Technics RS-1030U
¥237,000(1974年頃)
解説
「幅広いトラックと十分なテープ速度を生かした本格的なハイファイ」をオープンリールの本命とし、オープンリールの有利な条件をもとに、その長所を発揮させたマスターテープデッキ。
メカニズムはオーソドックスな3モータ方式で、キャプスタンモータには、4極/8極切換えのヒステリシス・シンクロナス形を採用しています。
テープ速度は、38cm/sと19cm/sの2スピードで、モーターの極数切換えにより選択します。
大形フライホイールと、幅が広く精度の高い平ベルトを用いる事です、優れたワウ・フラッタ特性を実現しています。
また、リールモータには、垂下特性の優れた6極エディカレント形モータを採用しており、早巻き速度は、テープを傷めないよう適度に調整されています。テープテンションは、リールサイズにより切換え可能です。
操作ボタンは、それぞれ完全に独立しており、どのボタンからもストップをかけずに直接プレイに移れます。操作ボタンを押すと表示ランプが点灯します。
リモートコントロールも可能となっており、また、ポーズボタンはロックも可能です。
2トラック2ch用の消去・録音・再生ヘッドと、4トラック2ch用の再生ヘッドの4ヘッド構成となっています。
消去ヘッドは焼結フェライト形で、他は全てHPFヘッドを採用しています。
HPFヘッドは比抵抗が大きく、過電流が少ないため、周波数特性が優れています。また、高域の能率が高く、録音時の高域補償もついています。
さらに、硬度はパーマロイの約5倍でしかも単体のコアで成形されているため、ギャップ精度も高くなっています。また、インライン性が優れており、位相特性も向上しています。
また、ハイパボリック形を採用することでコンター効果やヘッドタッチを改善しており、表面は鏡面仕上げとなっています。
摩耗テストから推測される寿命は約200,000時間となっており、優れた耐久性を持っています。
ヘッド部はテープガイドを含めブロック化されており、プラグイン方式により振動吸収を考慮したダイカスト製のヘッドマウントに装着されています。
電気回路部はch当たり15石のシリコントランジスタを用いた構造となっており、再生系は1~3段に、録音系は2~4段に、3段構成の直結回路を採用しています。
ライン・マイク独立の入力レベル調節器を採用しているので、ミキシング録音も可能です。
また、マイクロホンは切換えスイッチにより、ハイインピーダンス形とローインピーダンス形を使い分ける事が出来ます。
10号リール用のクランパは、押し付けるだけでクランプするプッシュロック式が採用されています。
EDITボタンを搭載しており、ストップ時にこのボタンを押すと、シフターが後退し、手動による頭出しが可能です。
再生中に、RECボタンとFWDボタンを同時に押すと、テープを止めずに再生から録音へ切換えできます。
LHテープの切換えは、バイアス電流をかえるオーソドックス方式を採用しています。
大形VUメーターを採用しています。
ヘッドホンの音量も調整できる出力レベル調整器を搭載しています。
電源周波数の切換えはワンタッチで可能です。
機種の定格
型式 | 3モータ・2スピードステレオテープデッキ | ||||
録音バイアス方式 | AC:180kHz | ||||
消去方式 | AC消去方式 | ||||
トラック方式 | 2トラック2ch録/再、4トラック2ch再生 | ||||
テープ速度 | 38cm/s、19cm/s | ||||
使用ヘッド | 録音:HPFx1 再生:HPF(4トラック用・2トラック用各1) 消去:フェライトx1 |
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使用モータ | キャプスタン用:4極/8極ヒステリシスシンクロナスモータx1 リール用:6極エディカレントモータx2 |
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周波数特性 | 38cm/s:30Hz~27000Hz、±3dB 19cm/s:25Hz~24000Hz、±3dB |
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ワウ・フラッタ | 38cm/s:0.06% 19cm/s:0.10% |
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SN比 | 38cm/s、XDテープ:58dB以上 19cm/s、XDテープ:55dB以上 |
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入力 |
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出力 |
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DINコネクタ | REC/PB(EIAJ) | ||||
電源 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||
消費電力 | 約145W | ||||
外形寸法 | 幅430x高さ590x奥行270mm | ||||
重量 | 約32kg |