SONY TC-6900
¥139,000(1974年発売)
解説
リバース機能を重視して開発されたテープデッキ。
モーター軸が直接キャプスタンとなっているダイレクト・ドライブ方式を採用しており、伝達、減速メカニズムを介在させないことで信頼性を高めています。
モーターには、エディカレント型モーターの軸に周波数発電機(FG)を取り付けたACサーボモーターを採用しています。回転速度を低くし、さらにサーボアンプによって回転速度を制御することで、振動の少ない安定した回転を実現しています。また、リールモーターにもエディカレント型を使用しています。
ヘッド部は正方向に録音、再生、消去ヘッド、逆方向に再生ヘッドを備えた4ヘッド構成を採用しています。
無駄を無くしたヘッド構成と、必要十分なラップアングルによって安定したヘッドタッチとテープ走行を実現しています。
ヘッドにはF&Fヘッドを採用しています。F&Fヘッドはコア部とガード部の両方をフェライト化した構造となっており、従来のラミネート型に比べ約200倍の耐摩耗性を持っています。さらに、独自開発による同硬度の無歪ガラスで融合溶着しており、ギャップエッジの崩れや乱れが無く、さらにギャップ幅やギャップ位置精度も高めています。また、ヘッド前面をブラックミラー仕上げにしたことでヘッドタッチを改善し、さらにゴミの付着も防止しています。
キャプスタンが2つの再生ヘッドの間にレイアウトされたセンターキャプスタン方式を採用しており、正逆の両方向の音質と特性をほぼ同一にしています。さらに、テープ走行の方向によってピンチローラーが自動的に最良点に移動するオートポジショニング・ピンチローラーを採用しており、安定した走行と優れたヘッドタッチを実現しています。
ヘッド部の横にはスクレープフィルターが設けられています。スクレープフィルターは常にテープと接触し、回転するように配置されており、このローラーの慣性モーメントによってテープの微振動エネルギーを吸収しています。
さらに、2つのスクレープフィルターで実効的にテープ振動スパンを短くすることで、音質に有害な変調ノイズを抑えています。
ロジック・コントロール方式を採用しています。この方式では、リールモーターの回転状態を周波数発電機によって件sy通し、テープが完全に止まってから自動的に他の動作に移ります。これによってテープが痛むのを防止するとともに操作性の向上を図っています。
アンプ部の初段には独自開発のFETを使用し、このFETにF&Fヘッドを直結させたダイレクト・カップリング方式を採用しています。ヘッドと初段FETの間にコンデンサーなどの素子が介在しないため、ヘッドの微少出力そのままアンプに伝送することができ、音質改善を実現しています。
バイアスとイコライザーが独立したテープセレクターを搭載しています。バイアスはHighとLowの2段、イコライザーはNormalとSLHの2段切換えとなっています。
再生リバースとリピート再生が可能です。
TC-6900のリバース方式は、金属箔がガイドに触れると反転するセンシング箔リバース方式となっており、テープの終わりにセンシング箔を貼っておけば自動的に反転します。また、テープの頭にもセンシング箔を貼り、AUTO
REVスイッチをCONT REVにすることによってリピート再生、REVで往復再生、NON
REVで片道演奏ができます。
さらに、誤消去防止装置を搭載しており、録音の場合にセンシング箔がガイドに触れると動作が停止します。
オートシャットオフ機構を搭載しており、テープが片方のリールに巻き取られると自動的にメカの電源が切れ、同時に操作レバーとそれに連動するメカニズムが全て解除され、STOP状態となります。
これによってピンチローラーの変形やメカニズムへの負担を抑えています。
テンションアームを搭載しており、スタート時におけるテープの揺れを吸収し、安定したテープテンションを実現しています。
また、電気機構と連動しているため、テープが巻き終るとオートシャットオフとなります。
プレイバックボリュームを搭載しており、再生出力が可変できます。また、センタークリックつきなので、簡単に基準レベルが得られます。
マイク入力回路とライン入力回路が独立しているため、マイク入力とライン入力のミキシングが可能です。
マイクアッテネーターを搭載しており、マイク入力レベルツマミをひっぱると20dB減衰することができます。
録音・再生時ともにテープの一時停止が可能です。しかもロック機能を搭載しており、録音スタンバイなどの操作ができます。
リールキャップが不要なビルトイン・リールロック機構を採用しており、リール軸を引いて回すだけでリールを確実にロックします。
左右独立のVUメーターを搭載しています。
正方向か逆方向かを指示するランプを搭載しています。
ワンタッチで0000復帰ができる4桁テープカウンターを搭載しています。
機種の定格
型式 | テープデッキ | ||||
テープスピード | 19cm/s、9.5cm/s | ||||
録音可能時間 | 7号テープ(550m)、9.5cm/sにて ステレオ往復:3時間 モノラル2往復:6時間 |
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早送り・巻戻し時間 | 60秒(370mテープ) | ||||
使用最大リール | 7号(178mm) | ||||
トラック方式 | 4トラックステレオ/モノラル | ||||
ヘッド | 録音:F&Fヘッド 再生:F&Fヘッドx2 消去:消去ヘッド |
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モーター | キャプスタン用ACサーボモーター リールモーターx2 |
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録音バイアス周波数 | 160kHz交流 | ||||
総合S/N | 53dB(一般テープ) 56dB(SLHテープ) |
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総合歪率 | 1.2% | ||||
周波数特性 |
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ワウ・フラッター | 0.05%WRMS(19cm/s) 0.09%WRMS(9.5cm/s) |
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最小入力レベル/インピーダンス | マイク:0.2mV(-72dB)/低インピーダンス ライン:0.06V(-22dB)/100kΩ |
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出力レベル/インピーダンス | ライン:0.43V(-5dB、基準)、0.775V(0dB、最大)/100kΩ ヘッドホン:8Ω |
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使用半導体 | トランジスタ:46個 IC:1個 FET:2個 ダイオード:44個 サーミスター:1個 |
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電源 | 電源スイッチ非連動:1系統(300W) | ||||
電源 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||
消費電力 | 70W | ||||
外形寸法 | 幅425x高さ458x奥行213mm | ||||
重量 | 20.8kg | ||||
付属 | 7号リール 接続コード(RK-74) ヘッドクリーニング棒 電源コード |
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別売 | ダストプロテクター DP-26(¥4,800) |