Technics SB-5A
¥37,000(1台、1982年発売)
解説
ハニカム振動板に加え、特殊形状リニアダンパーや新磁性流体を採用することでパワーリニアリティの向上を図った3ウェイスピーカーシステム。
各スピーカーユニットの振動板には、軽くて剛性の高いハニカム平面振動板を採用しています。
この振動板は、コーン型スピーカーのコーン前面のくぼみで発生する空気の共振(前室効果)を解消しつつ正確なピストンモーションを得るため、アルミニウム合金を素材とするハニカム構造体を用いた平面構造となっており、剛性は紙コーンの1000倍~1500倍を実現し、大入力時の変形による歪発生や、経年変化・温度変化などによる特性劣化がありません。
また、平面振動板の中心を駆動した際に、ある特定の周波数で全く動かない部分(=節)が発生してしまうのを解消するため、節となる点にボイスコイルをつないでドライブする節ドライブを採用しています。さらに、この時問題となる振動板の形状や周波数によって異なる節の表れ方に対処するため、ハニカムの密度が中心部に向かうほど高くなる独自の軸対称ハニカムを開発し、左右の強度差を解消することで節を真円にさせ、一つの円形ボイスコイルでの節ドライブを可能にしています。
低域には22cmハニカム平面型ウーファーを搭載しており、22cm軸対称ハニカム平面振動板を節ドライブすることで、4kHzまでをピストンモーションしています。
磁気回路には直径120mm、重量640gのマグネットを採用し高能率化を図っています。また、ボイスコイルボビンには200℃の高温にも耐え、耐熱仕様のボイスコイルとともに高耐入力を実現しています。
さらに、エッジにはローリングに強いモルトプレンエッジを採用することで大入力時におけるリニアリティを改善しています。
中域には5.2cmハニカム平面スコーカーを採用しており、独自の節ドライブにより15kHzまでのピストンモーションを可能にしています。
このユニットでは、ボイスコイル周りやポールビースとのエアギャップを可能な限り狭め、能率の向上を図っています。また、耐熱仕様のボイスコイルを採用することで高耐入力化を図っています。
エッジには凸形ロールエッジを採用し、大入力時におけるリニアリティを向上しています。
高域には2.8cmハニカム平面型トゥイーターを搭載しています。
このユニットでは磁気ギャップ内に熱放散性をさらに高めた磁性流体を充填しており、放熱効果を大幅に向上sあせることでインピーダンスの安定化によるリニアリティの改善と高耐入力を実現しています。
また、この磁性流体は、低域共振を抑えるダンパーとしても働き、滑らかな周波数特性を実現しています。
ネットワークに使用されているチョークコイルのコアに、低ロス・低歪のフェライトコアを採用し、さらに部品の配置にも配慮することで相互干渉を抑えています。
トゥイーターとミッドレンジにはサーマルリレー保護回路を搭載しています。
作動時にはインジケーターが点灯して確認でき、フロントパネルのリセットボタンで解除できます。
エンクロージャーはバスレフ型で、内面平滑仕上げのバスレフポートを採用することでポート内の空気摩擦を減少させています。
また、木組みには経年変化の少ない三方Z組みが採用されています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
ユニット | 低域用:22cm平面型 中域用:5.2cm平面型 高域用:2.8cm平面型 |
周波数特性 | 39Hz~35kHz -16dB 45Hz~33kHz -10dB |
出力音圧レベル | 91dB/W/m |
インピーダンス | 8Ω |
許容入力 | 120W(Music) 60W(Din) |
クロスオーバー周波数 | 2kHz、4.5kHz |
外形寸法 | 幅300x高さ540x奥行254mm |
重量 | 11.0kg |