Technics RS-M280
¥128,000(1981年発売)
解説
テクニクスのカセットデッキ技術を集大成するデッキとして開発されたステレオカセットデッキ。
メカニズム部には3モータ・ダブルキャプスタンドライブ方式を採用しています。
キャプスタン用には平面対向型D.D.モーターを採用しています。このモーターはRS-M85で採用された平面対向型D.D.モーターをベースにさらなる改良が施されたもので、これを巻取り側キャプスタンに直結し、ダイレクトにキャプスタンを駆動し、同時に送り出し側キャプスタンも高い精度でドライブしています。また、真円度0.1マイクロの精密仕上げが施された2本のキャプスタンは、直径に微小差をもたせた設計となっており、適度のバックテンションを得る事で、優れた走行性能と安定したヘッドタッチを実現しています。
リール駆動用及びff/rew用にはそれぞれDCモーターを採用しています。
クォーツフェイズロックダイレクトドライブ方式を採用しており、平面対向型D.D.モーターに内蔵されたFG(周波数発振器)からの出力を全周で検知し、クォーツ発振による正確な基準周波数と比較して厳密に回転を制御しています。
駆動ブロック後面のプリント基板にまとめられたクォーツ制御部は新たにチップマウント工法を採用しており、可能な限りチップ化された素子をプリントパターンに直結することで、高い信頼性と省スペースを確保しています。
録再ヘッドには、ラミネート状センダストをヘッド素材に導入したSXセンダストコンビネーションヘッドを採用しています。
録音/再生それぞれ独立した最適のギャップが選べるオンビネーションヘッド構成となっており、ワンケースに2つのヘッドを収納することで、3ヘッドシステムで問題となるヘッド相互のイン・ライン化(一列性か)も完璧となり、アジマス(垂直)特性にも優れているため、高域劣化やチャンネル間の位相ズレの心配がありません。
消去ヘッドには飽和磁束密度が高く、優れた耐摩耗性を誇るセンダストを表層部に採用し、その他の部分を高周波損失の少ないフェライト素材で作り上げたダブルギャップセンダストフェライトヘッドを採用しています。
デジタルテープカウンタを搭載しており、3ケタの数字と4本のバーによりカウンタ表示します。
トータルオペレーションモニターを搭載しており、オートテープセレクタでセットされたテープポジション、モニター状態、ドルビーNR(in
or out)、MPXフィルタ(in or out)のそれぞれがどの位置にセットされているかを表示します。
オートリセットピークホールド付き2色FLディスプレイを搭載しています。
オートテープセレクターを搭載しており、カセットハーフのバックサイドにある種類検出孔を検知して自動的に最適ポジションにセットされます。また、検出孔の無いテープのために、2ポジションマニュアルスイッチを搭載しています。
テストトーン発振器を搭載しており、400Hz、8kHzの2つの単独周波数によりレベル調整が可能です。
レックキャルボリュームを搭載しており、使用するテープの感度や特性のバラツキを補正できます。
テープの種類に応じた最適のバイアス電流値をセットできるバイアス微調整機能を搭載しています。
基準電流に対して-50%~+100%可変できます。
FMエアチェック時に有害な19kHzのパイロット信号をカットするMPXフィルターを搭載しています。
ノイズリダクションシステムとして3ヘッド対応のダブル方式ドルビーNRを搭載しています。
コントロール部には約15,000素子を1チップに集積したマイクロプロセッサを搭載しています。
これにより、録音、再生、早送り、巻戻し、ポーズなどのテープ走行や、録音/再生アンプの切換え、レックミュート、ミューティングのオーディオセクション、デジタルテープカウンタ、メモリリピート、リモートコントロールなどの機能をトータルでコントロールしています。
2モード/6タイプのコンピュータメモリ機能を搭載しており、テープ上の任意のポジションでデジタル電子カウンタのリセットボタンを押してカウンタを000にすると、その地点を基点とした様々な操作が可能です。
まず、メモリリピートモードでは、テープ最初から000ポジション間のリピート演奏、000ポジションからエンドまでの自動繰り返し演奏、000をテープの巻き始めにつけることで一巻を通じた自動繰り返し演奏が可能です。
また、メモリーストップモードでは、最初から再生して000の位置で停止、最初から早送りして000位置で停止、エンドから巻戻して000位置で停止などの操作が可能です。
マイクロコンピューターによるコンピュータロジック方式により、ff/rewからplayへのダイレクトチェンジが可能となっています。
別売りオーディオタイマーを接続することで、タイマースタートスイッチのコントロールで好みの時刻に録再をスタートさせる事が可能です。
コンピュータフェイルセーフにより、ff/rewからplayへのダイレクトチェンジのほか、録音時のメモリーシステムoff機能など、メカニズムやテープへの悪影響を防いでいます。
また、録音状態にする場合、録音ボタンを押せば自動的にポーズがonとなります。
ソース⇔テープモニタースイッチを搭載しており、録音中のモニターはライン/マイクからのソース入力とテープとの切換えがワンタッチででき、リアルタイムで聞き比べが可能です。
このスイッチはシーリングポケット内に設置されており、オペレーションインジケーターによって状態が表示されます。
カセットホルダー内照明やテープ残量が読み取れる透過ランプを搭載しています。
オートテープストリング機構を搭載しておりハーフ内で弛緩したテープをストリング(張る)新開発の機構を搭載しており、テープをセットしてホルダーを閉めると、自動的に作動します。
別売りリモートコントローラーの使用により離れた場所からの操作が可能です。
シルバーとブラックの2種類のデザインがありました。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
トラック方式 | 4トラック2チャンネル |
ヘッド | 録再:SXセンダストコンビネーションヘッドx1 消去:ダブルギャップセンダストフェライトヘッドx1 |
モーター | キャプスタン用:クォーツD.D.モーターx1 巻取りリール用:DCモーターx1 ff/rew用:DCモーターx1 |
録音バイアス方式 | ACバイアス方式 |
消去方式 | AC消去方式 |
テープ速度 | 4.8cm/s |
ワウ・フラッター | 0.024%(WRMS) |
周波数特性 | ノーマル(XD):18Hz~20kHz CrO2(XAII):18Hz~21kHz メタル(MX):18Hz~22kHz |
SN比 | NR off:60dB(XAIIテープ、ピークレベル) Dolby NR in:10dB改善(5kHz以上) |
入力端子 | Mic:0.25mV(-72dB)/適合インピーダンス400Ω~10kΩ Line:60mV(-24dB) |
出力端子 | Line:420mV(可変)/22kΩ以上 Headphone:125mV/8Ω~125Ω |
使用半導体 | トランジスタ:77個 IC:16個 ダイオード:46個 整流器:9個 |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | AC20W |
外形寸法 | 幅430x高さ97x奥行340mm |
重量 | 約6.3kg |
別売 | リモーコントローラー RP-9645(¥6,000) |