SONY ST-S555ES
¥65,000(1982年頃)
解説
FMの多局化や高音質化に対応するため、独自の技術を投入して誕生したFMステレオチューナー。
ビートやノイズの発生を激減する独自のダイレクトコンパレーターを搭載しています。
シンセサイザー方式では、受信した局の周波数を局部発振周波数と位相比較し、同調を安定に保っています。この比較周波数はPLL
ICの処理スピード能力に規定され、従来はICの性能限界から音声信号に近い周波数が用いられてきたため、ノイズやビート発生の恐れがありました。
ダイレクトコンパレーターは、これを解消した技術で、220MHzという聴高域まで直接分周できる高速PLL
ICにより、比較周波数を一挙にチャンネルプランと同じ100kHzに上げることに成功しています。これにより、ステレオのメイン信号や38kHzのサブ信号からも大きく離す事ができ、ノイズやビートを大幅に低減しています。
また、高リニアリティの広帯域レシオ検波を、専用検波ドライバーICを採用することにより、さらに高性能化しています。しかも、この出力をDCコンポジットアンプに直結して検波トランスの前後をしっかり抑え込み、高いSN比とワイドダイナミックレンジ化を実現しています。
高選択度と高音質の両立を図るため、WIDE/NARROWのIF帯域切替えを設けています。さらに、フロントエンドの終段にFETバッファアンプ、2素子1パッケージのユニフェイズフィルターを4個使用し、さらに段間に差動リミッタアンプを挿入した、10段相当の差動アンプにより、通過帯域は位相特性に優れ、帯域外は急激に減衰する特性を得ています。
オーディオ回路には、オーディオ・カレント・トランスファを導入しています。電流伝送の増幅系を採用したことで、L/Rチャンネル間の相互干渉を根絶し、信号系の線材などによる外乱の影響も排除し、クリアな音質を実現しています。
なお、電流→電圧変換を出力コードのアンプ側で行っているため、アンプの入口まで鮮度が保たれてます。
この他に、DCアンプ構成の採用や、3ポール・リニアフェイズ・フィルター採用のMPX部により不要信号を取り除くなど、低歪率化を図っています。
2系統のアンテナ端子を設けておりスイッチ切替えで選択できます。また、強電界局に備えるため、B系には-20dBのアッテネーターを搭載しています。
1ドプリセットしてしまえば、ワンタッチで局を呼び出せる8局プリセット機構を採用しています。
このメモリー機能は、局の周波数ばかりではなく、ステレオ/モノラルMODE、ミューティングON/OFF、WIDE/NARROW・IF帯域、ハイブレンド、アンテナ選択(ゲイン切替え)などの総合的な情報を全て記憶するマルチプロセスメモリーとなっています。
このメモリーICは、電源コードを抜いた状態でも半永久的に記憶を保持する、不揮発性メモリーを採用しています。
自動的に局を探すクイック・サーチ(オート)、ゆっくり周波数が切替るスイープ・チューン、ワンタッチするたびに100kHzずつ周波数が変わるステップ・チューンなどのチューニングが可能です。
電源スイッチのON/OFFに連動し、指定したプリセット局を次々に呼び出せるプログラムメモリー機能を搭載しています。
これにより、タイマーセットで2局以上4局までまたがった留守録音が行えます。
現在受信中の局がどんな受信状態にあるかを一目で確認できる総合ディスプレイを搭載しています。
表示内容は、受信周波数、アンテナA/B(アッテネーターON/OFF)、IF帯域WIDE/NARROW、ハイブレンドON/OFF、MODEステレオ/モノラル、ミューティングON/oFF、プログラムメモリー1~4などです。また、10段階電解強度インジケーターの採用により電解強度を細かく読取れます。
電波状態が悪い時に聴感上の感度を向上するハイブレンド回路を搭載しています。
FETバランスミキサー採用の5連相当フロントエンドを搭載しています。
局名表示機能を搭載しています。
CAL-TONEスイッチ(400Hz、50%変調)を搭載しています。
銅メッキ処理のカッパータイトケースを採用しています。
極性表示付き無酸素銅電源コードを採用しています。
機種の定格
型式 | FMステレオチューナー | ||||||||||
回路方式 | PLLデジタル周波数シンセサイザー、クォーツロック方式、 スーパーヘテロダインFMチューナー |
||||||||||
受信周波数 | 76MHz~90MHz | ||||||||||
アンテナ端子 | 75Ω不平衡(2系統) | ||||||||||
中間周波数 | 10.7MHz | ||||||||||
SN比50dB感度 | mono:1.8μV(IHF)/16.8dBf(新IHF) stereo:22.5μV(IHF)/37.9dBf(新IHF) |
||||||||||
実用感度 | 0.9μV(IHF) 10.3dBf(新IHF) |
||||||||||
SN比 | mono:92dB stereo:86dB |
||||||||||
高調波歪率 |
|
||||||||||
混変調歪率 |
|
||||||||||
周波数特性 | 30Hz~15kHz +0.2 -0.5dB | ||||||||||
ステレオセパレーション | 55dB(100Hz) 60dB(1kHz) 45dB(10kHz) |
||||||||||
実効選択度(400Hz) | wide:60dB narrow:90dB |
||||||||||
キャプチャーレシオ | 1.0dB | ||||||||||
AM抑圧比 | 65dB | ||||||||||
イメージ妨害比 | 120dB | ||||||||||
IF妨害比 | 120dB | ||||||||||
スプリアス妨害比 | 120dB | ||||||||||
RF相互変調妨害比 | 88dB(IHF) 105dB(2.4MHz) |
||||||||||
キャリアリーク抑圧比 | 78dB | ||||||||||
ミューティングレベル | 25dBf | ||||||||||
オートチューニングレベル | 25dBf | ||||||||||
出力 | 750mV/620Ω(付属ACTケーブルにより電圧変換後) | ||||||||||
電源 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||||||||
消費電力 | 23W | ||||||||||
外形寸法 | 幅430x高さ80x奥行340mm | ||||||||||
重量 | 4.8kg | ||||||||||
付属 | FMリボンアンテナ F型アンテナコネクター アンテナコネクターEAC-25(300Ω→75Ω) 局名表示ラベル ACTケーブル |