オーディオの足跡

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SS-GR1の画像
 解説 

心地よい豊かな響きを目指し、独自のノウハウを投入して開発されたRシリーズのスピーカーシステム。

エンクロージャーの形状には、有害な反射波の発生を防ぎ、内部音圧の集中を少なくするスーパーオーバルエンクロージャーを採用しています。このエンクロージャーは、ラウンド部の形状に対して高次数の楕円関数を応用して設計された独特の超楕円形状を採用しており、製造上は、グランドピアノの側板成形で用いられるラウンディング技法を導入して製造されています。
ラウンディング技法は、手間のかかる工程ながら、内部損失の異なる約1ミリ厚の板を数十枚にわたって重ね、曲げ、練り合わせ、切れ目の無い1枚のバッフル板に仕上げています。これにより前面から側面、背面へと続く滑らかな形状を実現しており、音波をスムーズに回折させるとともに、独自の柔らかなフォルムを生み出しています。

エンクロージャーに十分な遮音特性を持たせつつ、エンクロージャーの鳴きをより良い方向へ導くRC(レゾナンス・コントロール)フレームを採用しています。RCフレームでは、エンクロージャー中央に堅牢な大型の木枠を設け、これをエンクロージャーの骨組みとし、前面バッフルと背面バッフルをそこに連結する構造となっています。そして、振動モード・コントロールを入念に行いながら、結果としてちょうどチェロやコントラバスなどの弦楽器の作りに近い構造と響きを実現しています。
また、天板左右にスランド加工を施し、ピアノに用いられる響板に似た働きを持たせることで、響きをより自然なものとしています。

ミッドレンジから上のスピーカーユニット周辺には、前面バッフル一体の削り出し加工ホーンであるCD(コンスタント・ディレクティビティ)ホーンを搭載しています。CDホーンでは、ユニットの振動系と空気とのインピーダンスマッチングをとり、音波の放射効率を高めるだけでなく、あらかじめ決められた放射角に対して良好な指向特性を得ています。
SS-GR1では、指向性の範囲を軸上基準で水平方向90度、垂直方向40度に設定されています。水平方向ではこの範囲を超える外側の音圧を下げ、リスニングルーム壁面での音の反射を極力少なくしています。また、垂直方向ではスピーカーユニット間の有害な干渉を低減し、混濁感の無い音を得ています。
さらに、ホーンを直接バッフル板から削り出した一体構造としており、有害なホーン鳴きを軽減してます。また、ホーン開口部には段差や溝が無いため、音波のスムーズな放射を実現しています。

タイムアライメントシステムを採用しており、ウーファー、ミッドレンジ、トゥイーター、スーパートゥイーターの発音源の位置を鉛直線上に揃え、全帯域の音波が等しく耳に届くように放射しています。

ネットワーク部には、スロープのキレが良好で、全てのユニットを正相でドライブすることができる18dB/octのクロスオーバーを採用しています。
また、個々のパーツの選択を試聴で決定しており、例えば低音域には鉄芯入りコイル、中興音域には空芯コイルと、適材適所の選択を行い、樹脂モールドで固めた上で使用しています。コンデンサーも同様に、アルミ電解タイプ、MPタイプ、フィルムタイプと、適材適所の選択、投入を行っています。
さらに、電磁誘導などの悪影響が生じないよう、ネットワーク回路は各帯域ごとに基板を分離したうえ、配置上もっとも安定したエンクロージャーの底板にまとめて固定しています。

低域には、振動板にポリアミド繊維を混抄したパルプを用いた30cmコーン型ウーファーを搭載しています。
ボイスコイル後方にもダンパーを配した3点支持によるトリプルサスペンション方式の採用により、ローリング現象を防止し、ボイスコイル・ストロークの安定化を図っています。さらに、トリプルサスペンション方式は、2点支持の場合に比べてエッジの素材を柔らかいものとできるため、コンプライアンス(動きやすさ)が高められ、超低音域の歪を低減しています。
また、フレームには振動特性に優れたアルミダイカストを使用しており、防振のためのデッドニング処理を施す事で濁りの少ない音を実現しています。

中域には、ポリアミド繊維を混抄したパルプ紙によるコーン部と、SiC(シリコンカーバイド)ドーム部で構成した10cmバランスドライブ型ミッドレンジを搭載しています。
バランスドライブ方式は、振動板を最も効率良くドライブできるポイントに、振動板とボイスコイル(ボビン)との接点を置くもので、有害な分割振動を最小限に抑え、ピストンモーション領域をひろげています。
また、バランスドライブでは一般的なコーン型ユニットに比べてボイスコイル、磁気回路ともに大きくなるため、歪の改善にも寄与しており、耳につきやすい1kHzから3kHzでの歪を0.1%以下に抑えています。
さらに、背圧を適正化するため、独立のバックキャビティに収納されています。

高域には振動板にSiCを用いた3cmドーム型トゥイーターを搭載しています。
電気から音響への変換ロスを少なくするため、ボイスコイル・ドライブを振動板表面の外側で行うサーフェイスドライブ構造を採用しています。サーフェイスドライブではボイスコイル(ボビン)→振動板表面の最短ルートで音波になるため、振動板内部を通過してきた音よりも速く、振動板表面から音波が放射されるため、振動板自身の固有音が出にくい特徴を持っています。

超高域には振動板にバイオセルロースを用いた2cmドーム型スーパートゥイーターを搭載しています。
バイオセルロースは、ソニーと味の素㈱、工業技術院繊維高分子材料研究所の共同で開発されたもので、アルミに有無なみの高い伝搬速度と、紙とほぼ同等という内部損失を持っています。さらに、非常に軽量なため、エッジ部を除いて約0.01gという軽量化を実現しています。

エンクロージャーの外装はウォルナットによるツキ板仕上げとなっています。

機種の定格
方式 4ウェイ・4スピーカー・バスレフ方式・フロア型
ユニット 低域用:30cmコーン型
中域用:10cmバランスドライブ型
高域用:3cmドーム型
超高域用:2cmドーム型
再生周波数帯域 25Hz~35kHz
出力音圧レベル 90dB/W/m
インピーダンス
定格最大入力 100W
瞬間最大入力 300W
クロスオーバー周波数 500Hz、3.5kHz、12kHz
レベルコントロール 中域用:0dB~-4dB連続可変
高域用:0dB~-4dB連続可変
外形寸法 幅544x高さ1,026x奥行445mm
重量 75kg