TEAC A-2300
A-2300:¥74,800(1971年頃)
A-2300BLACK:¥78,800(1971年頃)
解説
最高級機であったA-6010の技術を継承して開発されたステレオテープデッキ。
A-2300は3モーター・3ヘッド構成で、片道録音/再生のオーソドックスな構成を採用しています。
ヘッド部には位相特性が良く、高域まで歪の少ない録音・再生を可能にしたハイパボリック型ヘッドを採用してます。
このヘッドは周波数特性も優れており、無理な補償を必要としないため、歪の少ない音が得られます。また、ハイパボリック型のため優れたヘッドタッチを実現しており、コンターエフェクトによる低域の周波数特性の乱れも抑えられています。
さらに、ヘッドのコア材やギャップ長と深さ、コイルの巻き数、形状などを追求するとともに、録音・再生ヘッドをそれぞれ独立させ、録音特性と再生特性を改善しています。
また、ティアックのヘッドは全て前面シールドがされているため、チャンネル間で50dB以上のセパレーションを実現しています。
再生アンプのイコライザー段には、電圧利用率の高いNPN-PNP-NPNトランジスタの組合せによる新しい3段直結回路を採用しています。この回路は、同じ電源電圧を与えた場合、従来の回路に比較してより大きな出力電圧を取り出す事ができ、優れたダイナミックレンジを確保することが可能です。
また、ラインアンプもトランジスタの動作点を最適に選ぶとともに、入念なレベルダイヤグラムの設定によってテープの基準出力から25dB以上という優れた直線性を実現しています。
メカニズム部のキャプスタンモーターには4極・8極2スピードのヒステリシス・シンクロナスモーターを使用しており、ダイナミックバランスをとった大型キャプスタンフライホイールと相まって、安定したテープ走行と優れたワウ・フラッター特性を実現しています。
また、リールモーターにはハンティングが少なく、起動トルクの強い6極エディカレントタイプのインナーローターモーターを使用しています。これにより、バックテンションが安定してかかりテープのヘッドタッチを改善しています。さらに、早送り時にテープを痛めることなく一定速度での巻き取りを可能にしています。
3モーターシステムはマイクロスイッチ、リレー、ソレノイドを用いて電気的に制御しています。さらに、それぞれのモーターは摩耗の少ないオイルレスメタルを採用しており、メンテナンスサークルも永く耐久性に優れています。
高性能フェライト消去ヘッドとともに、効率の良いコア材とリッツ線を使用した余裕のあるプッシュプルタイプの発振回路を採用しており、一般の150(JIS)テープよりバイアスの深いテープを使用しても安定した動作が可能です。
また、片チャンネルで使用する場合も、発振トランスの負荷変動が少なく、余裕のある録音が可能です。さらに、バイアス周波数は100KHzと高いためビートの心配もありません。
バイアス切換機構を搭載しており、ローノイズテープの性能を生かした録音が可能です。
録音中にプログラムソースと録音されたテープからの再生音を切換える同時モニター機能を搭載しています。
また、VUモーターはモニタースイッチと連動して入力レベルと再生レベルを指示する方式となっています。
ラインとマイクのボリュームが独立しており、ミキシング録音が可能です。
リール台の高さ調整機構を搭載しており、リール台のシャフトをプラスドライバーを用いて左右にまわす事で、高さの調整が行えます。
VUメーターを搭載しています。
ヘッドホン専用のアンプを搭載しています。
ガイドポストには硬質ステンレスを採用しています。
リールから離れぎわの悪いテープや乱巻きされて不安定に送られたテープでも、ガイドポストとテンションアームの組合せによるメカニカルフィルターによって振動が吸収され、安定したテープ走行が得られます。
テープ保護対策を組み込まれたブレーキメカニズムを採用しており、エポキシ樹脂と特殊フェルトの組合せによるブレーキドラムはバランス精度が良く耐久性に富んでいるため、経時変化によるアンバランスを防ぎ、なめらかな動作でテープを保護します。
熱の発生源であるモーター、ソレノイド、ホーロー抵抗などは、温度上昇を防ぐ構造となっており、それぞれのモーターに送風効率の良い専用ファンを取り付けています。
スプリングと板バネを併用したテープリフター固定機構によってヘッド面からリフターが完全に離れて固定されるため、早送り時に不快な音が発生しません。
5mm厚のアルミトップパネルを採用しており、さらに側面にはダイキャストの強化フレームを併用することで、強度を高めています。
Rec.Pause機構を搭載しています。
このメカニズムでは、録音の前に操作レバーをポーズの位置にセットし、録音ボタンと矢印ボタンを押します。レバーをPlayの直ちに録音を開始します。また、録音中操作レバーをポーズにすると、録音アンプは動作したままテープは一時停止し、PLAYに切り換えると再び録音を開始します。
ブレーキの圧着調整、各種部品の交換などは裏蓋を外すだけで簡単に行えます。
まt、あアンプ部の各種調整用ボリューム(録音・再生イコライザー、録音・再生レベルメーター、録音・再生バイアス調整)も一ヶ所にまとめられており、テープを走らせながら調整することが可能です。
自動停止機構を搭載しており、テープの巻戻しが終るとシャットオフレバーが働いてメカニズムは自動的に停止します。
4桁のインデックスカウンターを搭載しています。
水平・垂直設置の両方に対応しています。
ステンレスパネルを採用しています。
通常モデルのA-2300と、ブラックフェースのA-2300BLACKの2種類がありました。
機種の定格
型式 | テープデッキ |
トラック形式 | 4トラック・2チャンネル・ステレオ方式 |
ヘッド | 消去、録音、再生(3ヘッド) |
リール | 17型(7号)および12型(5号) |
テープ速度 | 19cm、9.5cm(±0.5%) |
モーター | キャプスタン用:2速度ヒステリシス・シンクロナスモーター リール用:エディカレント・インダクションモーターx2 |
ワウ・フラッター | 19cm:0.12% 9.5cm:0.15% |
周波数特性 | 19cm:30Hz~20kHz(50Hz~15kHz ±3dB) 9.5cm:30Hz~15kHz(50Hz~10kHz ±3dB) |
SN比 | 50dB |
歪率 | 1%(規準レベル) |
クロストーク | 60dB(1kHz) |
ステレオセパレーション | 50dB(1kHz) |
早巻時間 | 90秒(370mテープ) |
入力 | Mic:0.3mV(最小)/10kΩ Line:0.1V(最小)/100kΩ |
出力 | Line:0.3V/負荷10kΩ以上 Headphone:8Ω |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 140W |
外形寸法 | A-2300:幅440x高さ357x奥行203mm A-2300BLACK:幅440x高さ383x奥行203mm |
重量 | 17kg |