SONY TC-6360A
¥56,800(1972年頃)
解説
F&F(フェライト&フェライト)ヘッドを採用したステレオテープデッキ。
F&F(フェライト&フェライト)ヘッドは、コア部、ガード部の全てにフェライトを用いたオールフェライトヘッドで、ギャップのスペーサーとコア部の固定は、フェライトと均一の磨耗特性をもつ高硬度ガラスの融着による、ソニー独自の技術を用いています。
これにより、フェライトやガラスを積層させ接着しているタイプのヘッドに比べると磨耗特性や経時変化、ギャップ幅変化などの点で優れた性能を実現しており、ヘッドの片減りやギャップのインライン性の崩れが起こらず、ギャップの特性劣化を防いでいます。
またヘッド表面をブラックミラー仕上げとしたためテープのヘッドタッチがよく、ゴミがつきにくくなっています。
消去・録音・再生の各ヘッドが独立した3ヘッド方式を採用しており、録音ヘッドで録音したヘッドを再生ヘッドで再生し、録音状態のチェック(モニター)ができます。
イコライザー切換え方式のテープセレクターを搭載しており、ソニーSLH(Super
Low noise High output)テープや他社のローノイズテープの性能を発揮させる事が可能です。
一般に用いられていたバイアス切換え方式に比べ、補償量が少なく、平均レンジも高くとれるため、優れた諸特性を得られます。
プリアンプ部は、ヘッドの高域損失が少ないため、再生イコライザーの特性を理想的なカーブに近づけられ、アンプノイズもその分だけ少なくできます。
さらに、低雑音・高利得のシリコントランジスタを用いてアンプノイズを一層低減しています。これにより、録音バイアス周波数も高くとれ、ノイズやビートの発生を未然に防いでいます。
また、録音再生時のクリックを防ぎ、各アンプを常に安定に動作させるため、贅沢な定電圧電源回路を組み込んでいます。
モーターに防振型を用いることで機械部の振動や雑音を取り除いたメカニズムを実現しています。
さらに、使いやすさと信頼性を向上するため、STOP時にはピンチローラーが沈み込み、テープを簡単にかけられるエスカレートドライブや、テープの巻き始めから巻き終わりまで常に適正なテンションがかけられ、巻き径の変化による速度偏差や巻きムラを無くすメカニカル・テンションサーボ、リール軸を引いて回すだけで確実にリールをロックするビルトイン・リールロックも搭載しています。
テープが巻き終わると、自動的に機構部の電源が切れモーターが停止し、同時に操作レバーとそれに連結するメカニズムが停止状態に戻るメカニカルシャットオフ機構を搭載しています。
これにより、ピンチローラーやアイドラーを圧着したまま放置して変型するという失敗を防止しています。
ソニー独自の振動防止ローラーを搭載しており、テープとヘッドの接触面でおこる微妙な振動を、あらかじめ吸収しています。
これにより、高音域の濁りや汚れの原因となる変調ノイズを取り去り、分解能を向上しています。
操作パネルが僅かに傾斜しているスラントタイプとなっており、キャビネットを外して入れ換える事で、縦型や横型にもなります。
アウトプットボリューム、マイク入力を2段に切り換えできるマイクアッテネータースイッチ、マイク/ラインのミキシング可能な2系統インプットボリューム、付属のコードによるSound
on SoundやEcho録音も可能など、様々な機能を搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオテープデッキ | ||||
テープ速度 | 19cm/s、9.5cm/s、4.8cm/s | ||||
早送り・巻き戻し時間 | 2分(370mテープ使用時) | ||||
使用最大リール | 7号(178mm) | ||||
録音方式 | 4トラックステレオおよびモノラル | ||||
使用ヘッド | 録音ヘッドx1 再生ヘッドx1 消去ヘッドx1 |
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録音バイアス周波数 | 160kHz | ||||
録音補償特性 | JIS(NAB)規格 | ||||
総合S/N | 一般テープ:52dB SLHテープ:55dB |
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総合歪率 | 1.2% | ||||
周波数特性 |
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ワウフラッター | 0.09%Wrms(19cm/s) 0.12%Wrms(9.5cm/s) 0.17%Wrms(4.8cm/s) |
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入力ジャック |
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出力ジャック |
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使用半導体 | トランジスタ:23個 ダイオード:5個 |
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電源 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||
消費電力 | 28W | ||||
外形寸法 | 幅418x高さ210x奥行392mm | ||||
重量 | 10kg |