オーディオの足跡

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CA-Yの画像
 解説 

新開発のスーパーシャントレギュレーターを採用したコントロールアンプ。

電源部にスーパーシャントレギュレーターを搭載しています。
アンプの信号回路は直流電圧によって動作しており、電源から供給される直流の安定度が高く、ダイナミックな音の変化にも常に一定の電圧を供給できる電源が優れたものと言えます。また、電源自体が発生する種々のノイズ特性も考慮しなければなりません。これらの点を考慮し、スーパーシャントレギュレーターはバッテリー電源を上回る特性を持つ電源を目指して開発されました。
CA-Yに搭載された電源部は、出力インピーダンスがDC~100kHzまで1mΩ以下、ACラインから混入するノイズを取り除く性能を示す電源雑音除去比が100kHzまで-106dB以下、アース電位が負荷変動に影響されない、電源部内部雑音が極めて低く0.2μV以下(IHF-A)などの特長とスペックを持っています。

アンプ回路には多重帰還回路を採用しています。
DCアンプが登場した後もプリアンプにおいてはDCドリフトを除去するためにカップリングコンデンサーが必要ですが、このカップリングコンデンサーは前段で増幅された信号の全てが通るため音質への影響が大きくなります。CA-Yでは多重帰還回路を用いることでカプリングコンデンサーを追放し、MM入力からプリアウトまでを文字通り直結し、大容量カップリングコンデンサーを用いずに低域のカットオフ周波数を下げています。
基本回路は、イコライザーアンプ、フラットアンプともに差動2段にA級SEPPバッファアンプを追加した構成となっており、初段にはローノイズワンチップデュアルFETを使用し、2段目から初段に同相帰還を施すことで直流安定度を高めています。

トーンコントロールやモードスイッチ、ラウドネスなどの回路は音質劣化を考慮して一切排除しています。
また、レコーディングアウトON/OFFスイッチを搭載しており、録音しない時にテープデッキとの間のシールド線によってプリアンプに容量負荷がかかることで音質へ悪影響が及ぶことを防いでいます。

MAG入力は2系統備えており、MAG1はインピーダンスが固定でMAG2は可変となっています。

バランスコントロールには新回路を採用しており、センター位置では信号が抵抗体を通らない設計となっています。
このバランスコントロールの可変範囲は0~-6dBとなっています。

内部パーツにも検討が加えられています。
空気コンデンサー(削り出しの真鍮に銀メッキを施したもの)をはじめ、スチロール/ポリプロピレン/マイラコンデンサー、オーディオ用低インピーダンス電解コンデンサー、金属皮膜抵抗を使用しています。
また、ボリュームとバランスコントロールには音の良い低雑音・低歪CPボリュームを採用し、基板は300μ厚無酸素銅箔のガラスエポキシ製、金メッキジャンパーなどの配線など、細部に測定とヒアリングで選ばれたパーツを使用しています。

操作性と内部レイアウトを考慮し、信号が右から左へ流れるように設計し、各スイッチ、ツマミの位置とその大きさや形を決定しています。
また、動作中のプッシュスイッチポジションがグリーンの文字で表示されるインジケーターを設置しています。

MCカートリッジを使用するユーザーのために別売りオプションとしてヘッドアンプユニットがありました。
このユニットの回路は初段にPNPローノイズ・アクティブロード負荷とする高Gm FETを4組パラレルに接続し、それをインバーテッド・ダーリントン回路で受けた2段増幅構成となっています。また、増幅部の電流変化分を逆相電流で打ち消して電源から供給される電流を一定に保つカレント・バランスサーキットを設け、MCカートリッジの微少な出力電圧にノイズを減らすために流される大量の電流の変化によってうける影響を防いでいます。
このオプションは内蔵型となるため電源はスーパーシャントレギュレーターから供給されます。また、このヘッドアンプを内蔵した場合、MAG1がMC入力となり、MCの文字がインジケーターに浮き出します。

機種の定格
型式 プリアンプ
回路構成 初段:Nch Dual FET差動2段
2段:エミッタ接地カレントミラー負荷
終段:プッシュプルエミッタフォロア3段直結
入力感度/インピーダンス Mag Pu1:2mV/47kΩ(MCヘッドアンプ70μV/100Ω)
Mag Pu2:2mV/30kΩ~80kΩ(連続可変)
Cond Pu/Tuner/Aux/Tape play1、2:143mV/42kΩ
最大許容入力 Mag Pu1、2:180mV(1kHz)rms(THD0.03%以下)
MCヘッドアンプ:30mV(20Hz~20kHz)rms(THD0.03%以下)
Cond Pu/Tuner/Aux/Tape play1、2:2V(20Hz~20kHz)rms(THD0.01%以下)
出力レベル/インピーダンス Output1:1V/60Ω(1kHz)
Output2:1V/160Ω(1kHz)
Rec out1、2:143mV/220Ω(1kHz)
周波数特性 Mag Pu1、2:20Hz~20kHz ±0.3dB以内
MCヘッドアンプ:2.5Hz~1MHz +0 -3dB
Cond Pu/Tuner/Aux/Tape play1、2:0.33Hz~1.5MHz +0 -3dB
SN比(IHF-Aネットワーク、入力ショート) Mag Pu1、2:78dB(2mV定格入力時)
MCヘッドアンプ:68dB(70μV定格入力時)
Cond Pu/Tuner/Aux/Tape play1、2:110dB(143mV定格入力時)
歪率 Mag Pu1、2:0.003%以下(Volume max、3V出力時)
MCヘッドアンプ:0.03%(100mV出力時)
Cond Pu/Tuner/Aux/Tape play1、2:0.0015%以下(Volume max、3V出力時)
クロストーク -70dB(10kHz、Volume -6dB、MAG→Output間)
増幅度 Mag Pu1、2→Output1、2:54dB
MCヘッドアンプ:29dB
Cond Pu/Tuner/Aux/Tape play1、2→Output1、2:17dB
電源 スーパーシャント方式(定電流+シャントレギュレーテッド回路)
定電圧電源入力雑音除去率 -100dB(DC~100kHz)
電源部出力インピーダンス 1mΩ以下(DC~100kHz)
残留ノイズ 0.2μV以下(IHF-A)
電源電圧/周波数 AC100V、117V、220V、240V/50~60Hz、各±10%
定格消費電力 28W
外形寸法 幅435x高さ88x奥行381mm
重量 6.0kg
別売 CA-Y内蔵用MCヘッドアンプユニット IHA-Y(¥30,000)