SONY TC-7650
¥125,000(1973年発売)
解説
ソニーデッキ技術の集大成として、ソニーの技術を投入して開発した3ヘッドデッキ。
テープ駆動方式にはクローズドループ・デュアルキャプスタン方式を、このクラスで初めて採用しています。
1対のキャプスタンとピンチローラーの中央にヘッド部を配置した方式により、常に一定のヘッドタッチが得られるだけでなく、テープ走行中に起こすテープ振動やテンションムラを抑えています。
キャプスタン駆動モーターには超低振動エディカーレント型モーターと、その軸に周波数発電機(FG)を取り付けたACサーボモーターを採用しています。
一定の回転速度を保つようサーボアンプによって制御するため、振動の少ない安定した回転を可能にしています。
ヘッドには従来のラミネート型ヘッドの約200倍の耐摩耗性を誇るF&Fヘッド(フェライト&フェライト)を採用しています。
コア部、ガード部の双方をフェライトで固めたオールフェライト構造で、さらに同硬度の無歪ガラスで融合溶着しており、ギャップエッジの乱れがなく、ナローギャップは半永久的に保持します。
また、ヘッドの前面を均一のブラックミラー(鏡面)仕上げにしたため、ヘッドタッチがよく、ゴミの付着も防いでいます。
FM留守録音メカニズムを搭載しており、録音ボタンと再生ボタンにロック機構を付加したため、小刻みにセットできるタイマーを使えば、電源のON/OFFにより、何回でも反復して録音できます。
休止中はピンチローラーが離れ、メカに余分な負担を加えるのを防止しています。
ロジカル・コントロールの採用で、早送り・巻戻しの状態から直接再生状態に、また、録音・再生状態から直接早送り・巻戻しに、テープを痛めずに自由に操作できます。
リールモーターの回転状態を周波数発電機(FG)によって検出し、テープが完全に止まってから自動的に他の動作状態に移ります。
ヘッドアンプ初段にはFETを使用しており、このFETとF&F(フェライト&フェライト)ヘッドを直結したダイレクト・カップリング方式を採用しています。
ヘッドと初段FETとの間に、音質を悪化させる素子が一切入らないため、ヘッドの出力をそのままアンプに伝える事が可能です。
市販のあらゆるテープ特性を最大限に引き出すため、バイアスとイコライザーを独立させ、最適なバイアスとイコライザーを与えるテープセレクターを搭載しています。
マイクアッテネーターを装備しており、マイク入力レベルが過大である場合、15dB、30dBとあらかじめ最適レベルになるようにマイク入力を減衰できます。
より安定度の高いテープ走行のため、テンション・アームを搭載しています。
このアームは電気機構と連動しているため、テープが終わると自動的に停止状態となります。
ポーズ機構を搭載しています。
このポーズの状態では、メカだけが停止しているため、手でリールを動かせば細かな頭出しが可能です。
マイク入力回路とライン入力回路が独立しており、ミキシングが可能です。
テープハイトアジャスターを搭載しており、テープがリール面にすれる場合にテープの高さが調整できます。
7インチと10インチリールが使いわけられるリールサイズ切換スイッチを搭載しています。
ラインアウトボリュームを搭載しています。
リールキャップを廃止し、簡単確実にリールを押さえるリールロックを採用しています。
機種の定格
型式 | 4トラック高級3モーター3ヘッドデッキ |
テープ速度 | 19cm/s、9.5cm/s |
録音方式 | 4トラック2チャンネルステレオ |
使用最大リール | 10号 |
使用ヘッド | 再生ヘッドx1 録音ヘッドx1 消去ヘッドx1 |
モーター | キャプスタン用ACサーボモーターx1 リールモーターx2 |
周波数特性 | 19cm/s:20Hz~30kHz 9.5cm/s:20Hz~20kHz |
ワウフラッター | 19cm/s:0.05%Wrms 9.5cm/s:0.08%Wrms |
総合S/N | 56dB |
総合歪率 | 1.2% |
入力端子 | マイクジャック:-72dB(0.2mV)標準ジャック、ローインピーダンス ライン:-22dB(60mV)/100kΩ以上、ピンジャック |
出力端子 | ライン:規定出力0.775V/10kΩ以上、ピンジャック 反吐本:8Ω、バイノーラルジャック |
使用半導体 | トランジスタ:56個 FET:2個 IC:1個 ダイオード:41個 |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 80W |
外形寸法 | 幅435x高さ451x奥行215mm |
重量 | 23kg |
付属 | リール R-11Bx1 ヘッドクリーニング棒x1組 接続コード RK-74x2 リールアダプターx1組 |