解説　

ESPRITの最高級チューナーとして開発されたFMステレオチューナー。

経年変化や温度変化による同調ズレを抑えたクリスタルロック方式をさらに発展させたDigital Frequency Synthesizer(周波数剛性)方式を採用しています。これにより優れた安定度を得ると共に、チューナー各ブロックの性能が発揮でき、数々の使い易さを実現しています。
この回路では水晶発振子により安定な基準周波数をつくり、それを分周や混合して、電子的に100kHzステップの局部発振周波数を作るので、歪率、ステレオセパレーションなど全てのスペックを常にベストの状態を保ち、高安定度、高精度を実現しています。

シンセサイザーチューナーのメリットを活用するため、自動的に同調周波数を探して選局するオートチューニングとマニュアルチューニングを搭載しています。
また、メモリーしてある局がわかりやすい局名表示板付の7局プリセットメモリー機能を始め、受信周波数とモード(ステレオ/モノ)、ミューティング(on/off)、セレクティビティ(Narrow/Normal)を同時に記憶することができます。

受信状態が一目でわかる5ステップのデジタルチューニングインジケーターを搭載しており、電波の強さが20dBf以上を10dBステップで60dBまで表示します。

IF増幅部はユニフェイズフィルター使用のNormal帯域と、SAW(表面弾性波フィルター)を使ったNarrowの2段切換が可能です。
SAWはSurface Acousticの略でIFフィルターとして狭選択度ながら、通過帯域内では理想的な振幅特性と位相特性が得られます。

フロントエンドには当時最新の回路構成によるシングルチューン、クォトループチェーン方式をとった6段バリキャップによる電子同調をはじめ、高周波増幅段や周波数混合部などにデュアルゲートMOS FETを採用し、高い妨害排除能力や高感度、高Sn、強入力特性を実現しています。

MPX部は、PLL-IC採用によるパイロット信号キャンセル機能とローパスフィルターの採用により、高セパレーション、低歪率を実現しています。

電源部にはトロイダルトランスを採用しています。

リードリレーを用いたミューティング機構により、音質をそこなわずに局間ノイズをカットしています。

固定と可変の2系統の出力端子を搭載しています。
端子には金メッキ仕上げが施されています。

7セグメントの蛍光表示管により0.1MHzステップでデジタル周波数を表示します。

機種の定格

型式	FMステレオチューナー
回路方式	FMスーパーヘテロダイン
受信周波数	76.0MHz～89.9MHz
アンテナ	300Ω平衡型 75Ω不平衡型(同軸ケーブルコネクター)
実用感度	1.8μV(IHF) 10.3dBf(新IHF)
SN比50dB感度	mono:3.2μV(IHF)/15.3dBf(新IHF) stereo:35μV(IHF)/36.1dBf(新IHF)
SN比	mono:80dB stereo:75dB
キャプチャーレシオ	normal:1.0dB narrow:1.7dB
AM抑圧比	60dB
イメージ妨害比	110dB
IF妨害比	110dB
スプリアス妨害比	110dB
実効選択度	normal: 25dB(300kHz) 65dB(400kHz) narrow: 65dB(300kHz)
高調波歪率	mono stereo normal narrow normal narrow 100Hz: 0.04% 0.08% 0.07% 0.3% 1kHz: 0.04% 0.08% 0.07% 0.3% 10kHz: 0.04% 0.08% 0.15% 0.6%
ステレオセパレーション	normal: 50dB(100Hz) 50dB(1kHz) 45dB(10kHz) narrow: 45dB(100Hz) 45dB(1kHz) 40dB(10kHz)
周波数特性	30Hz～15kHz +0.2 -0.5dB
出力レベル/インピーダンス	固定出力:750mV/2kΩ 可変出力:0V～1.2V/470Ω
使用半導体	トランジスタ:44個 MOS FET:7個 IC:66個 ダイオード:24個
電源電圧	AC100V、50Hz/60Hz
消費電力	25W
外形寸法	幅480x高さ80x奥行370mm
重量	約7.0kg
付属	接続コード(RK-112相当品) FMフィーダーアンテナ F型同軸プラグ 局名表示板