TEAC A-360
¥79,800(1974年頃)
解説
A-450で実証されたワウフラッター0.07%のテープトランスポートをベースに、テープの性能を引出す数々の最適録音機構を組み込んだステレオカセットデッキ。
メカニズム部には、90mmのフライホールを採用することでワウフラッター特性の向上を図っています。また、キャプスタンシャフトを2.5mmφの太さにしたことにより、耐久性及び精度をさらに向上させています。さらに、優れた研磨技術によって磨きあげられた新しい平ベルトを採用しスリップや経時変化を低減しています。
ホルダー部はカセットハーフをしっかり固定する構造となっており、下地板にカセットハーフを乗せて少し押すと、途中から吸込まれ、完全に固定されます。また、カセットハーフを装着したあとの下地板はスプリングで下に引張られているため、動作中にカセットハーフが浮上ることはありません。
さらに押すとカセットがアップする2段アクションタイプで、プレイ中でも上蓋を自由に開閉できます。
左右のリール台に一定のテンションがかかる新スリップリング機構を採用しており、音飛びが少なく、テープを巻込む心配のない、安定したテープ走行を得ています。
駆動系はできるかぎり単純化し、さらに全体の精度を向上させ、ワウフラッターを低減しています。
プレイ時にキャプスタンとフライホイールに接触するのは、テープを巻き取るアイドラーだけとなり、早送り、巻戻しの駆動系には触れません。
テープの性能を引出すため、バイアス・イコライザー独立3段切換え機構を搭載しています。
さらに、クロームテープのイコライザーは周波数特性やSN比をより向上させるため、新しいDIN規格による70μsのイコライザーを採用しており、従来の120μsの比べて高域の補償量が少ないため、SN比が約4.5dB(10kHz)向上しています。
過渡特性に優れ、さらにスケールがワイドなエキスパンデッドタイプのレベルメーターを搭載しています。
また、レベルメーターでは追従しきれないパルシブな音に対応するため、発光ダイオードによるピークレベルインジケーターを搭載してます。このインジケーターは歪が増え始める+6dBのポイントから点灯します。
ドルビーシステムの動作レベルを正しく調整するため、各チャンネル、各テープのポジションが独立した6個のキャリブレーションと、各チャンネルが独立した再生キャリブレーション機構を備え、各テープごとに調整がされています。
録音マイクのSN比を改善するため、マイクとラインの入力を直接送込む入力セレクターを搭載しており、従来の方式よりも15dB以上改善されています。
電源電圧の変動によっても影響を受ける基準動作レベルに対応するため、安定化電源回路を内蔵しています。
ヘッドにはHD(ハイデンシティ)フェライトヘッドを搭載しています。
ラインアンプを含む録音・再生のイコライザーアンプは、周波数がより広帯域に、フラットな特性が得られるように設計されています。また、録音特性に影響を与えるバイアスも発振周波数を100kHzに上げ、さらに波形歪を低下させることによって、高域の録音を可能にしています。
FMステレオ放送を録音する際に、不要な信号をカットするマルチプレックス(MPX)フィルターを搭載しています。
メモリーカウンターを搭載しています。
テープが巻き終ると自動的にストップするエレクトロニック・オートエンドストップ機構を搭載しています。
テープランパイロットアンプを搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
トラック形式 | 4トラック・2チャンネル・ステレオ方式 |
使用テープ | C-60、C-90タイプ |
テープ速度 | 4.8cm/s |
モーター | ヒステリシス・シンクロナス・モーター |
ワウ・フラッター | 0.07% |
早巻時間 | 95秒以内(C-60テープ) |
周波数特性 | 30Hz~16kHz(クロームテープ) 30Hz~13kHz(ハイファイテープ) 30Hz~10kHz(レギュラーテープ) |
SN比 | NR out:50dB(3%歪レベル、聴感補正) Dolby時改善量:5dB(1kHz)、10dB(5kHz以上) |
入力感度/インピーダンス | ライン:0.1V/50kΩ以上 マイク:0.25mV/-72dB/600Ω~10kΩ適合 |
出力レベル/インピーダンス | ライン:0.3V/10kΩ以上 ヘッドホン:8Ω |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 14W |
外形寸法 | 幅450x高さ120x奥行260mm |
重量 | 7.5kg |