TEAC D-700
¥100,000(1992年頃)
解説
CDトランスポートP-700とペアとなるD/Aコンバーター。
D/A変換回路にはZDIIを採用しています。
D/Aコンバーターでは特に-60dB以下の微小信号レベルや信号がゆるやかに変化する場合、変換誤差が生じてそれに起因する歪が発生します。
ディストーションシェイパーZDIIではディザ方式を採用することでD/Aコンバーターの変換誤差を分散・激減させ、大幅な超低歪率を実現しています。さらに、独自の広域集中型(ハイパス)ディザを用いることで極めて高いS/N比を獲得しています。これにより微小信号の再現性や、大音量信号に重畳されている倍音成分などの表現力を高めています。
デジタルフィルターには20bit8倍オーバーサンプリングデジタルフィルターを採用しています。
これにより遮断特性の緩やかなローパスフィルターを使用できるため、群遅延特性を改善しています。
D/A変換部には1/16シフト20bit4DACを搭載しています。
このDACでは0V付近で本来発生するMSB誤差を解消させる1/16(デジタル・オフセット)方式の小信号重視型DACを採用しています。これはDACの0V動作点をフルスケールの1/16だけシフトすることにより入力コードが0Vを通過する時に起こる0クロス歪を従来方式の1/8に低減しています。
これにより音楽信号の集中する信号領域(-18dB以下)のリニアリティが飛躍的に向上しています。
電源部にはカットコア・バランス巻トランスを採用しています。このトランスでは巻き線を2等分してそれぞれを逆位相とすることで磁界をキャンセルし、有害な電磁ノイズを極小に抑えています。また巻線が並列であるため、自己インダクタンスや直流抵抗も低減され優れたレギュレーションを獲得しています。
さらに正電源・負電源独立の巻線とした正負独立バランス電源部を構成し、アース電位を明確化しています。
デジタル伝送、アナログ伝送をはじめ、主要部にバランス伝送を採用しています。
正相信号だけでなく逆相信号を同時伝送することにより、アースラインへのノイズの混入をキャンセルしています。
キーデバイスだけでなく、コンデンサーや抵抗に至るまでオリジナルに開発されたオーディオ専用パーツを採用しています。
電源部にはブリッジ整流回路を搭載しており、当時のリファレンスシリーズであるエソテリックと同等の電源部コンデンサーを採用しています。さらに両面シールドを施したPCB基板によって音質に悪影響を与える高周波ノイズが発生するのを抑えています。
D/A変換の際に生じる入出力の電位差を解消するために銅メッキのリアパネルを採用しており、可聴帯域外で6dB、帯域内で1dBほどS/N比を排除しています。
機種の定格
型式 | D/Aコンバーター |
オーディオチャンネル | 2チャンネル |
周波数特性 | 0~20kHz ±0.3dB(RCA、44.1kHz) 5Hz~20kHz ±0.3dB(XLR、44.1kHz) |
S/N比 | 110dB(EIAJ) |
ダイナミックレンジ | 100dB(EIAJ) |
高調波歪率 | 0.0015%(EIAJ) |
チャンネルセパレーション | 110dB(EIAJ) |
アナログ出力 | RCA:2.1Vrms/47kΩ XLR:2.0Vrms/600Ω |
デジタル入力 | 同軸:0.5Vp-p/75Ω、2系統 光:2系統 |
D/Aコンバーター | 1/16シフト20ビット4DAC |
デジタルフィルター | 20ビット8倍オーバーサンプリング |
アナログフィルター | GIC3次バターワース・フィルター |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 14W |
外形寸法 | 幅225x高さ138x奥行400mm |
重量 | 6.0kg |