Technics RS-270U
¥38,000(1970年代前半頃)
解説
カセットのハイファイ化を徹底したステレオカセットデッキ。
駆動モーターには新設計のアウターローター形ヒステリシス・シンクロナスモーターを採用しています。
アウターローター形は、ローター(回転子)がステータ(固定子)の外側を回るためフライホイール効果が大きく、滑らかな回転が得られます。また、RS-270Uのモーターは特にダイナミック・バランス調整がされており、ヒステリシス・シンクロナス形本来の定速性と相まってオープンリール並のワウ・フラッター特性を実現しています。
さらにこのモーターは、ロータのシールド効果で誘導ハムを生じないことや、放熱効果がよく、耐熱性にも優れているなどの特徴も持っています。
メカニズム部は、アウターローターモーターからベルトでキャプスタンを駆動するベルトドライブ方式を採用しています。キャプスタンには2.5mmのものを採用しており、センタレス研磨の後スーパーフィニッシュを行って真円度を追求しています。
押している間だけテープ走行が停止するPAUSEボタンを搭載しています。
オートリリース機構を搭載しています。
RS-270Uでは、単にテープの走行を止めるだけでなくメカニズムを完全に停止状態にしています。これにより、長時間放置した場合に起こるピンチローラーの変形を防いでいます。
カウンターを用いたメモリーリワインド機能を搭載しています。
メモリー地点でカウンターを000に合わせメモリースイッチを入れておくと、巻戻しでカウンター999の位置で停止します。この自動停止機構には電磁ソレノイドを使用しています。
ヘッド部にはRS-270U用に新開発されたローインピーダンスのパーマロイヘッドを採用しています。
また、電気回路もヘッドの特性を生かすよう設計することで、自然な音質を実現しています。
電気回路は新しいパーツを駆使して設計することでSN比の向上を図っています。
トランジスタには全てシリコンタイプを採用しており、特に初段には低雑音タイプ2SC644を採用しています。また、結合コンデンサには漏れ電流の少ないアルミ個体電解コンデンサを採用しています。また、電源トランスには漏洩磁束の少ないカットコア形を採用し誘導ハムを防いでいます。
さらに、歪を低減するため各段にNFBをかけるとともに、非直線素子を含むメーター回路とヘッドホン回路を独立することで、歪の少ないライン出力を取り出すよう構成されています。また、録音経路は専用アンプを設けてヘッドのダイレクトドライブ行い、録音特性を改善しています。
バイアス発振回路は本格的なプッシュプル方式を採用しており、発振周波数には100kHzを採用しています。
レベルメーターを搭載しています。
このメーターでは、録音ボタンを押すと録音レベルが確認できます。
録音中のモニターはイコライザを通さない特性で再生できます。
テープセレクターにはバイアス切換え方式を採用しており、ローノイズテープに対応しています。
アクティブ・フィルタによるハイカット方式を採用した12dB/oct.のノイズ・サプレッサーを搭載しています。
再生専用のボリュームを搭載しています。
機種の定格
型式 | カセットデッキ | ||||
録音バイアス方式 | ACバイアス、100kHz | ||||
消去方式 | AC消去 | ||||
録音トラック方式 | 4トラック2チャンネルステレオ | ||||
テープ速度 | 4.8cm/sec | ||||
録音時間 | 往復1時間(RS-60SG使用) | ||||
周波数特性 | 20Hz~13kHz | ||||
入力インピーダンス | Mic:600Ω~20kΩ Line:220kΩ |
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出力インピーダンス | Line out:600Ω Headphone:8Ω |
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録再コネクター | REC/PB CES規格 | ||||
使用半導体 |
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電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||
消費電力 | 約14W | ||||
外形寸法 | 幅404x高さ100x奥行250mm | ||||
重量 | 5.2kg |