SONY PS-X55
¥49,800(1980年発売)
解説
マイクロコンピュータの導入により操作性や信頼性を向上したフルオートプレイヤー。
レコードサイズのセレクトやリードイン/リターンの各動作、リピート再生などの動作を内蔵のマイクロコンピューターで命令処理しています。さらに、アーム専用のモーターと電子回路によりスムーズで安全性の高いオート動作を実現しています。
レコードエンド検出機構には信頼性を高めた無接触方式を採用しています。
モーターにはリニアBSLモーターを採用しています。
このモーターではブラシもスロットも必要としていないため、トルクむらが低減され、静かでなめらかな回転を実現しています。しかも効率が良いため高いトルクが得られ、信頼性や耐久性も向上しています。
サーボ回路の速度検出部にはマグネディスク速度検出を採用しています。
この方式では、ターンテーブルに高密度着磁した検出信号をマルチギャップヘッドで平均値検出し、微小な回転数の変化を捉えています。33
1/3rpm時に約284Hzという高い発生信号周波数をもっているため、フラッター成分の中でも比較的高い周波数までサーボ補償が可能となっています。
マグネディスク速度検出で得た速度信号は、基準信号と比較され、正しい回転速度を保つようコントロールされていますが、この際に使用する素子の温度特性が影響を与え、正確なサーボがきかなくなる場合があります。これを改善するため、検出した信号を位相制御するクリスタルロックを採用しています。
水晶の持つ高い発振精度を利用し、周囲温度の変化や電源電圧・周波数の変動にも強い安定した回転特性を得ています。
トーンアーム部では、各コネクション部の接合を強化し、できる限りの一体化を進めることで無共振化を図っています。
ヘッドシェルとトーンアームの接合部であるネックシリンダーでは、シェルプラグの先端をクサビ効果による強い力でホールドし、シェルプラグの根元を4方向からガッチリと締め付ける構造としています。
また、アームパイプには剛性を大きく高めた特殊アルミ合金を採用しており、曲げ強度の大きなJ字型構造をとることにより、従来のアルミパイプの約8倍の剛性を得ています。このパイプはネックシリンダーから軸受部まで一体構造をとっています。
軸受部のボールベアリングを回すためのスキ間がガタを呼び、アームの動作点をブレさせるのを防ぐため、四点間の距離を長くとった、一本のストレート軸で支えるロングスパン軸受けシャフトを採用しています。これによりベアリング部のわずかなガタに対して、動作点のブレを最小限に抑えています。
さらに、PS-X55では軽針圧、ハイコンプライアンス型カートリッジに対応する高感度化を図っています。
カートリッジにはMM型カートリッジXL-15を採用しています。
キャビネットには、金属などに比べ共振しにくく、高精度で強度が高いという特長を持つ音響素材SBMCを採用しています。厚さや構造などを総合的に検討し、要所要所に補強を施した構造とすることで、部分共振を抑えています。
また、ダストカバーも厚みのある頑丈なものを採用し、振動減衰特性を改善しています。
インシュレーターにはゲル状ダンプ材を封入しており、効果的な振動吸収を実現しています。
機種の定格
型式 | クリスタルロックD.D.フルオートプレイヤーシステム |
<ターンテーブル部> | |
ターンテーブル | 31cmアルミダイキャスト |
ワウ・フラッター | 0.02%wrms(回転系) |
起動特性 | 1/2回転以内(33・1/3rpm時) |
SN比 | 78dB(DIN-B) |
<トーンアーム部> | |
有効長 | 216.5mm |
全長 | 300mm |
針圧調節範囲 | 0~3.0g |
シェル自重 | 8.0g |
使用可能カートリッジ自重範囲 (シェル含) |
11.5g~18.5g 18.0g~25.0g(補助ウェイト使用) |
<カートリッジ部> | |
カートリッジ | MM型(XL-15) |
周波数特性 | 10Hz~30kHz |
出力電圧 | 4mV(1kHz、5cm/s、45゜) |
針 | 0.6milダイヤ針 |
自重 | 5.2g |
<総合> | |
外形寸法 | 幅430x高さ135x奥行375mm |
重量 | 8kg |
付属 | 45回転アダプター 補助ウェイト ヘッドシェル カートリッジ(XL-15) ダストカバー |