TEAC V-680
¥59,800(1989年頃)
解説
コンビネーション3ヘッドを採用したカセットデッキ。
ヘッド部には録音と再生が独立したコンビネーション方式3ヘッドを採用しています。これによりワイドレンジに対応した録音ヘッドのワイドギャップ化と、充分な高域特性を確保するために必要な再生ヘッドのナローギャップ化を実現しています。
ヘッド材質には高硬度パーマロイを使用しています。また、3ヘッド化で生じるヘッドとカセットテープパッドの圧着位置とのずれに対しても、ヘッドを厳密な計算に基づく最適の位置にシフトすることで正確で均一なヘッドタッチを確保し、バックテンション(テープ張力)を抑えてテープへの負担を軽減して走行特性を高めています。
一体化された録音・再生・消去の3ヘッドは超精密の大型亜鉛ダイキャストベースに格納されており、ヘッドポジション精度の向上と安定したテープ走行、ヘッドタッチを獲得しています。
テープ駆動メカニズムには高精度電子制御モーターを採用しており、極めて真円度の高いキャプスタンを駆動しています。またキャプスタンには焼結合金製の重量級フライホイールを搭載しており、慣性質量を増大して駆動力を大幅に安定させることでテープ走行特性を向上しています。
モーターは入念なマウントを施すことで微振動による音質劣化を防止しています。また、カセットリッドには振動を抑える高剛性硬質樹脂を採用しており、カセットハーフの共振による音質への影響を最小限に抑えています。
外部からの微振動やスピーカーからの音圧の影響を抑えるため、独自の重量級制振キャビネットを採用しています。
トップパネル裏面にはクッション材を介して鋼板を懸架するサンドイッチ構造を採用しており、キャビネット重量を従来の2倍にまで増大させ、高剛性化と安定性を向上させています。また、サンドイッチ構造はクッション材を加圧してマウントすることで制振効果を大幅に高めており、入念なキャビネット全体のチューニングによって音質的にも制振材や単純2柔構造を上回る効果を獲得しています。
さらにサイドウッドパネルを標準装備しており、キャビネットをさらに堅固なものとして安定性や制振性を向上させています。
録音アンプの録音イコライザーにある共振回路には従来はコイルが使用されていましたが、高域信号になるにつれて発生する位相のずれが問題となっていました。ティアックではこの点に着目し、共振回路からコイルを追放してIC化しており、正確な定位を実現する新開発のリニア・レコーディング・アンプとしています。
アンプ回路ではREC部・PB部・NR部への電源供給を全て別系統としたほか、アンプ系とメカニズム系の電源を構造上で完全に分離しており、相互干渉やノイズを遮断して音質劣化を抑えています。また、±2電源方式とすることでアース電位が明確となり、システムノイズを低減しSN比を大きく改善するとともに、過渡応答特性や歪率を改善しています。
さらに、オールDC構成を採用しており、ヘッドとアンプをダイレクトに接続することでコンデンサーを排除することで低域の歪率や位相特性を大幅に改善しています。
回路部は信号の入力から出力までアンプ系の殆どの部分を一枚の基板に実装するとともに、表示部やスイッチ類も基板にダイレクト接続することでノイズの発生や侵入を防止しています。また、伝送経路は信号の流れに無理なく短縮化しており、音の純度が損なわれるのを防いでいます。
パーツ類はデジタル対応の高音質設計のオーディオ専用アルミ電解コンデンサーをはじめとした高音質パーツを採用しています。
ドルビーHXプロ録音システムを搭載しています。
この回路では常に入力信号に応じた最適バイアスをテープに与えることによってハイレベルな高域信号がバイアスとなって動作して高域録音能力が低下するのを防止するとともに全帯域での特性も向上させています。
また、固定バイアスでは避けられないハイレベルの高域信号録音時のヘッド及びテープ磁界の変動と、それに起因する一種の位相ずれも最小限に止められるため、定位を大きく改善しています。
このドルビーHXプロで録音したテープはNRとは異なるため、ドルビーHXプロを搭載していないデッキでも再生することができます。
ノイズリダクションシステムとしてドルビーB/C NRを搭載しています。
MPXフィルタースイッチを搭載しています。
±20%の範囲で調整が可能なバイアスファインチューニング機能を搭載しています。
約4秒間の無録音部分が作れるオートレックミュートを搭載しています。
プリセット式マスターボリュームを採用しており、ダブルコントロールによる微妙なレベル調整が可能です。
テープとソースのモニター切替えを自動化したオートモニター機能を搭載しています。
テープポジションを自動検出するオートテープセレクターを搭載しています。
テープカウンターとテープランを表示できる2モード電子カウンターを搭載しています。
マイクロプロセッサーコントロールによるFLマルチファンクションディスプレイを搭載しています。
制振効果の高い大型インシュレーターを採用しています。
ワイヤレスリモコンが付属しています。
機種の定格
型式 | カセットデッキ |
トラック形式 | 4トラック2チャンネル・ステレオ方式 |
ヘッド | 録音x1/再生x1(コンビネーションヘッド) 消去x1 |
モーター | キャプスタン用:DCサーボモーター リール用:DCモーター |
ワウ・フラッター | 0.045%(WRMS) ±0.07%(Wpeak、EIAJ) |
周波数特性(総合) | メタル:20Hz~21kHz クローム:20Hz~20kHz ノーマル:20Hz~18kHz |
SN比 | 60dB(NR off、3%THDレベル、WTD) 70dB(ドルビーB NR on、5kHz以上) 80dB(ドルビーC NR on、1kHz以上) |
早巻時間 | 約85秒(C-60テープ) |
入力 | Line:87mV/50kΩ以上 |
出力 | Line:0.43V/50kΩ以上 Headphone:8Ω |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 15W |
外形寸法 | 幅471x高さ122x奥行275mm |
重量 | 5.8kg |
付属 | ワイヤレスリモコン |