Technics SE-A1
※受注生産
¥1,000,000(1977年11月発売)
解説
A+級動作により低歪とハイパワーを実現したステレオDCパワーアンプ。
テクニクスが開発したA+級増幅方式が採用しています。
A級アンプは増幅素子の直線部分を信号のフルサイクルで使用しているため、スイッチング歪やクロスオーバー歪が原理的に存在せず音質的なメリットがあります。しかし、無信号時にもピーク電流の半分の電流を常時流す必要があり、増幅回路としては効率が悪いという欠点を持っています。
SE-A1に採用されたA+級動作では、常時電流を必要とするA級アンプのアース電位をフローティングさせ、必要に応じて別個に設けた電源アンプから高電圧をオーディオ信号の振幅に同期して供給しています。これによりだ出力を確保しながら強制空冷ファンを排除しています。
電源部には直流抵抗の少ない大容量トロイダルトランスを左右各1個ずつ搭載しています。また、電解コンデンサはA+級アンプ用に100,000μFx4、電源アンプ用に22,000μFx4備えており、1チャンネル当り4電源、計8電源の2モノラル構成となっています。
入力と出力のカップリングコンデンサやNFBループ内のコンデンサを追放したDCアンプ構成を採用しており、優れた波形伝送特性を実現しています。
また、DCドリフト対策にはアクティブ・サーマル・サーボアンプを採用しており、DCドリフトの抑制を信号系から切離された別経路によって初段へサーマル・フィードバックで行なっているため、信号系のDCゲインは常に一定に保たれています。
DC成分がスピーカーに入る場合を考慮し、リレーが働いてスピーカー端子と回路を切離す保護回路を搭載しています。さらに、ミスユースなどでスピーカー端子がショートした場合は、電流リミッタが働いて回路を保護します。また、負荷インピーダンスの低下によるトランジスタの温度上昇に対しても電流リミッタが働いてトランジスタを保護します。
アタックタイム50μsec・20kHz1波でも正確に指示する高速応答のピークメーターを搭載しています。
目盛は+10dB~-50dBの等間隔対数圧縮表示となっています。
レベルプリセットが可能な4系統独立のスピーカー出力コントロールスイッチ(0~-20dB)を搭載しています。
メーター用の4ステップスピーカーインピーダンス切換スイッチを搭載しています。
入力ON/OFF時やDC/ローカット切替時のトランジェント発生に対して、ショック音の無いフェードイン/アウト機構を搭載しています。
プリアンプの電源ON-OFFで、パワーアンプの電源ON-OFFをリモートコントロールすることができます。
機種の定格
型式 | ステレオDCパワーアンプ |
実効出力(両ch駆動) | 350W+350W(4Ω、20Hz~20kHz) 350W+350W(8Ω、20Hz~20kHz) |
全高調波歪率 | 0.003%(定格出力時、20Hz~20kHz) 測定不能(定格出力時、1kHz) 0.01%(175W、定格出力-3dB時、100kHz) |
出力帯域幅 | 5Hz~100kHz(8Ω、両ch駆動、0.01%) |
周波数特性 | 20Hz~20kHz +0 -0.05dB DC~200kHz +0 -1dB |
SN比(IHF-A) | 120dB |
残留雑音 | 500μV(150μV、IHF-A) |
ダンピングファクター | 100(8Ω) |
スルーレート | 70V/μsec以上 |
入力感度/インピーダンス | 1V~10V(連続可変)/47kΩ |
負荷インピーダンス | A or B or C or D:4Ω~16Ω A+B or B+C or A+C:8Ω~16Ω A+B+C:16Ω |
<メーター特性> | |
指示範囲 | -50dB~+10dB(等間隔目盛) |
周波数特性(指示精度) | 10Hz~20kHz ±1dB(+10dB~-40dB指示時) 10Hz~10kHz ±3dB(-40dB未満指示時) |
アタックタイム | 50μsec |
リカバリタイム | 750msec(0dB→-20dB) |
<総合> | |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 1kW |
外形寸法 | 幅450x高さ249x奥行550mm |
重量 | 51kg |