STAX DA-80
¥270,000(1976年発売)
解説
DA-300の出力パワーを下げ、さらに最新のアンプ設計手法を採り入れて開発したステレオパワーアンプ。
DA-80は1つのシャーシにモノラルパワーアンプ2台をまとめた構成となっており、電源部もトランスから完全に独立しています。
回路構成は初段に低雑音デュアルFETをカレントミラー負荷で使用し、二段目カスケード、終段ダーリントンピュアコンプリメンタリー方式の全段Aクラス回路となっています。直線性を重視して設計されており、高い入力インピーダンスによってプリアンプの出力によって起きる音色の変化を無視しています。
電源部は±8電源構成となっており、左右独立したトランスから、それぞれ2つずつ計4つのシリコン・ブリッジ・ダイオードを通り、8個の大容量電解コンデンサーによって平滑されています。
A級プッシュプルのパワー段は、大容量33,000μFx4の電解コンデンサーと、これを補うTanδの優れた特殊コンデンサーによって、ノイズ成分の少ない内部抵抗の低い電源でドライブされます。また、プリドライバー段専用に6,800μFx4の電解コンデンサーを設置し、パワー段からの影響を極少に抑えて直結差動増幅器の動作を安定させています。
高品質なパーツが厳選して採用されており、信号を扱う部分の抵抗には金属被膜抵抗、コンデンサーにはtanδの優れた特殊なものが採用されています。また、基板のランドにも直流抵抗を下げる工夫がされており、並行ジャンパーを採用することで信号の通るラインに余分なインダクタンスやレジスタンスが入らないようにしています。
スピーカー端子には接触抵抗が低く金メッキされた大型のアメリカ ハーマン・H・スミス社製のものを採用しています。
ドライバーユニット、パワーユニットは万一の事故に備えてプラグイン方式を採用しており、各々独立して交換することができます。
4つの保護回路を搭載しており、出力ショート保護、温度保護、スピーカー保護に加え、入力端子に50V以上(アッテネーター0dB)の信号が加わった場合に内部回路を保護する過大入力保護を搭載しています。
温度保護回路とスピーカー保護回路は、回路が働くと直ちに電源をOFFにして赤いパイロットランプが点灯したままパワースイッチのランプが消えます。この時は再びパワースイッチを入れなおすことでアンプの動作は復帰します。
この保護回路は信号経路にリレーを使用しておらず、回路への電源供給を停止する方式とすることで音質劣化を防いでいます。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
回路方式 | A級動作 DCアンプ 初段FETによるピュア・コンプリメンタリー方式 左右独立±4電源(合計8電源) |
実効出力 | 45W+45W |
パワーバンド幅 | 5Hz~50kHz -3dB(THD 0.1%) |
全高調波歪率(8Ω、45W出力時) | 0.0025%(1kHz) 0.005%(DC~10kHz) |
ダンピングファクター | 600(1kHz、8Ω) |
SN比 | 100dB以上 |
入力感度/インピーダンス | 0.89V/100kΩ/100pF |
周波数特性(1W出力時) | DCオペレート:DC~500kHz +0 -3dB ACオペレート:3Hz~500kHz +0 -3dB |
利得 | 26.3dB |
負荷 | 2Ω以上(音楽再生時) 4Ω以上(テスト時) |
スルーレイト | 20V/μsec |
位相差 | +0゜ -3゜(0~10kHz) |
クロストーク | -90dB以下(1kHz) |
最大入力電圧 | 50V(AC/DC共) |
電源ドリフト | ±3mV(±10%) |
時間ドリフト | ±25mV(スイッチON後、約10分で安定) |
温度ドリフト | ±10mV(0℃~40℃) |
信号源ドリフト | 検知不能 |
使用温度範囲 | 0℃~40℃ |
ショート保護回路 | 2Ω以下で動作 |
スピーカー保護回路 | 約±5Vで動作 |
温度保護回路 | トランジスタ・ケース温度:約120℃で動作 |
アイドリング電流ドリフト | スイッチon後:約130% スイッチoff後10分:100% |
アッテネーター | 0dB、-10dB、-20dB、-∞ |
使用半導体 | デュアルFET:2個 デュアルトランジスタ:2個 トランジスタ:27個 ブリッジダイオード:4個 ダイオード:20個 |
電源電圧 | 100V/117V、±10% |
電源周波数 | 48Hz~62Hz |
消費電力 | 320W |
外形寸法 | 幅437x高さ163x奥行407mm |
重量 | 19.5kg |