オーディオの足跡

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D-1の画像
 解説 

P-1とペアとなるエソテリックの最初のD/Aコンバーター。

新開発のフルタイム18bitD/Aコンバーターを搭載しており、18bit4倍オーバーサンプリングデジタルフィルターと組み合わせています。
従来の4倍オーバーサンプリングでは16bitの信号間に予測値を算出していましたが、D/Aコンバーターが16bitだったため解像度を上げる事ができませんでした。D-1では18bit4倍オーバーサンプリングデジタルフィルターによってデジタル演算された予測値を原信号間に4倍の高密度で補間し、18bitD/Aコンバーターで変換する事で、18bitの階調のままアナログ変換しています。

独自のZDサーキットを搭載しています。
デジタル信号のD/A変換時にはD/Aコンバーターの非直線性に起因する歪が発生し、特に-60dB以下のレベルや信号が緩やかに変化する場合に増大する傾向があります。この歪は大小信号が混在する場合にも現れ、音楽の微妙なニュアンスを表現する上で悪影響を及ぼしていました。
このD/A変換時の歪を低減するため、ディザ信号方式を独自のZDサーキットとして用いています。このZDサーキットではディザ信号の加減算を行う事でD/Aコンバーターの変換誤差を減らし、D/A変換精度を高めています。
これにより可聴全帯域のダイナミックレンジにおける優れたリニアリティを獲得しており、CD再生で最も有害と言われる高調波歪を大幅に低減しています。さらに、微小レベルだけでなく、倍音成分などの従来再現が困難とされていたものもよりクリアに再生する事を可能にしています。
D-1のZDサーキット後段には新開発の自動演算回路を採用しており、さらに高精度なD/A変換を実現しています。

ZDサーキットはD/A変換後のディザ信号減産と同時にD/Aコンバーターのオフセット電圧までキャンセルするため、後段アンプの若干のオフセット電圧の補正のみで、0Hzからの完全DC化が可能となっています。
これにより周波数特性0Hz~20kHzを可能とすると共に、D/A変換後の電装系にカップリングコンデンサーやDCサーボ回路を必要とせず、歪の増加や位相差の発生がないより忠実な伝送系を実現しています。

アナログ系回路にはMOS-FETを厳選して採用しています。

シャーシ構造はデジタル部とアナログ部をそれぞれ1ボックスに収納し、電気的にも構造的にも完全に分離させ、高剛性のインナーシャーシに独立レイアウトする事で干渉や共振を防いでいます。さらに、P-1と同様に最厚部18mmのアルミ削り出しフロントパネルとインナーシャーシを強固に固定する事で固有振動を効果的に分散・減衰しています。
また、重量パーツの集中するアナログ部をボディ下部へレイアウトし、低重心構造とする事でより安定した変換特性をもたらせています。
脚部には特殊合金製の重量級インシュレーターを装備しています。

主要回路の線材にはvan-den-Hul社製の物クリスタル・シルバーコーティング線材を使用しています。

32kHz/44.1kHz/48kHzの各サンプリング周波数に正確に対応するため、D-1ではデジタル信号復調用クロック抽出PLLとD/A変換制御クロック抽出PLLの2系統のPLL回路を搭載しています。
特にD/A変換制御用PLLのVCOにはECL(Emitter-Coupled-Logic)を用いたLC発振VCOを採用しており、広いロックレンジとキャリア純度の高い発振を可能にしています。

ミュート時の不自然な音切れやノイズを排除するため、N.D.M.S.(Noise-Less Digital Muting System)機構を搭載しています。
マニュアルミュート時のノイズは音楽信号が急激に途切れる事による波形の乱れによって発生します。N.D.M.S.機構ではこの途切れた波形からデジタル回路によって滑らかに減衰する波形を生み出す事で不快なノイズを排除しています。

ステレオ信号の絶対位相の切換をデジタル処理できるA.P.C.S.(Absolute Phase Convert System)機構を搭載しています。
この機構ではモノラル出力はL+Rのデジタル加算をする事でより正確なモノラル信号としています。

光1系統と同軸3系統の計4系統のデジタル入力を搭載しており、本体やリモコンを用いて切換が可能です。
また、デジタル入力機器へのサプライ用として同軸デジタル出力を1系統備えています。

アナログ出力には固定と可変のアンバランス出力に加え、XLRコネクターによるバランス出力を搭載しています。
バランス出力はトランス方式によってNFBをかけて信号経路での歪の減少を抑え、奥行きのあるストレートな信号伝送を可能にします。

デジタル入力切換と出力ボリュームはリモートコントロールで調整が可能です。
ボリュームには電動アウトプットボリュームを採用しています。

D-1のリモートコントロールはP-1付属のリモコンで行うデザインとなっていました。
そのためD-1単体購入時にはリモコンは別売オプションとしてなっていました。

D-1にはD-2へのバージョンアップサービスがありました。
D-1とD-2ではデジタル部、アナログ部、基本構造、シャーシ等のコンストラクションの全てが異なるため、基板変更によるバージョンアップは不可能です。このため、バージョンアップサービスでは外装部品を装着していない製品(D-2K)を受注生産し、これにユーザーから預かったD-1の外装部品を装着していました。

機種の定格
型式 D/Aコンバーター
サンプリング周波数自動切換 30kHz~50kHz
デジタル入力 Optlink:1系統
Coaxial:3系統
デジタル出力 Coaxial:1系統
アナログ出力 XLR(Balanced):1系統
RCA:1系統
S/N比 100dB(1kHz)
高調波歪率 0.0015%(1kHz)
チャンネルセパレーション 100dB(1kHz)
周波数特性 0~20kHz ±0.5dB(44.1kHz)
ダイナミックレンジ 97dB以上
外形寸法 幅225x高さ136x奥行420mm
重量 10.9kg
別売 D-2へのバージョンアップ(¥200,000)
D-3へのバージョンアップ(¥450,000)