TEAC A-350
¥58,800(1973年頃)
解説
日本で初めてドルビーノイズリダクションを搭載したステレオカセットデッキ。
ドルビーシステムはカセットステレオで問題となるテープヒスノイズや、トランジスタのノイズを低減する効果を持っています。
このノイズリダクション方式では、録音時に中高域のピアニシモだけを取り出して、自動的にレベルをあげて録音しており、再生時には録音の際にレベルをあげた部分だけを取り出してレベルを下げて再生しています。これにより、録音時に加えられてしまうテープヒスがその分だけ小さくなります。
このドルビーシステムはON-OFF可能で通常の録音・再生も可能です。
マイク入力とライン入力を分離・独立させた回路構成を採用しています。
従来のカセットデッキでは、ラインからの入力を抵抗を介してマイクと同じ程度のレベル(1/400)に減衰させて、マイクアンプに送込む設計となっていますが、A-350ではそれぞれの入力をダイレクトに送込む方式としたことで、SN比を15dB以上も改善しています。
クロームテープへの対応を図るため、テープセレクターを搭載しています。
ヘッドにはHD(ハイデンシティ)フェライトヘッドを搭載しています。
このヘッドは従来より硬度が高く、耐久性が向上しています。また、電磁変換特性を考慮することで、高域まで歪の無いシャープな磁界を作り、より理想的な録音再生を可能にしています。さらに、ロスが少なく、バイアス電流が少なく済んでいます。
発光ダイオードによるピークレベルインジケーターを搭載しています。また、エキスパンデッドスケールのVUメーターを搭載しています。
エレクトロニック・オートエンドストップを搭載しており、テープが巻き終わったとき、操作ボタンとヘッド部、ピンチローラーが自動的に停止位置に戻り、メカニズムが完全に停止状態に戻ります。これによりメカニズムやテープに無用の負担がかかりません。
モーターにはカセット用に開発された小型高能率のヒステリシスシンクロナスアウターローターモーターを採用しています。
アウターローターモーターは(回転子)がステーターの外側で回転するため、フライホイール効果により回転ムラが少ない上、リーケージフラックスや発熱量が少なく、しかも起動トルクが強いなどの特徴を持っています。
テープ走行表示ランプを搭載しており、テープを走行させると、光の縞が走行方向に動きテープの走行状態を知らせます。
アンプ回路にはテープの飽和点以上のダイナミックマージンを考慮した回路を採用しています。
録音・再生時に左右単独で調整ができるスライドボリュームを搭載しています。
ポーズボタンを搭載しています。
ヘッドホン端子を搭載しています。
3桁インデックスカウンターを搭載しています。
DINコネクター端子を搭載しています。
別売りでアクリルカバーがありました。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
トラック形式 | 4トラック・2チャンネル・ステレオ方式 |
使用テープ | C-60、C-90タイプ |
テープ速度 | 4.8cm/s |
モーター | ヒステリシスシンクロナスアウターローターモーター |
ワウ・フラッター | 0.13% |
早巻時間 | 90秒以内(C-60テープ) |
周波数特性 | 30Hz~16kHz(クロームテープ) 30Hz~13kHz(ハイファイテープ) |
SN比 | 50dB 58dB(Dolby in) |
入力感度/インピーダンス | ライン:0.1V/50kΩ マイク:0.25mV/-72dB/600Ω~10kΩ |
出力レベル/インピーダンス | ライン:0.3V/10kΩ以上 ヘッドホン:8Ω |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 15W |
外形寸法 | 幅430x高さ110x奥行250mm |
重量 | 5.3kg |
別売 | アクリルカバー TZ-135(¥2,000) |