振幅を実現しており、低歪な低音再生を可能にしています。
これらのユニットの振動板は、内部損失の大きい発泡マイカ(雲母)、天然高分子(キチン質)を重ね合わせた多層構造となっています。キチン質はカニやエビなどの甲殻類の外皮に含まれる天然高分子で、パルプの主成分であるセルロースと極めて似た構造をしており、架橋剤を加えて抄造加熱することによって、剛性で従来の1.2倍、内部損失は3倍という優れた物性を獲得しています。また、このキチン質は、コオロギの羽の成分や、ヴァイオリンの名器ストラディバリウスの響体内部に発生するカビの成分としても有名で、ストラディバリウスの仕上げの段階ではキチン質を混ぜたニスが用いられています。
振動板の表面材には、日本伝統の藍染めに使われる染料を使用しており、色あせを防ぐとともに、振動板の耐久性を向上させています。
ウーファーとミッドローには、コンピューターを駆使した三次元解析によって考案された4点駆動方式を採用しており、振動板の固有振動を生じさせない点を4つのボイスコイルで駆動することで共振モードを除去し、広帯域化を実現しています。また、これによってウーファーではfo~800Hzの広帯域化を実現しています。

中高域には8cm平面型ミッドレンジを4個搭載しています。
振動板にはマイカを採用しており、表面に漆をコーティングすることで振動板の必要以外の振動を抑止しています。

高域には2.7cm平面型トゥイーターを4個搭載しています。
振動板にマイカを採用するとともに、CVD法によってダイヤモンドコーティングすることで、高域まで忠実な再生を可能にしています。

ネットワーク部の内部配線材やチョークコイル用の線材、ネットワーク素子間の直結配線には、LC-OFC(線型結晶無酸素銅)を使用しています。また、ウーファー用からトゥイーター用までの各回路を分離独立することでクロストークの一掃を図っています。

キャビネットは、徹底したコンピューターシミュレーションによって設計された厚さ6.4mmの薄型構造となっています。
また、外観には黒塗装鏡面仕上げが施されています。

極太コードや4mmプラグが接続できる大型金メッキ端子を採用しています。

機種の定格
方式 4ウェイ・20スピーカー・密閉開放併用方式・フロア型
使用ユニット 低域用:30cmx80cm平面型x8
中低域用:13cmx32cm平面型x4
中高域用:8cm平面型x4
高域用:2.7cm平面型x4
再生周波数帯域 35Hz~40kHz -10dB
クロスオーバー周波数 180Hz、500Hz、3kHz
インピーダンス 6Ω/12Ω
出力音圧レベル 93dB/W/m
許容入力 1,400W(MUSIC)
600W(DIN)
外形寸法 幅2,200x高さ2,250x奥行940mm(スタンド脚付)
重量 320kg(スタンド脚付)
付属 サランネット
専用スタンド脚