Technics SB-6
¥45,000(1台、1981年頃)
解説
デジタルオーディオ時代に対応するため、ハニカム平面振動板を採用した3ウェイスピーカーシステム。
各スピーカーユニットの振動板には、軽くて剛性の高いハニカム平面振動板を採用しています。
この振動板は、コーン型スピーカーのコーン前面のくぼみで発生する空気の共振(前室効果)を解消しつつ正確なピストンモーションを得るため、アルミニウム合金を素材とするハニカム構造体を用いた平面構造となっており、剛性は紙コーンの1000倍~1500倍を実現し、大入力時の変形による歪発生や、経年変化・温度変化などによる特性劣化がありません。
また、平面振動板の中心を駆動した際に、ある特定の周波数で全く動かない部分(=節)が発生してしまうのを解消するため、節となる点にボイスコイルをつないでドライブする節ドライブを採用しています。さらに、この時問題となる振動板の形状や周波数によって異なる節の表れ方に対処するため、ハニカムの密度が中心部に向かうほど高くなる独自の軸対称ハニカムを開発し、左右の強度差を解消することで節を真円にさせ、一つの円形ボイスコイルでの節ドライブを可能にしています。
低域には25cmハニカム平面型ウーファーを搭載しています。
このユニットには従来の35cmクラスユニットのものに匹敵する直径145mm重量1kgの大型マグネットを採用しています。また、ボイスコイルボビンには高温時にも変形が極めて少ないポリイミド系樹脂積層フィルムを採用し、ボイスコイルには高耐熱仕様を採用することで250℃という高温に耐える高耐入力を実現しています。
さらにエッジにはローリング(ふらつき)に強いモルトプレンエッジを採用しています。
中域には8cmハニカム平面型スコーカーを搭載しています。
スコーカーでは、ボイスコイルとヨーク及び、ポールピースとのエアギャップを極限まで狭め、能率を向上させています。また、ボイスコイルボビンにはウーファー同様ポリイミドフィルムを採用しており、ボイスコイルは耐熱仕様とすることで、耐入力を高めています。
また、エッジには軽くて強いクロスエッジを採用しており、このエッジとエッジカバーとで構成されるキャビティによってより滑らかな周波数特性を実現しています。
高域には2.8cmハニカム平面型トゥイーターを搭載しています。
磁気回路には、大型マグネットに加え、ポールピースを円錐状にして磁気飽和を防ぐなどの独自の工夫を凝らす事で、17,500gaussの高磁束密度を得ています。
さらに、トゥイーター前面には特殊形状のイコライザを装備することで、よりフラットな特性と能率向上を図っています。
また、ボイスコイルとポールピース、ヨークの隙間(磁気ギャップ)に磁性流体を充填することで放熱効果を大幅に向上させ、高耐入力を獲得しています。
ネットワーク部のチョークコイルコアには低ロス、低歪のフェライトコアを採用し、トゥイーター回路にはメタライズドポリエステルフィルムコンデンサを採用することで高域特性の劣化を防いでいます。
また、過大入力や異常信号等によるユニット破壊を防ぐサーマルリレーを搭載しています。
エンクロージャーはバスレフ設計で、バスレフポートには一体成型の特殊形状ポートを採用しています。
また、コンピューター振動解析で不要振動を徹底して抑えています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
ユニット | 低域用:25cm平面型 中域用:8cm平面型 高域用:2.8cm平面型 |
周波数特性 | 38Hz~35kHz -10dB |
出力音圧レベル | 93dB/W/m |
インピーダンス | 8Ω |
許容入力 | 120W(Music) 75W(Din) |
クロスオーバー周波数 | 800Hz、4kHz |
外形寸法 | 幅350x高さ606x奥行318mm |
重量 | 16.0kg |